人間1人とAIエージェント22体で商品開発!AI時代の革新的な運営体制
セッションの後半では、大橋氏によりAIエージェントとの共創事例が紹介された。それが、同社が新たに立ち上げた“働く女性の日常を支える”ブランド「NAVYNAVY(ネイビーネイビー)」の開発プロセスと体制だ。人間の担当者1人に対し、コンサルタント・デザイナー・マーケターといった個別の役割と人格を与えられた「22体のAIエージェント」がチームを組み、商品開発を進めたのである。
「AIエージェント同士が役割分担して議論を重ねることで、1人の人間の直感に頼らない多角的なアウトプットを実現しました」(大橋氏)
このAIエージェント同士の議論にヒントを得て生まれたコンセプトを、実際のプロダクトへ落とし込んでいく。たとえば、衣服のシルエットを崩さずに冷え対策ができる「ジャケットのカイロ用内ポケット」や、朝の慌ただしい準備時間を短縮しアクセサリー不要で華やかさを2WAYで調整できる「時短パールボタン」といったデザインが具現化された。人間が見過ごしがちだった抽象的なユーザーの悩みを、AIエージェントとの壁打ちによって具体的な機能へ昇華させたのである。
アパレルブランド「NAVYNAVY」における、AIエージェントとのブランド運営についての取材記事はこちら!
さらに、Treasure Dataにおける広告配信の最適化でも、AIエージェントの自律性が発揮されている。これまで人間が手動でターゲット設定していた顧客セグメントを、AIエージェントが膨大なデータを読み解き、示唆とともに様々なターゲット層を自律的に抽出できるようになった。
AIが特定したセグメントは多岐にわたるが、具体的な例として大橋氏が紹介したのは、深夜帯に活発な動きを見せる高LTVな顧客層「Night Owl(ナイトオウル)」。ECの特性として夜間に売上が上がることは感覚的に理解されていたものの、他の層と比較してこの層の購入頻度の高さをAIは定量的なグラフを示して証明した。
この裏付けを得たことで、同社は22時以降の深夜帯に特化した広告施策や配信ボリュームの増加などに確信を持ってアクセルを踏み込めるようになったのである。
広告費用対効果927%、企画スピードは4倍以上に。TSIが描く未来
AIエージェント活用の成果は、定量面でもインパクトを残した。特定のマーケティングキャンペーンにおいて、927%という圧倒的な広告費用対効果(ROAS)を実現。さらに実務の現場における生産性の変化についても、大橋氏は次のように手応えを語った。
「実務のスピード感が劇的に変わりました。AIが出した案を人間がブラッシュアップして、以前は1ヵ月ほどかかっていたような企画や分析が、今では1週間ほどで形になります。現場の生産性が根本から変革されています」(大橋氏)
最後に竹山氏が、これらの取り組みを踏まえた今後の展望を語った。事実として、これまでデータハンドリング人材によるマーケティング開発には約半年を要していたが、AIエージェントの伴走によってわずか2ヵ月に短縮された。今後はこの成功事例を営業や開発といった社内全体へ拡張し、「点」として存在しているAI活用の取り組みを「線」へと接続。さらなるビジネス貢献を目指す。
分析プロセスの進化においても、過去の複雑なデータ加工やテーブル作成の履歴をAIが順序立てて正確にドキュメント化してくれる仕組みが整いつつあり、育成スピードのさらなる加速を見込んでいる。
TSIが次に見据える未来は、ビジネス貢献につなげるためのデータ活用による施策実行と、リアルタイムなパーソナライズの実現だ。ユーザーが「今欲しい」と感じた瞬間の熱量を捉え、在庫の有無やチャネル、届けるべきタイミングをAIがスピーディに最適化する。業務体験の効率化と顧客体験の高度化に取り組みながら、リアル店舗とEC双方の売上向上へ向けて挑戦を続けていくとし、竹山氏はセッションを締めくくった。
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