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広告クリエイティブに必要な「マジック」と「記憶」とは――東畑幸多氏×博報堂 小島翔太氏[レポート]

 生成AIのムーブメントにより、ビジネスシーンをはじめクリエイティブを取り巻く環境は変革のときを迎えている。そんな今、クリエイティブにできることは何か。クリエイティブが大きな役割を果たす広告には何が求められているのか――。そのヒントを探るべく、CreatorZine編集部が主催したオフラインイベント「Creators MIX 2024」の基調講演には、テレビCMなどの広告やデジタル起点の施策などさまざまなアウトプットを生み出してきたクリエイティブディレクター2名が登壇。サントリー天然水「大自然よ、ぼくたちのピュアな部分になってくれ」、九州新幹線全線開業「祝!九州」などの広告を手掛けてきた(つづく)東畑幸多さんと、日清食品「どん兵衛」のデジタル施策やSMBC日興証券の「イチローシリーズ」などを担当した博報堂 CREATIVE TABLE 最高の小島翔太さんだ。今回は、用意された質問に回答する形で進められた本セッションの様子を、抜粋してお届けする。

「ロジック」を「マジック」に変えるために

質問:クリエイティブで大切にしていることは?

小島さんの回答:企業やブランドが言えることであるか、世の中の人にとって見る意味があるものか

小島(博報堂) 僕は応募者や参加者などの数が見えやすいプロモーションの出身のため、「テレビCMをはじめとした広告は、大前提として見てもらえないと意味がなくなってしまう」という気持ちが強いんです。それがいきすぎると「とりあえずバズれば良いだろう」「これだったら話題にはなるだろう」といった方向に企画が寄っていってしまう危険性もあるので、同時に「この商品が言えることなのか」という感覚を大切にしています。

 「見られないと意味がない」と「その商品が言えることであるかどうか」の良いバランスを探していく点は日々苦労している部分でもあるのですが、キャッチーな見せ方ができたとしても、そのブランドとして語って良いものなのか。そして、言う意味があるのか。企画づくりではそういった視点を意識しています。

東畑さんの回答:Less logic. More magic.

東畑(つづく) これは、ユニリーバのある方がおっしゃっていた言葉です。

 広告は多くの人たちが力を合わせて作っていく必要があるため、みんなのコンセンサスがとれるロジックは非常に大事ですが、一方でクリエイティブのアイディアを考える際、ロジックの延長にいるだけではなかなか人の心を動かすことはできない。たとえばお笑いでも、少し先読みをしながら会話を見ているときに自分が想像していない言葉が返ってくるからこそ驚いて笑ってしまいますよね。予定調和をどのように裏切っていくか、どうやってロジックを外していくかは、クリエイティブにおいてとても重要だと思っています。

 ではどうやってロジックをマジックに変えていくのか。大切なのは「個人の持っている感動の記憶」です。企画を考える際、マーケット、ユーザーやファン、世の中のインサイトなどさまざまな観点がありますが、そこにもうひとつ、関わる人の個人的な感動の記憶のようなものが合わさると、ロジックを超えてマジックをつくることができるのだと考えています。

(つづく)クリエーティブ・ディレクター/CMプランナー 東畑幸多さん
(つづく)クリエーティブ・ディレクター/CMプランナー 東畑幸多さん

 それをとくに実感したのが、「九州新幹線全線開通」のCMづくりです。九州の皆さんにとっておめでたい出来事になってほしいとの思いから、タレントさんに登場してもらうのではなく市民参加型の映像をつくろうと考えたのですが、その際にアートディレクターのおおぎあつしさんがある写真集を持ってきた。ケネディ大統領の弟が暗殺されたカットが入っており、その遺体を乗せた列車からずっと車窓を撮影している写真集です。そこには、悲しみにくれるアメリカが収められているのですが、「車窓に向かってアメリカの人たちが敬礼して並んでいる姿がとてもエモーショナルで印象的だった」と。そんな話を持ってきたときに、悲しみにくれるアメリカではなく、喜びにわく九州を撮ろうとの方向性が決まったんです。

 「九州新幹線開通を九州の人たちにとっておめでたい出来事にしたい」ということとその「写真集」は、直接的な関係はあまりないのですが、「車窓から見える人々の景色がエモーショナルだ」というおおぎさん個人の強い記憶が戦略に結びついて、それがマジックになるんですよね。

小島 以前と比べ、企画を決めるときに調査の結果を重視するクライアントさんが多くなってきているように感じています。そういったときに、表に出てくるまでその威力がわからない「マジック」の力をどのように伝えれば良いんだろうと悩むことも多いです。

東畑 ケースバイケースになってしまうかとは思います。ですが、プロモーションとして結果を出さなければならないときが多いなかでも「自分はここが好き」「これは腑に落ちる」というポイントを忍ばせていくことが大事だと感じるんです。99%のロジックの中にも1%の個を入れるというか……。それが広告クリエイティブのおもしろさでもあり、ダイナミズムなのだと思います。

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「マジック」の原体験になった日清どん兵衛の施策

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この記事の著者

中村 直香(ナカムラ ナオカ)

編集部。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社博報堂

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/04/03 09:06 https://markezine.jp/article/detail/50401

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