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第98号(2024年2月号)
特集『お客様の「ご愛顧」を得るには?』

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カスタマージャーニー研究プロジェクト(AD)

「取り引きしてみようかな」を逃さない――SMBC日興証券が口座収益2倍を実現できた理由とは?

1口座あたりの収益が2倍以上に

 シナリオの改善を継続して進めていった結果、初回ログイン率は大幅に上昇。Marketing Cloudを活用した新規口座開設後のメールフォロー施策によって、口座稼働率にも大きな変化が現れた。

 「2017年度の新規開設口座において、施策を『実施した口座』と『実施していない口座』で比較したところ、1口座あたりの収益が、結果的に2倍以上になりました。また1口座あたりの資産も、実施している口座のほうが7割ほど多いことがわかりました」(天宮氏)

 このように、大きな成果を出した同社の取り組みには、2つのポイントがある。1つ目は、対面営業によって培った「徹底した顧客視点」で描いたカスタマージャーニー。2つ目は、A/BテストなどのデータをもとにPDCAを重ねて、絶えず進化するシナリオだ。

 「当社では、新たなシナリオを作成する際にはトライアル期間を設けて企画やメール文面などのブラッシュアップを行っています。たとえば、“NISAの口座開設完了後のフォロー”というシナリオを作成した際には、『口座開設のお礼』や『取引方法』、『取引可能な商品』の案内を送付しましたが、それが『口座利用率』に貢献しているのかをチェックしながら、改善を繰り返しました」(丸山氏)

実際の企画書フォーマット
企画書フォーマット

 また口座開設後のシナリオを見直すなかで、新規口座開設直後の顧客から「取引サイトのログイン方法が分からない」という問い合わせを多く受けていることがわかった。そこで、ログイン方法を案内するメールに掲載している、ログイン画面の入力箇所をハイライトでわかりやすくするなど、UIを改善。その結果、問い合わせ件数の削減に成功した。

メールの改善例
メールの改善例

 「このような細かな改善への取り組みは、部内はもちろん、経営層と現場レベルでVOC(お客様の声)を共有する会議体を設けながら進めています。組織一丸となって非対面チャネルの顧客コミュニケーションの最適化を進めてきた成果が、今こうして数字として現れ始めた、そう考えています」(丸山氏)

「Community Cloud」導入で多様化したニーズに応える

 同社は今後、「Salesforce Community Cloud」(以下、Community Cloud)の導入も検討している。Community Cloudは、顧客1人ひとりとオンライン上で24時間コミュニケーションを取ることができる、オンライン・コミュニティ・プラットフォーム。

 丸山氏はCommunity Cloudによって、これまで一方的だったコミュニケーションを「双方向にしたい」と述べる。同社では、顧客にとって重要である情報を、都度電話やメール、DMなど、様々な方法で伝えている。しかし、顧客が「自分の申し込み状況を知りたい」と思うタイミングは様々だ。「支店やコールセンターに電話して確認したかったけど、営業時間外で電話できなかった」という状況も起きてしまっていたのだ。

 「現代はインターネットで完結できないサービスはありえません。当社の取り引きで担当の営業スタッフが付いているお客様もそう思っていらっしゃると思います。新たにCommunity Cloudを導入することで、多様化するお客様のニーズに応えていきたいです」(丸山氏)

 将来的には、Community Cloudによる「オンライン口座開設」や「リード獲得」などにも取り組んでいくという。「非対面チャネルを充実させることで、対面チャネルをフォローする存在となりたい」と語るダイレクトチャネル事業部。今後の新たな挑戦と、その成果に注目だ。

カスタマージャーニー研究プロジェクトチームのコメント

加藤:対面営業によって培った顧客視点の延長を非対面、つまりデジタルのカスタマージャーニーで実現する。このチャレンジにおいて、メールやLINEという複数の接点の使い分け、シナリオの構築は欠かせませんが、その根本にあるものは人対人の温かいコミュニケーションです。デジタルコミュニケーションの成功要因は、お客様に徹底的に向き合うこと。顧客視点が企業に何をもたらすかが証明されている素晴らしい取り組みだと感じます。

押久保:「対面営業で実現できている『きめ細やかなOne to Oneマーケティング』を非対面でも実現すべく、彼らが営業時代にお客様に対してしていたこと・経験してきたことを、シナリオに落とし込む」。対面営業で実現できていることを非対面でも実現するためにテクノロジーを活用するという、目的と手段の意識が明確に読み取れて素晴らしいと感じました。正しい意思決定はこうした姿勢から生まれるという学びにもなりました。今後のCommunity Cloudの取り組みについても楽しみです。

カスタマージャーニー研究プロジェクトとは?
「カスタマージャーニー」、顧客の一連のブランド体験を旅に例えた言葉。デジタルやリアルの接点が交差し、顧客の行動が複雑化する中、「真の顧客視点」に立って、マーケティングを実践する重要性が増してきました。
カスタマージャーニーに基づいたマーケティングの必要性は、その認知が進む一方で、「きちんと“顧客視点に基づいたシナリオ”を作成し、運用できている企業はまだまだ少ない」多くのマーケターに意見を聞くと、そのように認識されています。
今回、押久保率いるMarkeZine編集部とセールスフォース・ドットコム マーケティングディレクターとして、各企業とジャーニーを研究してきた加藤希尊氏を中心に、共同でカスタマージャーニー研究プロジェクトを立ち上げました。本プロジェクトでは、「顧客視点のマーケティング」における成功例を取り上げ、様々なアプローチ方法をご紹介していきます。その他の成功例はこちら

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この記事の著者

加藤 希尊(カトウ ミコト)

チーターデジタル株式会社 副社長 兼 CMO 広告代理店と広告主、BtoCとBtoB両方の経験を持つプロフェッショナルマーケター。WPPグループに12年勤務し、化粧品やITなど、14業種において100以上のマーケティング施策を展開。2012年よりセールスフォース・ドットコムに参画し、日本におけるマ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/02/21 10:00 https://markezine.jp/article/detail/30075

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