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人の目からシステムへ カルビーが取り組む、校正“作業”を減らすためのDXとは

 昨今、DXという言葉をビジネスシーンで耳にする機会も増え、多くの企業がその取り組みを加速させている。「じゃがりこ」、ポテトチップス、「かっぱえびせん」などの商品をもつカルビーも例外ではない。そんな同社の取り組みのひとつが、商品パッケージにおける校正作業の一部を自動化するシステム「CAPS(Calbee Automatic Proofreading System)」の導入だ。パッケージに記載されている原材料やアレルゲンなどの情報は、法令順守や消費者の健康を守るためにミスが許されないからこそ、人数をかけ、人の目で細かくチェックする“作業”が発生していた。本取り組みは、そういった“作業”に膨大な時間がかかる状況を改善するためにスタートしたもの。その背景や具体的なアクションについて、カルビー株式会社 DX推進部 部長 森山正二郎さんに話を聞いた。

カルビーにおけるDXは、現場主導・課題ありきの「泥臭い活動」

――まず、森山さんの担当業務や、DXに関する体制などについて教えてください。

私の所属している部署は昨年度までは「情報システム本部 情報システム部」という名前でしたが、2022年度から「DX推進本部」という名前に変わり、その中に「情報システム部」と「DX推進部」のふたつの部が置かれました。

この組織変更のポイントは「DX推進のための守りと攻めの布陣を敷いた」点。カルビーが目指すDXは、何をしたいか、課題は何かを明らかにし、その解決に必要なデータを集め、基盤やシステムを整備するという目標具現型アプローチを目指しています。そのためには、現場で働く社員とともに課題を掘りだして価値ある改革につなげる攻めの活動と、実現に必要なインフラを固める守りの活動が並行しなければならないため、それに応えうる組織にしたというわけです。現場に入り現場とともに汗をかく部隊が、今年新設された「DX推進部」で、守りを固める部隊が「情報システム部」です。

私が所属する「DX推進部」ではもともと生産畑でIoTに取り組んでいたメンバーふくめ、おもに生産現場でのDX課題に取り組んでいます。我々は工場のDXを「つながる工場」と呼んでいますが、製造ラインにおける稼働の効率化を狙った活用モデル、たとえば原料となる馬鈴薯の品質を予測して生産オペレーションの最適化を目指す、といったモデルが複数進められています。現場間の壁を超えた業務の効率化や品質・生産性の向上につながっていく手ごたえを感じており、とくに工場で活動していた推進部のメンバーは、今は日本各地の工場を飛び回ってDXの「布教活動」を行っています。

工場のDXのほかにも、カルビーが原料調達からお客さまに商品をお届けするまでのバリューチェーンのさまざまなプロセスで、事業部門ごとにテーマを掲げて取り組んでいます。商品の需給バランスの改善に取り組むSCMの課題、お客様ご自身と直接つながるルビープログラムを通じて新たな関係を築こうとするマーケティングの課題、そして従来の馬鈴薯管理方法を変え、省人化・効率化・収益性向上を目指す馬鈴薯圃場管理の課題などが今取り組んでいるものです。

いずれの活動も現場の課題を解決するためにデータを集め、分析し、そこからの発見を改善に生かすという非常に地道かつ泥臭い活動です。しかし、そうした活動の積み重ねからしか成果は生まれないと信じています。将来的にはこれらの取り組みを全体でつなげ、新しい価値を作り出したいと考えています。

こうしたDX推進業務の一方で私は、商品情報を統合するシステムの担当も兼務しており、今回のパッケージシステム「CAPS」の取り組みは、商品づくりのプロセスにおける問題意識から生まれたプロジェクトです。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/07 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39976

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