「TDA-Expansion」(Criteo配信)の進化
——2025年3月に「TDA-Expansion」(Criteo配信)のリリースをMarkeZineで取り上げて、約1年。ソリューションはどのように発展しているのでしょうか。
日下部(Criteo):TDA-Expansion(Criteo配信)とは、楽天とCriteoがそれぞれに持つユーザーの購買傾向データを掛け合わせ、Criteoの入札最適化エンジン・配信ネットワーク・クリエイティブを通じて、オープンインターネット上の楽天市場外ユーザーに広告を配信し、楽天市場内へ送客する仕組みです。CVまでのクローズドループ計測が可能な点も特徴です。
日下部(Criteo):リリースから約1年で導入アカウント数は約90となりました。リターゲティング中心ですが、楽天市場の購買傾向データを活かしたミドル・アッパーファネルの活用も増えてきています。
澤見(楽天):これまで、Criteoの最適化エンジンの活用やクリエイティブ面での工夫、ファネル設計など試行錯誤を重ね、リターゲティングにとどまらずフルファネルの取り組みも進められるようになりました。中でも大きな進化が、動画のリッチクリエイティブを活用した配信が可能になったことです。今回のSIXPADが、その最初の取り組みとなります。
EMS市場の逆風をどう突破するか? SIXPADが「外部広告×楽天市場」を選んだ理由
——MTGは2026年4月からSIXPAD「コアベルト2」で、「TDA-Expansion」(Criteo配信)を導入したとうかがいました。改めて、SIXPADブランドについて教えてください。
原田(MTG):SIXPADは、EMS(Electrical Muscle Stimulation:筋電気刺激)を中心としたトータルウェルネスブランドです。
原田(MTG):中でもコアベルト2はSIXPADの由来である「シックスパック」のイメージに直結し、お腹周りを鍛える製品として非常に強い想起を持つため、ブランドの基盤かつヒーローアイテムと位置づけられています。
これまでは「男性向け」「アスリート向け」といったイメージが強いブランドでしたが、近年はメディカルやフェムテック、リカバリー領域にも展開を広げています。その結果、2026年9月期上半期には、SIXPADブランドの売上高は前年比35%増、メディカルカテゴリーは同122%増となりました。
一方でEMS市況自体は伸び悩んでおり、だからこそ私たちは市場を牽引する使命があると考えています。
——なぜ「TDA-Expansion」(Criteo配信)を導入したのでしょうか。
河合(MTG):これまで、楽天市場“内”の広告は積極的に投下してきましたが、外部の潜在層へのアプローチも必要だと考えてきました。また、他の広告媒体も活用してきましたが、媒体が変わることで施策がぶつ切りになる課題がありました。
河合(MTG):そうした中「TDA-Expansion」(Criteo配信)なら、1つの広告メニューで一気通貫、フルファネルにアプローチできます。
加えて、楽天市場をはじめとする楽天サービスの購買傾向データや利用状況に紐づく楽天IDを用いて、アプローチできる点も大きな決め手でした。様々なモールがある中で、楽天市場のお客様は楽天市場内でお買い物をされることが多いものです。自社ECを出口にすると効率が落ちる場面もありますが、楽天市場を出口にすることでその効率を担保できると考えています。
潜在層を動かす、2段構成のフルファネル施策
——どのような施策を行っているのでしょうか?
原田(MTG):ドライヤーやシャワーのように日常的に触れるアイテムと異なり、EMSは生活での接点が少なく、イメージしづらい面があります。そのため静止画だけでは、身に着けて何が起こるのかが伝わりにくいという課題がありました。
そこで動画のクリエイティブで、コアベルト2を巻いてお腹が揺れる動きを見せることにしたのです。アテンションを引けるうえ、製品の価値を効率よく、正確に伝えられます。
伊藤(楽天):まず施策設計としては、動画とダイナミック広告という2つの手法を組み合わせました。動画による認知・アッパーファネル施策と、ダイナミック広告によるリターゲティング・獲得施策の2段構成です。
伊藤(楽天):具体的には、コアベルト2購入者を楽天内で分析したデータをもとに、EMSマーケット外の潜在層へCriteoの動画広告を配信しました。さらに、視聴者や商品ページ訪問済みの顕在層にはリターゲティングとしてダイナミック広告を配信。動画は配信して終わりではなく、想起されにくいEMSだからこそ「欲しい」と思った瞬間に思い出してもらい、刈り取りまでつなげる。今回はその一連の流れを一貫して設計できた点が強みだったと考えます。
——クリエイティブ制作はどのような体制で進めましたか?
