好きなブランドの存在は人生も豊かに──ウェルビーイングから考えるブランドの価値
顧客満足を高める、再購買につなげる、ブランドへの愛着を高める──ブランド・マネジメントでは、こうした成果が重視されてきました。その重要性は言うまでもありません。しかし、ブランドが顧客にもたらす価値は、これに限りません。
関西学院大学の松原優助教と明治学院大学(現・法政大学)の木川大輔准教授の『ブランド研究における消費関連ウェルビーイングと一般的ウェルビーイングの統合―日本における検証―(日本語版はこちら※PDFダウンロード)』は、ブランドとの関わりから得られる幸福が、生活や人生全般の幸福とどのようにつながるのかを、日本の消費者データから明らかにしています。
本研究では、ブランドとの関わりから生まれるウェルビーイングが、どのような要因によって高まり、さらに人生満足やブランドへの態度・行動にどうつながるのかという一連の心理的プロセスを検証。その基本的な構造が、製品ブランドとサービスブランドの双方である程度共通して現れることを示しています。
LTV(顧客生涯価値)が「顧客が企業にもたらす価値」を捉える指標だとすれば、その視点を反転させて、「ブランドが顧客の人生にもたらす価値」を考える。本研究は、ブランドと顧客のウェルビーイングとのつながりを捉え直し、「顧客の人生に寄り添うブランド」を考えるためのロードマップを提供してくれます。

ウェルビーイングを軸に「マーケティングの目的」をアップデート
これら4つの論考は、いずれも「マーケティングは何のための活動なのか」という根本的な問いを私たちに投げかけています。マーケティングは、売上などの業績を生み出すだけでなく、人々の幸福にも寄与し得る可能性を持っています。
ただし、ウェルビーイングという視点がマーケティングにもたらすのは、単にこれまでとは異なる新しい成果指標を1つ付け加えることだけではありません。マーケティングにとって「成功」とは何か。その意味自体を問い直すことで、新たな市場やビジネスの可能性を発見する糸口ももたらします。
環境の変化や価値観の多様化が進む今、マーケティングに求められるゴールもまた変わりつつあります。自社の売上やブランド価値を高めるその先に、何を実現したいのか。今回紹介した研究をヒントに、自社のマーケティング活動が目指す「一歩先のゴール」を問い直してみてはいかがでしょうか。
