Instagram広告の成否は、クリエイティブの質と運用スピードで分かれる
MarkeZine編集部:リール広告で高い成果を出すためには、どのようなポイントがあるでしょうか?
伊東:大前提として、Meta広告ではクリエイティブが重要な要素になっているということを理解する必要があります。
MetaではAIによる広告配信の自動最適化が進んでいます。そのため、成果を上げる上で、クリエイティブの質の重要性が高まってきているのです。今後は、縦型動画のクリエイティブノウハウがMeta広告の大きなカギを握ることになるでしょう。
MarkeZine編集部:Meta広告の運用では、性別やエリアなどでターゲットを定めていた部分があったと思われますが、現在はクリエイティブが重要になりつつあると。クリエイティブこそがターゲティングという世界観になっているのは、Meta広告における大きなシフトです。Side Kicksでは、どのように質の高いクリエイティブを企画・運用しているのでしょうか?
上原:弊社の組織体制が与えている影響が大きいと思います。先ほど山田が言及したとおり、弊社ではクリエイティブ部門のメンバーだけでなく、営業や運用担当も含めた全員がクリエイティブディレクションを担当できる体制を整えています。市場リサーチや戦略策定から企画立案、クリエイティブの構成案作成まで、全社員が一貫して携わることが可能です。
よって、たとえば営業担当であっても制作経験に基づく具体的な施策提案ができますし、データ分析においても「このクリエイティブはCTRが高い」ではなく「このクリエイティブは、この部分がこういうユーザーに刺さっているからCTRが高くなっている」というように深い考察ができるのです。
山田:良いクリエイティブを作るためには、その前段階の「ペルソナ理解」「市場理解」などが重要です。ですので、全員が成果につながるクリエイティブを制作できる状態とは、すなわち全員がペルソナを理解している状態だと考えています。
クリエイティブは、言うなればリトマス試験紙のようなものです。全員がペルソナをしっかり理解し同じ方向を向けているか否かが、クリエイティブの質に表れてくると思います。
上原:クリエイティブを共通言語として活用することで、部門間の円滑なコミュニケーションも実現しています。共通認識を持った上で、各担当者がクリエイティブ運用のPDCAを自律的に回せるからこそ、施策の迅速な改善ができるのです。
他にも、縦型動画においては素材が重要だと考えていることから、社内にインフルエンサー事業部を設置し、インフルエンサーやモデルのアサインから、撮影、素材収集まで一貫して行える体制も構築しています。
クリエイティブが高速で摩耗される中、常に一歩抜きん出るために
山田:冒頭で伊東さんが、クリエイティブの質についてお話しされていましたが、リールは特に日進月歩の色が強いと思っています。今日時点では斬新とされるアイデアも、すぐにコモディティ化してしまいます。そのスピードがリールの場合非常に速く、クリエイティブの質も日に日に高くなっていると感じます。
MarkeZine編集部:たしかに、流行するミームや構文も数週間単位で変わっている印象があります。
山田:そうですよね。リール広告で成果を上げるためには、そうしたスピード感についていき、さらには一歩抜きんでて“誰もやっていない新しいもの”を出し続けられるか否かが問われるようになってきています。
ただ、日々のルーティンワークがある中、斬新なアイデアを出したり、実験的な取り組みに時間を充てたりするのはやはり容易ではありません。そこで、弊社では「クリエイティブイノベーション室」という組織を置いています。
ここでは、既存クリエイティブの分析から、新規アイデアの創出、制作サポートまでを担当することで、従来の効果実績を維持しながら、新たな手法の開発を実現する体制を構築しています。