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統括編集長インタビュー

「道は無料の観光資源」“ラントリップ”の普及に疾走する元箱根駅伝ランナーの挑戦

 「サーフトリップ」という言葉がある。サーファーたちの中で使われている言葉で、よい波を求めて、世界中を旅することを指すのだという。この言葉にインスピレーションを受け命名された「ラントリップ」というランナー向けサービスが2015年7月にローンチした。「道は無料の観光資源」と語るラントリップ創業者の大森氏は、どのような想いで始めたのだろうか。

よい道を求めて旅をする「ラントリップ」

── まず、サービスの立ち上げ経緯を教えてください。元箱根駅伝ランナーだったとか。

 はい、学生時代に第84回箱根駅伝を走りました。その後、リクルートグループに入社し営業職を2年経験してから、地元の横須賀にある観光事業を展開している会社に就職し、無人島の管理などをしていました。その会社に在籍しつつ、NPOを立ち上げランニング教室みたいなことも並行してやっていました。そういった中でランニングと観光業界、それぞれに課題を感じていたのですが、補い合うことができるのではと考え「ラントリップ」の構想が生まれました。

ラントリップ 代表取締役 大森英一郎氏
ラントリップ 代表取締役 大森英一郎氏

── 私はラントリップをフェイスブック経由で知りました。自分が気に入った道を紹介するというアイデアが面白いなと思いました。

 ありがとうございます。ネーミングは「サーフトリップ」からとっています。サーファーがよい波を求めて旅をするように、ランナーがよい道を求めて旅をするスタイルが提案できたら、楽しいだろうなという想いからです。きっかけは自分の体験。地元の横須賀にある馬堀海岸沿いの道を、私はよく走っていたのですが、ランニング教室で紹介するとすごく喜んでもらえて嬉しかったんです。この道をもっと色々な人に紹介したいという想いがありました。そういった経緯から2014年の夏ぐらいからサービス開発をスタートし、2015年の7月に正式ローンチしました。

数字だけでは壁にぶち当たる

── 先ほどランニングと観光業界、それぞれの課題を感じたとありましたが、具体的には双方にどのような課題を感じたのでしょうか。

 ランニングにおける課題は「ランナーの良し悪しが数字面でしか語られていない」という点です。私自身、学生時代は記録に一喜一憂し、毎日数字と向き合う日々だったのですが、近年のランニングブームの中でもランナーの良し悪しが数字でしか語られていないと感じます。まさに、記録に一喜一憂していた私の学生時代と重なったのです。

 箱根駅伝を走れたことはもちろん嬉しかったのですが、多い月で月間800キロぐらい練習で走ってまして、その反動で出場後は3年ぐらいまったく走らない時期ができました(笑)。もう、走るのが嫌で嫌で。周りを見るとお金を払ってマラソン大会に出場する人が増えていて、当時はなぜお金を払って自ら進んで走るの!? と疑問をもつぐらいでした(笑)。

── ランニングを続けているとおのずと長く速く走れるようになり楽しくなりますが、一方で距離やタイムにこだわる傾向にもなりがちですね。

 もちろん、それも悪いことではなくそれはそれで楽しい時期もあります。ただ、自分の経験からだと数字だけを追いかけていると、超えられない壁に必ずぶち当たります。それで苦しんでいるランナー仲間も何人か知っていました。もっと違った側面からランニングを楽しむ方法があってもよいのではないかと思ったのです。

 一方、横須賀でランニング教室を開催すると東京、千葉、埼玉などからランナーが集まります。参加者から「知らない土地を走るのが楽しい」という声を多く頂いていて、ランニングにはこういうニーズがあるんだとその時に気づきました。

── それ、わかります。私も旅行や出張などに、ランニングシューズを持参して走ることがあるのですが、知らない土地を走るのはいろんな発見があって楽しいです。

 楽しいですよね。一方で、観光業界にも課題を感じていました。私が一番の課題だと感じていたのは「局所的な集客」です。地域活性化のために、一日限定で局所的なイベントを行うことってよくありますよね。これは、一見正しく見えるのですが、受け入れ側は慣れてないと大変なんです。サービスのクオリティが下がったり、交通機関の調整をしたり。なので、突発的なイベントではなく、平均的に人が訪れるような仕組みを作ることができないかなと感じていました。

── 近年各地で行われているマラソン大会でも、その傾向が見受けられますね。普段、受け入れが慣れている地域は、スムースに対応できますが、人がたくさん訪れることに慣れていない地域の大会は、やっぱり運営が慣れてないなと感じることがあります。

 そこで思いついたのが「道を観光資源にする」というコンセプトです。道は常にありますしいつ来ても平気です。よい道ありますとアピールすればいいだけですし、コストもかかりません。一方で、ランナーは知らない土地を走りたいと思っている。この2つを掛け合わせることができないかと思ったのです。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア部門 メディア編集部 部長/統括編集長1978年生まれ。立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、『MarkeZine(マーケジン)』の立ち上げに参画。2006年5月のサイトオープン以降、MarkeZineの企画・運営を一貫して担当。2011...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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