ネット専業代理店だけでなくWeb制作会社にも広まりつつある「Googleオープンビジネスパートナー」
Google が昨年9月30日から開始した「Googleオープンビジネスパートナー」制度。
Google の提供する検索連動型広告「 Google AdWords 」の運用代行などを手掛ける企業が、Google の提供するさまざまなサポートを無料で受けられるプログラム内容となっている。
制度を立ち上げてから1年強が経過。毎月、数百社ペースで参加企業が増加中だ。11月下旬時点で、6,000社近い企業が参加している。
参加企業の内訳を見てみると、最近になって増えているのがWeb制作関係の企業。「今まで AdWords を直接使ったことがなかったけれど、中小企業のWeb利用をサポートしてきた企業に入ってきていただけている」とグーグル株式会社マーケティング マネージャーの清水一浩氏(写真左)は分析。
検索連動型広告の運用等を本業とするネット専業の広告代理店などはあらかた登録を済ませているため、現在は本業を別に持つWeb制作/デザイン会社などの登録が目立つようになってきているのだとか。
あまりの手厚さにパートナーから驚かれることも Google によるサポート内容
そんな参加層の変化を受けて、 Google が特に意識してサポートに乗り出しているのが AdWords に関する知識・スキルを伸ばしてもらうことと、参加企業の営業活動における課題が軽減するようサポートすること。
例えば、参加申し込みをした企業にはスターターキットを送付。 AdWords の概要をまとめた「スターターガイド VOL.1」、 AdWords の運用ガイドとなっている「同 VOL.2」、 AdWords 導入を顧客へ提案する際のコツを教える「同 VOL.3」といった小冊子のほか、販売促進用チラシ、 AdWords 無料お試し券などを同封している。
スターターキットが好評だったことから、追加の支援策として最近リリースしたのが営業支援ツール。営業時に必要な説明資料や見積もりのテンプレートといったドキュメント類を提供開始した。
「スターターキットの評判も良かったのですが、営業支援ツールに関しても『ここまで Google はやってくれるのか』と驚かれています」と清水氏。
参加企業からの評判は上々で、清水氏も手応えを感じているもよう。今後、マニュアルには落とし込みにくい属人的なノウハウを拡散していくための仕組みづくりなどに注力していきたいと意気込んでいる。
2回目を迎えた「Google Excellent Performer Award」受賞企業の成功要因は?
スターターキットや営業支援ツールが参加企業をサポートするためのものだとすれば、インセンティブとして用意されているのが「Google Excellent Performer Award」。
今春、第1回目のを実施したのに続き、今回は7~9月の実績を対象とした第2回目の受賞企業を発表。前回の審査基準が「対象期間中に開設したアカウント数」だったのに対して、今回は「対象期間中に開設したアカウントで運用した広告の金額」で選考されている。
第2回目のGoogle Excellent Performer Award、受賞企業はどのような顔ぶれになったのだろうか。上位にランクインした企業はどのような取り組みをすることで顧客からの支持を得られたのか、成功した要因についても紹介していこう。
最優秀賞受賞企業は三者三様
第2回目のアワードを受賞した企業は次の10社となる。
- 株式会社アクセリオン
- 株式会社グラッドキューブ
- 富士フイルムプレゼンテック株式会社
- 有限会社愛幸
- 株式会社イーナ
- 株式会社イーライン
- 株式会社イグニス
- 株式会社ジオコード
- 株式会社スリーキィズ
- バリュークリエーション株式会社
では、最優秀パートナーを受賞した企業はどのような特徴を持つ企業なのだろうか。
株式会社アクセリオン
不動産業界に特化して顧客のマーケティングを支援。主にオンラインでのプロモーションを企画・提案・運用している。
同社は、顧客の目的が資料請求なのか、ブランディングなのか、目的に応じてプロモーション手段を選択。 AdWords もプロモーション手段のポートフォリオの1つとして位置付けている。
ただ、 AdWords がほかの「ポートフォリオの1つ」と違うのは、検索連動型広告とディスプレイ型アドネットワークを包括したシステムだというところ。バナーなどのディスプレイ広告で認知度を上げて、検索連動型広告では資料請求やモデルルーム見学といった刈り取りで利用するなど。同じプラットフォームで別角度のアプローチを併用できるところに面白さがあると感じているそうだ。
株式会社グラッドキューブ
大阪に拠点を置く同社は、リスティング広告の運用代行を主軸に据え、LPO対策やアクセス解析などのサービスも展開している。リスティング広告の運用・コンサルティングに携わるスタッフ全てが、 Google AdWords の認定資格を持っているという。同社の顧客は95%が小~中規模の企業であり、その中でも、ダイレクト通販のビジネスを展開する企業が70%~80%を占めている。
Google AdWords に備わっているキーワードツールを利用し提案を進めていくのが同社の基本的なスタンスだが、リサーチしたキーワードがクライアントのビジネスとマッチするとは限らないので、クライアントと綿密なコミュニケーションを取りつつ運用方針を決めている。
2年ほど前から、同社がサイト改善や集客支援を行っている「ザ・耐震ドットコム」の例を紹介すると、同社のきめ細かい提案・運用により、広告費は半分になったにも関わらず、売上は3倍、問い合わせは5~6倍という成果に貢献したとのこと。
富士フイルムプレゼンテック株式会社
社名から分かるように、富士フイルムのハウスエージェンシー。富士フイルムグループを中心に広報・広告宣伝・販売促進などに関するコミュニケーションサービスを提供している。
同社は、AdWords をプレマーケティングの場として活用。複数のクリエイティブを同時に走らせることで、「この製品・サービスではどのようなクリエイティブが支持されるのか」とトライアルする場としても利用している。その結果を踏まえ、オフラインなどで展開するキャンペーンのクリエイティブを変更するなどしているそうだ。
プロモーションポートフォリオの1つとして AdWords の利用を広めたい
Google Excellent Performer Awardは、今後も半年に1回ほどのペースで第3回、第4回と数を重ねていく計画。最優秀賞に選ばれた3社は東京2社、大阪1社という内訳だが、第1回目では群馬県が本拠の有限会社愛幸なども受賞。「地方にも頑張っていただいている会社がある」(清水氏)という。
前述のとおり、現在の参加社数は6,000社弱だが、将来的に1万社以上にはパートナーになってもらえるのではないかと清水氏は見る。
「Web制作会社だけでも、国内には2万社以上あります。広告代理店にしても、参加してくれているのはオンラインの企業がほとんど。地域のチラシ広告を展開しているようなオフライン中心の広告代理店にも参画してほしいですね。既存のプロモーションポートフォリオに AdWords を追加することで、もっとビジネスを拡大できるはずですから。
紙媒体メインの広告代理店にも、オンラインマーケティングを知っていただいて、顧客にご提案いただきたいのです。そのためには、 Google としてさらにサポートを強化することが必要。パートナーが手間なく、苦労なく顧客に提案いただける環境を今後も整備していくので、より多くの方にプログラムを利用頂ければと思います」(清水氏)