1to1指導の限界を打破!AIエージェントによるデータ人材育成への舵切り
「NATURAL BEAUTY BASIC」「NANO universe」など40以上のアパレルブランドを展開するTSIホールディングス。その中核としてECサイト「mix.tokyo(ミックスドットトウキョウ)」の運用を担うTSIでは、Treasure Data CDPやGoogle Cloudを用いて顧客データ・行動データ・店舗/ECの購買データなどを統合分析してきた。
しかし、データ活用を社内でさらに推進するにあたりいくつかの壁に突き当たっていた、と語る竹山氏。まずは、社員個々のデータハンドリングスキルのばらつきだ。また、データ活用領域は竹山氏や大橋氏が所属するデータマネジメント課が担っているが、営業や生産など他の部署・部門でもよりビジネス貢献につながる形で取り組みたいニーズが高まっていた。
さらに、属人的な教育体制も課題となっていた。当時、社内でのデータハンドリング教育は、先駆者であるメンバーが独学で得た知識を他の社員へ1対1で伝承していくスタイルに依存していた。この体制は、受講側の習熟度や学習ペースの違いに対応しきれないこと、一人の人間が直接指導できる範囲とスピードには物理的な限界があることも難点であった。
そこで同社が舵を切ったのが、LLM(大規模言語モデル)をベースにしたAIエージェントによる教育プロセスの内製化である。データ活用の教育を、AIという24時間いつでも並走してくれるパートナーに委ねることで、従来の人間対人間の指導体制にあったボトルネックを一気に解消しようと試みた。
個人のペースに徹底して寄り添う。LLMの4大メリットとは
データ活用の教育プロセスにLLMを導入するメリットとして、竹山氏は次の4つを挙げた。
1つ目は、個々の学習ペースに完全に合わせられる点。日々の通常業務を抱えながら新しいスキルを習得する社員にとって、全員が集まって同じカリキュラムを同じ時間で消化する一律型の研修はハードルが高い。学習のスピードや躓くポイントは一人ひとり異なるため、それぞれの日常業務の合間に自分のタイミングで学習を進められる環境は、内製化を支える強力な土台となった。
2つ目は、反復学習や質問の容易さ。相手がAIエージェントであれば、どれほど初歩的な質問であっても、また何度同じ説明を求めようとも、受講者は気兼ねなく徹底的に問い直すことができる。
3つ目は、データの機密性を保持できること。外部の一般的な生成AIサービスとは異なり、社内のクリーンな環境に構築されたAIエージェントであるため、TSIが保有するデータベースの構造やテーブル情報を前提とした具体的な質問を投げかけても、外部に漏洩するリスクを完全にシャットアウトできる。
そして4つ目は、カスタマイズが容易である点だ。受講者の習熟度やフェーズに合わせてプロンプトを微調整し、「開始1ヵ月の初心者向け」「慣れてきた中級者向け」といった最適な伴走役を柔軟に実現することが可能となった。
