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『広告ビジネス次の10年』刊行記念コンテンツ

【横山×真野対談】広告枠売買の「代理」から、マーケティングの「代理」へ/『広告ビジネス次の10年』立ち読みコンテンツ


 広告主はいま広告代理店に何を求めているのだろうか。キリンビールで長く広告関連業務に関わり、現在は日本インタラクティブ・マーケティングの代表取締役として、マーケティング支援業務をおこなう真野英明氏に横山隆治氏が迫った(この記事は『広告ビジネス次の10年』からの転載記事です)。

従来型メディアにデジタルが加わった環境をとらえる

横山:広告代理店は広告「代理」店という言葉が表しているように、企業が広告枠を買う代理、あるいはメディアが広告枠を売る代理を担ってきました。そのための職能開発をしてきた歴史があるので、なかなかいまの環境変化やそれにともなう企業のニーズの変化に対応できていない部分があると感じています。真野さんは、キリンビールで長らく広告関連の業務をされ、現在はデジタル関係を中心にマーケティングのコンサルティングをされていますが、まずは昨今のコミュニケーション環境の変化についてうかがえますか?

真野:大きな変化として、2点挙げられると思います。まずは、デジタル領域を中心に消費者接点が増え、コミュニケーションが複雑になっていること。皆さん感じていることかと思いますが、いまはテレビ広告だけやっておけば、新聞だけ押さえておけばいい時代ではありません。かといって、「デジタル」だけをやっていればいいわけでもない。それに、デジタルと一言で言ってもプッシュ型からプル型までさまざまで、手法も次から次へと出てきます。 これをすべて把握するのは、広告主にとっても広告代理店にとっても容易なことではありません。もう一つの変化は、デジタル化にともなう企業の組織の変化です。

デジタルインテリジェンス 代表取締役 横山隆治氏(写真右)
日本インタラクティブ・マーケティング 代表取締役 真野英明氏(写真左)
デジタルインテリジェンス 代表取締役 横山隆治氏(写真右)日本インタラクティブ・マーケティング 代表取締役 真野英明氏(写真左)

 JAA(日本アドバタイザーズ協会)でも課題になっているのですが、担当者レベルではデジタル領域に積極的でも、宣伝トップの皆さんがなかなか追いつかない現状があります。その中で抜きん出ていく企業は、前述の環境変化に合わせて、組織とミッションを見直しはじめています。

横山:大手企業でもですか?

真野:そうですね、全体からいうとまだまだ少ないですが。でも考えてみれば、以前はカタログでモノを売っていた通販企業でも、オンラインが主戦場になっているケースが少なくないですし、代理店販売が中心だった航空券などはオンライン中心になってますよね。環境変化にともなって売り方やアプローチが変わっているのですから、組織も考え直さないといけないというのは自然かと思います。

横山:デジタルへの対応という点では、もしかしたら消費者の方がスムーズにできているのかもしれませんね。

真野:それはあると思います。都市部ばかりかと思いきや、実は地方でも広告のデジタル化が進んでいますし。我々が地方の広告代理店をお手伝いする際、1週間分の新聞チラシを取っておいてもらうんですね。それでメールアドレスや二次元コードなど、デジタル化がどの程度進んでいるかを見るのですが、都市部とほとんど変わりません。

 東北のあるスーパーで、電子マネーのカードを導入したところ、おばあちゃんたちが「これ小銭が要らなくて便利ね」と言って自然に使っている、という例もあります。デジタルデバイスの活用促進で重要なのは、お客様に利便性をご理解いただくよう教育することです。それによりマーケティングが激変します。

 とはいえ、従来の手法がデジタルに取って代わったわけではなく、デジタル領域に触れていない人だってまだ多い。逆に、テレビを見ない人、新聞を取っていない人、でも車通勤でラジオは聴く、という人もいます。デジタルの話題が挙がるとつい、それで得られるデータの活用は、といった方向に目が行きがちですが、従来のメディアを含めた環境も把握する必要がありますね。

広告主は司令官、広告代理店は戦略パートナー

横山:複雑化するコミュニケーション環境をとらえることは、広告主にも広告代理店にも求められていることかと思いますが、スピードも速いだけに、おっしゃる通り簡単ではありませんよね。

真野:そうですね。当然、状況把握だけでなく、それを持って施策を立て実行し、効果を検証して次へ活かすというマーケティングのPDCAを回していかなくてはいけない。これまでの広告代理店は、そこに入り込めていなかったと思います。冒頭でおっしゃったように、あくまで「代理」業の出入り業者で、前述のPDCAは基本的に広告主側のマーケティングセクションが担っていました。

 でも、いくらデジタル化によって豊富なデータが広告主に集まったとしても、それを分析したり最新の技術を勉強したりしながら最適な道を選び取っていくのは、正直申し上げて広告主の内部だけではもはや無理だと思います。

 これには、人事異動の問題もあります。基本的に広告主企業ではその業種におけるジェネラリストを養成するために、部門のローテーションがおこなわれます。宣伝部、しかも同じ商品を5年10年担当する人というのは稀です。むしろ広告代理店側の担当者の方が過去の履歴に詳しい、などということも珍しくない。

横山:確かに、そういうことはありますね。で、担当者が変わると同じ失敗を繰り返すという。

真野:環境や状況が違うので失敗してもいいと思うのですが、やはりそこは前回の経験を踏まえて比較しながらトライすべきですよね。そうでないと、またゼロからのスタートになる。そんな状況を踏まえると、これから広告代理店が担うべきは、広告主が司令官として正しく判断することに集中するためのお手伝いだと思います。言い換えれば、マーケティング戦略パートナーの役割です。

横山:出入り業者から、戦略パートナーへ。ずばり、本書のテーマである「次世代型の広告代理店」の姿ですね。

真野:ええ。昔から、そうした関係を築いて成果をあげてきたケースはありますし、そのように変わろうとしている広告代理店もでてきていると思います。でもまだ多くの広告代理店では、とにかく広告枠の発注を目指して広告主を訪問し、株価や天気の話をし、発注をもらったら「あとはクリエイティブ部門よろしく!」という感じで手を離していく。そんな仕事が中心なのではないでしょうか。

 新しい技術や手法にしても、いち早く勉強して提案するのは悪いことではありませんが、それが本当に担当企業に必要なのか、という視点が欠けていることが多いと思います。それでは施策が単発になってしまい、広告主の立場に立ってマーケティングの戦略パートナーとしてお手伝いをしていくことはできませんよね。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/04/30 16:32 https://markezine.jp/article/detail/19856

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