日下部(Criteo):基本的に、画像比率16:9の動画クリエイティブさえいただければ、フォーマット化された素材をもとにCriteo側でカスタマイズします。今回MTG様に活用いただいているのはリッチメディアの動画広告で、ユーザーごとに商品をパーソナライズ化することも可能です。
伊藤(楽天):通常外部広告をクリックすると自社サイトに飛ぶと考えるのが自然です。しかし、動画の額縁部分も楽天市場仕様にすることで、楽天市場へのリンクだと動画視聴時点で理解でき、購入や商品理解へシームレスにつなげやすくなります。
この提案は、MTGの河合様から「楽天スーパーSALE開催時は、この縁を専用の仕様にしたい」とリクエストをいただいたことがきっかけで実現しました。このようにディスカッションを重ねながらプロダクトやフォーマットの改善に取り組んでいます。
澤見(楽天):中でも独自性が高いのが、楽天市場の商品リストを活用し、MTG様の複数商品を動画内でレコメンド表示できる点です。単に動画を配信するだけでなく、ユーザーの関心に合わせた商品まで届けられる。これは他媒体にはない、Criteo様と楽天ならではの強みです。
低CPC・新規獲得増・期待値超えのROAS。楽天スーパーSALEで確信した「成功の型」
——施策の成果をお聞かせください。
河合(MTG):他の広告メニューと比較してCPCを抑えられており、目標達成度としては111%の良い結果となりました。ROASについても、認知から獲得までフルファネルで設計いただいているため、こちらが設定している期待値をしっかり超える結果が出ています。
ただし、これは楽天市場内広告と単純比較できるものではありません。外部広告のため購入率は市場内広告より下がりやすい一方、CPCは低く抑えられます。重要なのは、フルファネル全体・外部送客という文脈で評価することです。
加えて、過去にSIXPADの商品ページを訪れたことがない新規ユーザーの送客にもつながっています。
そして6月の楽天スーパーSALEでは、こちらが見立てていた数字以上の台数を出せました。この3ヵ月間で、1つの成功の型ができたと感じています。新規ユーザーという観点でも、認知していただき、商品ページを読んだうえで、購入につながるという流れが、きれいに1本の線としてつながった実感があります。
原田(MTG):社内はカテゴリーごとに組織が編成されていますが、楽天チャネルは一気通貫で見ているため、成果の出た施策を他カテゴリーへ横展開しやすく、ブランド側とモール側の連携で効率的に進められています。
成果の鍵は「EC部×マーケ部」の連携にあり
——読者が本ソリューションを用いた際に、MTGのような成果を再現するうえでの注意点・成功のコツがあれば、教えてください。
伊藤(楽天):MTG様では、EC部(河合様)とマーケティング部(原田様)の連携の強さが非常に際立っていると感じます。楽天市場の構造を深く理解したうえで、プロモーション施策を一気通貫で設計されている点が特徴的です。
原田(MTG):最初から現在の体制だったわけではなく、この1~2年の試行錯誤の結果、今の最適解にたどり着けていると感じています。
日下部(Criteo):技術面でいうと、今回は「TDA-Expansion」(Criteo配信)の良さが活かされたと思います。元々Criteo配信はオウンドメディアの売上向上施策として活用されてきましたが、販売チャネルが多様化・複雑化する中、オウンドメディアだけではリーチできないユーザーにアプローチする必要が出てきました。たとえば楽天スーパーSALE開催時にしか購入しないユーザーのように、楽天市場を出口としたCriteo配信ができる点は大きなメリットです。
また、ローワーファネルの数値だけを見て配信を続けても、売上全体の底上げにつながらないケースは少なくありません。弊社が推奨するフルファネル配信をまさに体現いただいた事例として、ぜひ横展開していきたいと思っています。
KPIの型化とデータ活用で、ブランドマーケティングを加速
——最後に、今後の展望をお聞かせください。
澤見(楽天):「TDA-Expansion」(Criteo配信)を最大限活用いただくうえで、最大の課題はKPIの設計です。アッパーファネルへの配信だからこそ、企業様と慎重にKPIを決定していく必要があります。その点を曖昧に進めてしまうと楽天市場内広告とのROAS比較になり、継続的にファネルを横断して好循環を生み出すことが難しくなってしまいます。
この課題をクリアしていけるよう、標準的なレポートに加え、新規獲得単価や検索への影響、セールをまたいだ長期的なROASの変化など、企業様が価値を感じられる指標を提案できる体制を作っていきたいと思っています。
日下部(Criteo):KPIの壁を取り除く鍵はデータです。広告配信にとどまらず、PDCAサイクルを回せるソリューション提供を通じて、データで意思決定できる環境を作っていきたいと考えています。
伊藤(楽天):楽天のマーケティングデータが次に照らし出すのは「運動は重要だと思いつつ行動に移せない層」という潜在ターゲットです。過去の行動を分析し、効率の良い送客方法を一緒に見つけていきたいと考えています。
これは配信最適化にとどまる話ではありません。1、2年後にはブランド側の戦略やターゲットも変わっていく可能性がありますが、その変化に合わせ、データ活用を通じてブランドマーケティングのパートナーとして引き続きご一緒していきたいと思っています。
河合(MTG):楽天市場は、いわば世の中の縮図です。楽天市場からSIXPADを盛り上げていけるよう取り組んでいきたいと考えています。
原田(MTG):SIXPADは今後もトータルウェルネスブランドとして、展開するカテゴリーをさらに広げていきます。お客様の悩みに寄り添ったプロダクト開発と、それを必要とされる方に正しいコミュニケーションで届けていくことを追求していきたいと思っています。
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