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[最終回]どのように3つの言葉に収束させたのか 行動指針決定の最終プロセスを一挙公開

 本連載では、ボトムアップで行動指針を策定するプロセスをご紹介します。オンラインワークショップなどを同時参加者が数百人を超える規模で、どのように参加意欲と納得感を高められるようにしていくのか。ワークショップだけでなくその前後の時間軸も含めた全体的な体験デザインのノウハウを、ヘイ株式会社での事例を踏まえてステップ別に連載します。第4回は、「ブラッシュアップ」がテーマです。

 第3回の記事では、320人を超えるオンラインワークショップと行動指針を策定するプロセスを、具体的にどのように運営していくのかを紹介しました。第4回のテーマは「ブラッシュアップ」です。実際にワークショップを経てアウトプットされたメンバーの言葉や想いを、どのように行動指針として3つの言葉に収束させていったのかを、「ダブルダイヤモンド」のプロセスを軸にお伝えします。

ダブルダイヤモンドのプロセスを土台に、言葉の精度を高めていく

 ボトムアップで発散されたアウトプットをどのように収束させていくか。言語化を進めていくフェーズにおいては、デザイン思考における「ダブルダイヤモンド」のプロセスを土台とすることでアウトプットの精度を高めることができます。

発散と収束を繰り返すダブルダイヤモンドのプロセス(Wikipediaの図をもとに作成)。
発散と収束を繰り返すダブルダイヤモンドのプロセス(Wikipediaの図をもとに作成)。

 ダブルダイヤモンドのモデルとは、発散と収束を繰り返しながら課題の見極めと解決策の精度を高めていくプロセスをモデル化したものです。上の図の左側は、探索を通じて正しい問題や方向性を絞り込み「正しく物事を見極める」プロセス。右側は左側のプロセスで絞り込まれたものを起点に、さらにアイディアを発散・収束させ「正しく物事を設計する」ものです。

 今回のバリュー策定プロセスをダブルダイヤモンドのプロセスに置き換えると、左側のダイヤモンドのプロセスにおいてはどんな価値観や想いを大切にしたいのかなどの「正しい要素や方向性を見極める」ということ。右側のプロセスでは、その内容をふまえて表現としてどんな言葉にするのがベストなのかを改めて発散。それによって、「正しく機能し自分たちらしさを感じられる言葉を見つける」ことの精度を高めることが可能です。

定性と定量の両側面から読み解いていく

 では、ボトムアップでの発散と収束プロセスで、どのように正しい要素や方向性を見極めていくべきでしょうか。実際に収束化するプロセスでは、まず全体を見える形にし、全体の傾向からオーソドックスな手法として「KJ法」を使用。その後、グルーピングして言葉を抽出していくやりかたがオススメです。

 このプロセスのポイントは、定量と定性の両側面からバランスよくアウトプットを読み解いていくことです。

 定量面においては、どのような内容のものが多かったのか、その意思の量のようなものをきちんと把握すること。そして、Google スプレッドシートなどに言葉をすべて記入し、それらをカテゴリ分けしたものを集計するなど、主観的な印象だけでなく客観的なデータも含めたファクトとして整理していくのが良いでしょう。

 定性面では、テキストデータでは抜け落ちてしまうような全体のアウトプットの雰囲気を俯瞰することが重要です。ヘイにおいてはワークで使用したGoogle スライドのアウトプットすべてをMiroボードに貼り付け、プロジェクトメンバーで1つひとつ丁寧に読み込みながらキーワード化。バリューに含めるべき要素を収束させていきました。

実際にワークショップを通じてアウトプットされたGoogle スライドのデータをMiroボードにすべて貼り付けたものと、キーワードをカテゴライズし、スプレットシート上の頻出数を集計したもの。全社約320人のワークショップを通じて約1,200の言葉に。
実際にワークショップを通じてアウトプットされたGoogle スライドのデータをMiroボードにすべて貼り付けたものと、キーワードをカテゴライズし、スプレットシート上の頻出数を集計したもの。全社約320人のワークショップを通じて約1,200の言葉に。

経営メンバーの意志をオープンな議論でかけ合わせる

 次に、ボトムアップでアウトプットされたものをもとに、今度はトップの視点から、組織としてどうありたいか、どんなことに向き合っていくのか、そのために必要なことは何かを考えていきます。

 ボトムアップでアウトプットされたものをそのまま抽象化するだけでなく、将来的な視点から逆算し、何を活かすべきか、追加すべき視点はないかなど、経営としての意思をかけ合わせていくことが重要です。

 ヘイでは、ある程度言葉が絞り込まれたものをもとに、どういうアウトプットがなされたのかの結果とプロジェクトメンバーでの洞察を経営メンバーに共有しながら、どうあるべきかを議論していきました。

 この収束プロセスにおいて重視すべきことは、可能な限り議論のプロセスに透明性を持たせることです。経営メンバーとの議論や意思決定のログをきちんと残しておくことで、最終的に決められる言葉の内容にも理解や納得感が生まれやすく、将来的にバリューを見直したり、歴史を振り返る資産としても役立てることが可能です。

 実際にヘイでは、組織文化について数年前に書かれたドキュメントが何度も参照されることがあり、中長期的な視点から組織文化を醸成するものとして機能しています。

 とくにオンライン中心のワーク環境ではドキュメンテーションが大切となるため、こういったドキュメントは、目に見えない形で徐々に組織文化を浸透させていく役割として、より効果的なものになっていくでしょう。

バリューとして言葉を集約したMiroのボードとディスカッションの様子。1週間の中でオフラインとオンラインのハイブリッドなディスカッションでリアルタイムかつスピーディに議論を進行。
バリューとして言葉を集約したMiroのボードとディスカッションの様子。1週間の中でオフラインとオンラインのハイブリッドなディスカッションでリアルタイムかつスピーディに議論を進行。

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2022/09/09 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39998

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