「広告を当てる」前提のルール・最適化はなくなる
さらに重要なのは、この最適化装置に「必ず何かを当てる」というルールを設定してはいけないということです。
誰に・どんな接点で・どんなタイミングで・どんなクリエイティブを当てるか。その選択肢の中には当然、「今は何も当てない」がなければなりません。むしろAIによる最適化が進めば進むほど、この「何もしない」という選択の重要性が見えてくるでしょう。もっと言うと、AIは競合ブランドの出稿、SNSでのサウンド状況、世の中のムードを観測して、自社ブランドの広告を最適化するでしょう。
今この瞬間に企業側から働きかけることが、企業と生活者との関係にとってプラスなのか、逆にマイナスとなるのか。筆者が「(広告の)最適な間」と呼びたいのは、このことです。広告を当てる精度だけではなく、広告を当てない精度を上げる。これはAI時代の広告において、意外に大きなテーマになるのではないでしょうか。
プロモーションの最適化から、4Pの最適化への移行
そして、ここまで来ると「広告」という言葉自体が少し狭く感じられてきます。マーケティングOSが判断するのは、「次にどの広告を出すか」ではなく、「この生活者との関係において、企業は次に何をするべきか」です。
広告を出すのか。商品そのものを体験してもらうのか。価格を変えるのか。売り場を変えるのか。コンテンツを提示するのか。他者の評価や評判に委ねるのか。あるいは、何もしないのか。
ここまで選択肢を広げて初めて、プロモーションの最適化から「マーケティングの最適化」に移行できる。そして、この瞬間に4Pがつながってきます。
Product、Price、Place、Promotionを最初から別々の箱として扱うのではなく、誰に・いつ・どのような価値を・どのような条件で・どのような接点を通じて提示するのかしないのか。これを一つの意思決定として思考する装置が、新マーケティングOSなのです。
それはもう広告と言えるものではなくなるかもしれません。そこに至って初めて広告とは何かを、マーケターは問われるでしょう。
