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『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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MarkeZine Day 2023 Spring

スキンケアの「タカミ」とスポーツバイクの「スペシャライズド」が実践する、ブランド体験の高め方

 利益を拡大させるためにはLTVの向上が不可欠だ。そのためには質の高い顧客体験の設計が求められるが、顧客との接点がECメインのブランドの場合、実店舗メインのブランドとは体験設計のポイントが異なりそうだ。LTV向上の支援を行っているwevnalの磯山氏と、グローバル自転車ブランド「スペシャライズド」の谷口氏、スキンケアブランド「タカミ」の佐藤氏がMarkeZine Day 2023 Springに登壇し、ECを基点としたCX改善のポイントを語りあった。

CXの改善を通じて高額でも購入しやすい“土壌”をつくる

磯山(wevnal):まず、各々のブランドでCXの改善が求められた理由を教えてください。

wevnal 代表取締役CEO 磯山博文氏
LTVの最大化を目指し、集客から購入、継続、解約までの
様々なタッチポイントで企業のブランド体験改善を支援している

谷口(スペシャライズド):当社のオンラインストアで販売している自転車は、エントリーレベルで5万円程度、最高峰のものでは180万円を超えます。この価格帯の商品をオンラインで購入いただくハードルは非常に高いでしょう。そこで、たとえ高額であってもスムーズに購入できる土壌をつくる必要があると考えたのです。

スペシャライズド・ジャパン マーケティング シニアデジタルコマースマネージャー 谷口幸生氏
1974年に米・カリフォルニアで設立されたロードバイク・マウンテンバイクの総合ブランドにおいて、ECサイトの運営を担当する

佐藤(タカミ):日本ロレアルが運営する「タカミ」では「生涯 美肌のかかりつけ」をブランドフィロソフィーに事業を展開しています。お客様に生涯にわたって正しいスキンケアを習慣化していただくためには、一回きりの製品購入ではなくLTV向上を目指した体験設計が自然と求められるわけです。

日本ロレアル タカミ事業部 CXマネージャー 佐藤秀和氏
スキンケアブランドの「タカミ」でCX設計に携わっている

三つの配送方法でEC購入のハードルを下げる

磯山(wevnal):CXの改善を目指してスペシャライズドが取り組んできた具体的な施策を教えてください。

谷口(スペシャライズド):私が入社した当時のECサイトは全体的に古めかしく、まずはサイトのUI/UXを改善させるため、サイトのフルリニューアルを行いました。

リニューアル後のサイトの一部。刷新にともない、Instagramのユーザー投稿を紹介するコーナーも設けた

谷口(スペシャライズド):また「どうすれば高額な自転車をECで購入してもらいやすくなるか」を考えた結果、自転車の届け方に改善の余地があると考えました。そこで、配送方法に次の三つのバリエーションを設けたのです。

1.Ship to Home
2.Specialized Delivery ※現在はサービスを停止中
3.Click&Collect

 一つ目の「Ship to Home」は、商品を9割程度組み立てた状態でお客様の自宅まで配送する方法です。自転車に関する知識を既にお持ちの人やDIYが得意な人には、この方法が好まれています。二つ目の「Specialized Delivery」は、100%組み立てた状態で自宅まで届ける配送方法です。三つ目の「Click&Collect」では、お客様に希望の販売店で商品を受け取っていただきます。お客様が販売店に出向く必要はありますが、専門店でしっかりとした説明を受けられるため、より安心して自転車にお乗りいただける点が特徴です。

磯山(wevnal):スペシャライズドの取り組みで私が非常に興味深く感じたのは、購入前のみならず購入後、つまり“商品が届くまでの期間”も体験の一つと捉えている点です。その結果、ロードバイクのエントリー層が感じるであろう「本当に乗りこなせるか」といったペインはSpecialized Deliveryを用意することで払拭しています。一方で、ロードバイクに既に乗り慣れた顧客に対してはShip to Homeを通じ、「最後は自分で完成させる」という玄人の心をくすぐっている。おもしろい取り組みだと思います。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・翻訳ツールなど...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/26 08:30 https://markezine.jp/article/detail/42206

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