統合的な支援に欠かせない「組織間連携」と現場力の向上
──組織についても伺います。電通はクライアントの事業成長を統合的に支援する「インテグレーテッド・グロース・パートナー(Integrated Growth Partner:IGP)」を掲げています。ただ、この実現には社内およびグループ会社間での連携が不可欠です。グループ会社や縦割り組織がある中で、その解消や「最現場力」の向上に向けて、どのような取り組みをされていますか。
松本:IGPを実現する上で最も重視しているのは「クライアント起点」であることです。電通グループには国内で約140社あるから連携していこう、という組織起点の発想ではなく、あくまでクライアントや社会の課題解決がスタート地点です。課題が複雑化し、マーケティングだけでなく事業変革、組織変革など複数領域にまたがる中で、各社の専門性を適切に掛け合わせることは不可欠になっています。私は電通グループの日本事業を統括するdentsu Japanにおいてチーフ・クライアント・オフィサーを務めており、まさにこのテーマに注力していますが、dentsu Japanが各所で有する専門性をどう組み合わせればクライアントの課題を解けるか、常にその視点で考えてきました。
──グループ内・社内での連携は、スピーディーにできるようになっているのでしょうか?
松本:以前に比べると、非常にスムーズになりました。一つの案件が縦に流れていく関係――上流から下流へと順に引き継ぐ連携は、以前からスムーズでした。ただ、専門の異なる会社同士が横でつながる「水平」の連携は、慣れていない部分もありました。数年前からIGPを掲げて推進した結果、この横の連携もかなりスムーズになっています。各社のKPIやミッションのすり合わせなど、まだ調整が必要な部分もありますが、グループ内の専門性をさらに掛け合わせていきたいですね。
──掛け算をしていく上では、現場のプロデューサー的な人材の役割が非常に重要になりますね。
松本:本当にそうです。まさに現場力が求められますし、様々な要素をまとめて一つの目標に向かって推進するのは、誰にでもできることではありません。強いプロデューサーには組織の枠を超えてまとめる力、クライアントをも巻き込みながら伴走していく力があると感じます。
電通はこれからもっと面白くなる
──最後に、松本さんご自身の想いも含めて、今後の展望を伺えればと思います。ご自身の経験を踏まえ、これから電通をどんな会社へ進化させていきたいですか。
松本:やはり人をワクワクさせる、楽しませる会社でありたいと思っています。私が電通を志望した当時、電通の事業概要を詳しく理解できていたわけではありませんが、世の中を楽しく、幸せにできるのではないかという可能性を漠然と感じていました。電通はそういう人が集まっている会社だと思います。社長という立場になった今も、その原点を大切にしたい。人をワクワクさせる、楽しませる会社であり続けたい。それが一番の思いです。
そして、入社して30年以上経った今でも、当時は思いもよらなかった形でワクワクや楽しさが見つかっています。電通はこれからもっと面白くなるだろうと可能性を感じています。
