131通りのシナリオ自動化がもたらした、求職者離脱の防止と再応募数4倍の成果
CRMとLINEの連携によって同社が構築したのは、求職者の状態を細分化した「131個の選考ステータス」にリアルタイムに連動するインターフェースの設計だ。ステータスが切り替わると、LINE公式アカウントのトークルーム画面に表示されるリッチメニューや配信メッセージが求職者ごとに自動で出し分けられる仕組みを施した。
たとえば、キャリア面談の15分前になると、担当面接官の顔写真とメッセージが自動的に求職者のLINEへ送信される。手動では困難なきめ細やかなリマインドが、求職者の心理的ハードルを下げ、直前のキャンセルを防いで来場率を劇的に高めた。
さらに、求職者からの相談内容はすべてLiny上で一元的に可視化される。管理者がリアルタイムで対応状況をチェックできるだけでなく、属人化を排除したことで、他のオペレーターや担当者間でのスムーズな相互フォローも可能となった。
要件定義に半年、開発に3ヵ月強をかけて構築されたこの仕組みは、劇的な成果を叩き出した。LINE経由の再応募数は従来の4倍に拡大し、選考の途中離脱数は月間で300人減少。面接の来場者数も月250人増加した。
渡辺氏は、「導入当初は現場からの反発もありましたが、ソーシャルデータバンク社が弊社のビジネス構造を深く理解し、現場に寄り添ったアレンジを加えてくれたことが成功の鍵になりました」と語る。
両者の共通点:眠れるデータをつなぎ、LINEを真の顧客資産に変える
セッションの締めくくりとして、安東氏は改めて「PL(損益計算書)からBS(貸借対照表)へ」のマインドセットの転換を呼びかけた。
「メッセージを送るたびに費用を使い切るPL的な運用から脱却し、施策を打つたびにデータと関係性が積み上がるBS的な運用へとシフトしなければなりません」(安東氏)
カルビーとUTグループに共通しているのは、自社の中に既に存在していた「未活用の資産」をLINEというハブを通じてつなぎ合わせ、価値に変換した点だ。
「皆さんの会社の中にも、リアルな接点やCRMデータなど、まだつながっていない資産が必ずあります。それらをLinyのエコシステムに組み込むことで、LINEは2倍、3倍の価値を生む顧客資産へと進化するはずです」(安東氏)
LINE公式アカウント運用の「常識」を疑い、データ連携によって新たな資産を築くことの重要性が改めて浮き彫りとなった本セッション。単なる「メッセージ配信ツール」として終わらせるか、あるいは「企業の持続的な成長を支える顧客資産」へとシフトさせるか。その思想と実践知を提示し、セッションは幕を閉じた。

