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【特集】イマドキの中高生・大学生のインサイトを探る

エンタメを楽しみ、便利な機能を活用し、相手の反応を気にする──LINEリサーチから見るZ世代・α世代

多様化する「推し活」、投資への意識も変化

──続いて、10代後半〜20代前半の若者が夢中になっている話題やコンテンツについて教えてください。

 エンターテインメントへの関心が強く、特に音楽と動画が中心です。次いで漫画やアニメも5〜6割が毎日触れています。音楽は通学時や勉強中のBGMとして日常的に使われており、生活の様々なシーンで触れる接点が多いコンテンツともいえます。

 ゲームについては、単にプレイするだけでなく、配信を見たり、オンラインで一緒にプレイしたりする形態も多いです。VRへの抵抗感もなくなっているものの、日常的な娯楽としてはまだ普及していません。

 また、10代では8割程度が「推し」を持っています。「推し」を持っている人は一定層おり、40代でも5割はいる状況です。若年層で特徴的なのは、現実のアイドルだけでなく、アニメや漫画のキャラクター、2次元コンテンツなど、推せる対象が幅広くなっていることです。YouTubeやSNSなど接点も多様化しており、以前までの「推し活」とは異なる様相を見せているようです。

図表3 10~20代の推しジャンル/傾向。10代では「動画投稿者(YouTuber/VTuber/TikTokerなど)」や「ゲームの登場人物・キャラクター」が他の年代に比べて割合が高い(出典:LINEリサーチ「調査レポート」2024年4月2日公開https://lineresearch-platform.blog.jp/archives/44545473.html)(タップで画像拡大)
図表3 10~20代の推しジャンル/傾向。10代では「動画投稿者(YouTuber/VTuber/TikTokerなど)」や「ゲームの登場人物・キャラクター」が他の年代に比べて割合が高い(出典:LINEリサーチ「調査レポート」2024年4月2日公開)(タップで画像拡大)

──コロナ禍を経験した若者のリアルな活動やコミュニケーションについて、何か変化は見られましたか?

 調査はありませんが、現在の大学4年生は、入学時にオンライン授業しかない環境を経験しており、学園祭などのリアルイベントが再開された際には「こんなに人がいたのか」と新鮮に感じているようです。ただ、高校時代はコロナ前のリアルなコミュニケーションを経験しているため、完全な断絶があったわけではありません。

──デジタル情報量が多い中で、若者の社会課題や政治、経済への興味関心はどうなっていますか?

 エンターテインメントへの関心が目立ちがちですが、SDGsなどのグローバルな動きに対する感度は高く、むしろ上の年代よりも自然にキャッチアップしている面があります。

 政治への関心のきっかけは意外にもテレビや学校の授業が中心ですが、YouTubeや候補者の発信など、接点が多様化しています。堅いテーマであっても、様々なメディアを通じて興味を持ちやすい環境になっているのです。

 また、投資への意識が生まれています。上の世代と比べて投資に対する心理的なハードルが低く、資産形成の手段としてフラットに捉えている傾向があります。総じて、若い世代は新しい情報や考え方を柔軟に受け入れる能力を持っているように見えます。

根本は昔と変わらない、先入観を持たずに声を聞く

──若年層を理解するために、どのような点に注意すべきでしょうか?

 私は30代後半でLINEに入社するまでは、若い世代との接点がほとんどない状況でした。LINEヤフー社はLINEをはじめ、多くのユーザーが使うサービスを抱えており、各サービスの成長を支えるためにも、若年層の理解は必須でした。また、LINEリサーチという事業の成長も、もう一つのミッションでした。

 そこで多くの若年層を含むLINEユーザーがアンケート会員となってくださっているLINEリサーチを活用し、社内向けの調査業務を行ったり、若年層を対象とした自主調査を行ってコンテンツを発信したりしてきました。

 メディアから流れてくる情報だけでは、若年層に対してきっとこうだろう、というイメージや思い込みをつい抱えてしまうかもしれません。しかし、若年調査を改めて見返してみると、実は彼らの本質は私たちの若い頃と変わっていないことがわかりました。

 確かに、現在の30代以上に比べ接している情報の量・質は違いますし、デジタルリテラシーも高いです。一方で、漫画を読んだり、友達と出かけたり、カラオケに行ったりする基本的な楽しみ方は変わっていません。現在は様々な方法でコンテンツを楽しめる環境にあるというだけです。大切なのは、先入観を持たずに声を聞くことです。

 実務的な観点では、LINEリサーチの環境では、高校1年生から3年生までなど、細かく割り付けて数万サンプル規模の調査を行えます。また最近では、「Quickインタビュー」という、オンラインインタビューができるセルフ型ツールも登場しました。やはり、リアルなユーザー様とお話しすると必ず発見があり、顧客の解像度が一気に高まります。

 社外のお客様にも提供していますので、当社だけでなく、みなさまのより良いサービス企画につながれば嬉しいですね。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/02/25 09:30 https://markezine.jp/article/detail/47826

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