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第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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顧客視点で企業価値を測る「cLTV指標」とは?社会トレンドから、マーケの課題と伸びしろを探る


 2024年2月末、アクセンチュアより「Accenture Life Trends 2024」が発表された。グローバルで見られる社会トレンドを分析し、広く見られる共通点を抽出する形でまとめられている「Accenture Life Trends」には、企業が顧客との向き合い方を見つめ直す際に大いに役に立つ情報が詰まっている。前編に続き後編では、「Accenture Life Trends 2024」で紹介されている現在の社会トレンドを踏まえ、日本企業が取り組んでいくべき課題を深掘りしていく。

「多様的」かつ「多面的」な価値観・ニーズの変化をいかに捉えるか

MarkeZine編集部:前編では「Accenture Life Trends 2024」の全体像を解説いただきました。詳しくは前編をご覧いただければと思いますが、MarkeZine読者へ要点をまとめると、次のようになります。後編では、これを実現するために求められる具体的なアクションについて伺っていきます。

生成AIを筆頭にテクノロジーが猛スピードで進化していくのにともなって、“良くも悪くも”効率化が進んでいる。また、不安定な社会情勢も絡み合って「実は顧客体験が損なわれていた」というような事態も起きており、企業やブランドは今一度、顧客体験の在り方を見直さなければならない。さらに、従来の既成概念では予測不可能な顧客の行動や価値観を理解し、一人ひとりに最適な形で商品やサービスを提供していくことも求められる。

木原:「Accenture Life Trends 2024」をご覧いただくと、生活者や社会の大きな変わりようがよくわかると思います。企業側がこのままこの変化に対応できなければ、顧客との関係性はますます遠いものになってしまうでしょう。

Accenture Songのコンサルティング部門を率いている木原久明氏。2002年にアクセンチュアに入社、以来一貫してコンサルティング業務に従事。本記事後編にて、「Accenture Life Trends 2024」を踏まえて日本企業が起こすべきアクションを解説している
アクセンチュア株式会社 アクセンチュア ソング 執行責任者 兼 コンサルティング部門 日本統括 マネジング・ディレクター 木原久明氏
アクセンチュア ソング 執行責任者、またコンサルティングチームを率いる木原久明氏。2002年にアクセンチュアに入社、以来一貫して金融など幅広い企業に対するコンサルティング業務に従事。

 前編でもお話ししましたが、これまで当たり前とされてきた、大学進学、就職、結婚、家を買うなどといった人生のマイルストーンが、必ずしも重視されなくなってきました。こうした人生観の変化により、人々の消費行動や価値観は大きく変わりつつあります。私たちはこうした顧客の変化を「十人十色」ではなくて「一人十色」であると捉えています。というのも、価値観やニーズは、一人の人間の中でも、その瞬間瞬間で変わっていきますよね。私自身もビジネスパーソンとしてクライアントに向き合っている時、上司や部下と向き合っている時、家庭人として家族と向き合っている時で、思考や価値観は全く異なります。

 企業がまず取り組むべきは、そうした一人の顧客の中で揺れ動く“多面的な”価値観やニーズの変化をしっかり捉えていくことだと考えます。

MarkeZine編集部:パーソナライゼーションのさらに先を行くようなイメージでしょうか。実現のハードルが高そうです。

木原:そうですね。ただ、現在、企業はデジタル上で顧客との接点を様々持つことができていますし、アナリティクスの技術も上がっていますから、「一人十色」を把握するための分析を行うのは十分に可能だと思います。技術的にはできるようになっている――つまり、行き着くは、やるかやらないかの意思決定にかかってくると言えます。

「一人十色」に応えるには「AI活用」が不可欠だけれど…

MarkeZine編集部:「一人十色」の価値観・ニーズの変化を捉えた上で、それに柔軟に対応するにはどのような方法が考えられるでしょうか?

木原:従来とは違う人生設計や、多様で多面的な価値観を持つ人のための商品やサービスを設計することももちろん必要になってきますが、マーケティング・プロモーションの観点からは、その多様性・多面性に応じたパーソナライズに生成AIを活用することが喫緊の課題になってくると思います。一人ひとりにあわせたコンテンツ・クリエイティブの制作も、生成AIにより実現可能になっていますからね。

 ただし、「生成AIを使うと標準的なクオリティのクリエイティブは増えるが、他と差別化できるようなキラーコンテンツが増えるわけではない」という声も聞きます。異論もあるでしょうが、私は生成AIとは究極の模倣だと思っています。AIが生成したものに対して、人間がどのような新しい価値を与えるのかまで考えなければ、コンテンツの差別化ができずに同質化が進んでしまうでしょう。

 多様化に対応すると「効率化」が問われ、「同質化」といった問題が出てくる。こうした矛盾をどう乗り越えていくのかも重要なポイントだと考えます。

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この記事の著者

塚本 建未(ツカモト タケミ)

ライター・編集者・イラストレーター。早稲田大学第二文学部を卒業後、社会人を経て再び早稲田大学スポーツ科学部へ進学。2度目の学部卒業後は2つの学部と高校デザイン科で学んだ分野を活かすためフィットネス指導者向け専門誌「月刊Fitness Journal」編集部に所属してキャリアを積み、2011年9月から同雑誌の後継誌「月刊JAPAN FITNESS」編集部の中心的な人物として特集・連載など数多くの誌面を担当した。現在はWebメディアに主な...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/07/04 09:46 https://markezine.jp/article/detail/45786

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