※本記事は、2025年2月刊行の『MarkeZine』(雑誌)110号に掲載したものです
2024年までのCookie規制を振り返る
「2024年はChromeの3rd Party Cookieに振り回された1年だったと思います」と杉原氏は語り、講演の冒頭でCookieの概略と現在に至るまでのCookie規制の流れを説明する。そもそもCookieとはWebサイトを訪問した際にブラウザに小さな情報が保存される技術的な仕組みだ。Cookieでできることは大きく2つあり、Cookie自体も2種類がある。
【できること】
- インターネットユーザーの情報を保持することで次回以降の入力を省略する
- インターネットユーザーの情報を基に、ユーザーに適した広告を配信する
【種類】
- 1st Party Cookie:訪問サイトのみで発行・利用される
- 3rd Party Cookie:複数サイトをまたいで利用できる
今回の話の中心は3rd Party Cookieだ。3rd Party Cookieによって広告で実現できていることは、大きくターゲティングと広告効果測定に分けられる。さらに、ターゲティングにはユーザーの閲覧履歴から興味関心を推定し関連性の高い広告を配信する「インタレストベース広告」と、自社サイトを訪問したユーザーに対して、他サイトを閲覧中にもサイトや関連商品の広告を表示する「リターゲティング広告」がある。
現在のCookie規制・非推奨化の背景には、3rd Party Cookieを用いた無断での行動追跡や、収集した個人情報の漏洩リスク、ユーザープロファイル(ユーザーの行動パターンや興味関心に基づいた詳細なプロファイル)の悪用がある。追跡されているかのように同じ広告がずっとついてくるという経験を誰もがしたことがあるだろう。
規制の議論は2015年頃より始まり、2017年のGDPR(EU一般データ保護規則)施行を皮切りに、各国で個人情報保護に関する法律が敷かれた。並行してAppleもITP(Intelligent Tracking Prevention)というプライバシー保護機能により規制をかけている。それに呼応する形でGoogleも2019年にプライバシーを重視する構想を発表。2022年までに3rd Party Cookieを廃止する発表を2020年に行った。
しかし、Googleは廃止の延期を複数回繰り返し、2024年7月に廃止自体の撤回を発表し、世界的な話題となった。ここまでが2024年までにおきたCookie規制に関する大まかな流れだ。