AmazonやWalmartも!広がるリテールメディア×リスティング広告の動き
検索した瞬間のモチベーションの高いユーザーにアプローチできるというリスティング広告の特徴を応用し、それをリテールメディアと組み合わせる動きが近年出てきた。
ECサイト内で検索行動をするユーザーは、インターネット上で検索行動をしているユーザーよりも購買意欲が高く、ブランド企業にとって重要な存在だ。またリテール側の視点では、新たな売り上げ獲得の手段となり得る。何より、ECサイト内でのリスティング広告ならサードパーティーCookie規制の影響も関係ない。
このように高い広告効果が期待できる場であれば、そこに出稿したいブランド企業が増えるのも自然な流れだ。加えてユーザー側としても、検索と連動しているためリターゲティング広告のような煩わしさを感じづらく、むしろその企業への好意度が上がりやすいと考えられる。
既にAmazonは、自社サイトをリテールメディアとして活用。ECサイトの売り上げも拡大している中、3年間で3倍の広告事業収益(推計)を生み出している。Walmartも同様の動きを行っており、2021年の広告収益は前年度比で約2倍となった。
「紹介したような欧米での動きが日本に浸透するのには時間がかかりますが、来年か再来年あたりには日本のリテールメディア元年が訪れるのではないかと感じています」と山崎氏はいう。
レビューもリテールメディアの力を高めるコンテンツの一つ
山崎氏によれば、リテールメディアにおいてさらに新しい流れが生まれつつあるという。それは、UGC(User Generated Contents)と呼ばれるユーザーの生成するコンテンツを活用し、リテールECサイトのメディアとしての力を強化しようとする動きだ。
ECサイトにおけるUGCとは、口コミ(いわゆるレビュー)を指す。リテールECサイトでユーザーが積極的に投稿をする状況を作れば、リテール企業側の一方的な発信に終わらず、ユーザーの投稿自体もメディアコンテンツとして機能していくのだ。
山崎氏が紹介した統計データでは、レビューに対し何らかのアクションを取っているユーザーは120.3%CVが高くなることが示されている。他にもレビューが付いている状態のCVの高さや、おすすめ度を示す星の数によるCVRの変化からも、レビューの有効性は明白だ。
「実際私も、ECサイトで年間200〜300件ほど買い物をしていますが、レビューが0のものはなかなか購入に踏み切れません。またおすすめ度を示す星の数が多くても、レビューが極端に少ないと信用していいのか不安に感じてしまいます」と山崎氏は自身の経験も紹介。
現在はレビュー機能のないECサイトもまだまだ存在しているが、これからはレビューの付いていないモノが売れなくなるだけでなく、レビュー機能がないECサイト自体も伸びづらくなってくるのではないかという。