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MarkeZine20周年特別企画

AI時代に必要なのは「軍師」の才覚。藤原氏に聞く小売×ECの20年とこれから

AI時代に求められる軍師の才覚 

――AIが普及し、ビジネス・マーケティングのあり方が刷新されつつある今、マーケターに求められる役割はどう変化していくのでしょうか。

 マーケティングそのものが「経営」とイコールになり始めている中で、「How(手法)」の話ばかりしているマーケターは、AIに代替されて不要になるでしょう。デジタル広告の運用など、Howの部分はAIがほぼすべて対応できるようになりますから。

 では、これからのマーケターに何が求められるのか。それは「Why(目的)」を設定できる能力です。「なぜそれをやるのか」という目的は、AIには設定できません。

 「営業利益を1%上げる」「顧客満足度を5%上げる」などの目標をなぜ達成しなければならないのか、この目標達成に向けたコンテキストを作れるのは人間だけです。そのWhyをAIにインプットすることで、AIは賢くなり、より高度なアウトプットを出してくれます。

――Whyを定義する役割へのシフトが、これまでよりもマーケターに求められるようになるのですね。

 私は、CMO(最高マーケティング責任者)を目指すのであれば「軍師」であるべきだと考えています。現場に出てバッタバッタと敵をなぎ倒すのは将軍(営業などの執行部隊)の役割です。軍師は、CEO(王)の隣にいて、将軍たちが討ち死にしないように、兵站をどう配置するかという戦略を立てる存在です。

 自ら将軍になって現場に突き進んでしまうマーケターもいますが、それでは会社は動きません。組織の全体像やお金の集め方・分配を理解し、人々を動かすための「ナラティブ(物語)」を作れるかどうかが、これからの軍師たるマーケターの条件です。

余白を作り、フィジカル体験から「非連続なチャンス」をつかむ 

――AIがHowを担うことで時間が生まれたら、人間はその時間で何をすべきでしょうか。

 生まれた時間を別の作業で埋めるのはダメです。「空白の時間(余白)」を意図的に作ることがとても重要です。なぜなら、大きなチャンスが舞い込んできたときに「その日は忙しくて……」と断ってしまえば、チャンスを逃すからです。

 だからこそ、暇な時間を作ってお茶をしたり、普段会わない人と雑談をしたり、人に会いに行ったりして一次情報を得ることが大事になります。今の時代、連続性のあるものに価値はなくなり、消費者は非連続な新しい発見にしか飛びつきません。非連続なチャンスは、余白からしか生まれないのです。

――最後に、MarkeZineの読者に向けてアドバイスをお願いします。

 まずはとにかくAIを触りまくることです。「Claude」などのAIを限界まで使い倒してください。部下に100回考え直せと言ったらパワハラになりますが、AIには100回ループさせて仮説検証をさせることができます。

 リッチな検索エンジンとしてAIを使ってしまい、最終的に自分で作業する、これではAIの奴隷と変わりません。AIに作業させることを常に意識して、余白の時間を生み出してください。

 そして、その空いた時間で、フィジカルなアセット(店舗での体験など)の価値をいかに高めるかを考えてください。デジタルが強くなるほど、リアルの場所での感動が重要になります。

 AI活用とフィジカルなアセット作りに時間を使いながら、歴史を学ぶなど様々なインプットを行って抽象化する力を養い、人間としての体験をもっと広げる。これらの行動が、これからの時代のマーケティングにおける最大の武器になるはずです。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/07/07 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50781

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