マクロミルは同社の消費者購買履歴データ「QPR」をもとに、2023年の日用品と食品のカテゴリ別購入金額の伸びから振り返る、「2023年 市場規模拡大・縮小ランキング」を発表した。
「QPR」は全国3万人の消費者パネルから毎日の買い物履歴を収集し、POS(販売時点情報管理)データでは分からない購入者属性や、アンケートによる購入シーン・理由などを追跡できる消費者パネルデータ。なお、ランキングのカテゴリはJICFS(JANコード商品情報データベース)の文言に統一し、ランキングのための集計データは2023年1月1日から10月17日までのものを用いている。
データから判明した2023年のトピックスは以下の通り。
- 第1位は「一般用検査薬」、新型コロナ検査はセルフの傾向。「鎮咳去たん薬」「かぜ薬」や、睡眠の質改善などを含む「乳酸菌飲料」も上位に挙がり、“セルフメディケーション意識”に高まり
- 属性別では、子育て世代による「飲薬補助用品・用具」の購入金額が大幅増加
- 第2位は「その他芳香・消臭剤」で詰め替えタイプがけん引。節約志向やサステナブル意識の高まりが後押しか
- 第3位に「リップカラー」、第4位に肌トラブル改善の「ビタミンB2B6主薬製剤」が続き、“メイクアップ・肌ケア需要”が好調。おでかけ増加で、「乗り物酔い薬」「熱冷却用品・用具」も上昇
- 最下位は「殺菌消毒」。「体温計」「その他衛生医療用品・用具」「マスク」が縮小し、“コロナの収束”を示唆
「一般用検査薬」、「鎮咳去たん薬」など、消費者のセルフメディケーション意識に高まり
市場規模伸長ランキングの第1位は「一般用検査薬」で前年比203.0%増となった。新型コロナの体外診断用抗原検査キットがけん引しており、OTC化(一般用)され買い求めやすくなったことに加え、新型コロナの5類への移行で新型コロナが自主的な取り組みをベースとした対応に変わったことも増加の要因だと考えられる。
また、新型コロナ収束の一方で、インフルエンザ流行への懸念もあり、初期症状から自己対処できる「鎮咳去たん薬」「かぜ薬」「整腸(指定医薬部外品)」「飲薬補助用品・用具」「口腔咽喉薬」などの需要が拡大した。さらに、睡眠の質改善などを含む「乳酸菌飲料」が14位、「熱冷却用品・用具」が17位と上位にあがり、健康意識が日常的に高まっていることがわかる。
子育て世代による「飲薬補助用品・用具」の購入金額の大幅増加
セルフメディケーション分野を属性別に分析したところ、薬が苦手な子どもや幼児向けの飲薬補助アイテムが人気であることがわかった。「全体(分析期間における有効回答者)」の子どもの構成比は2022年と2023年でほとんど変化が無いのに対して、「飲薬補助用品・用具の購入者」ベースでの子どもの構成比は、2023年には「乳幼児」「小学生低学年」の割合が大きく増加していることがわかる。
第2位は「その他芳香・消臭剤」で詰め替えタイプがけん引
第2位は「その他芳香・消臭剤」で、詰め替えタイプの商品がカテゴリをけん引した。昨今の物価高による消費者の節約志向や、環境問題に配慮したサステナブル意識の高まりがうかがえる。
メイクアップ用品や酔い止め薬が好調。人と会う機会や外出増加の影響が顕著に
第3位は「リップカラー」、第4位は肌荒れ、にきびなどの肌トラブルなどを改善する「ビタミンB2B6主薬製剤」だった。「コンシーラ」や「メイクアップ化粧品」なども上位に挙がり、人との対面コミュニケーションが増えたことがうかがえる。
また、第12位には「乗物酔い薬」、17位には今夏の猛暑対策用に「熱冷却用品・用具」も挙がった。新型コロナの5類への移行によって、外出機会の増加とともに購入が増加したものと考えられる。
「殺菌消毒」や「体温計」「マスク」が縮小。コロナの収束を示唆か
市場規模伸長ランキングの最下位は「殺菌消毒」で前年比49.0%となった。ならびに、「体温計」「マスク」といったカテゴリも前年より縮小し、新型コロナの収束が示唆される結果となっている。
【調査概要】
データソース:QPR(消費者購買履歴データ)
分析対象者:全国(沖縄県を除く)15~69歳の男女(※)
対象カテゴリ:JICFS食品・日用品
集計期間:2023年1月1日~10月17日(前年比:2022年1月1日~10月17日)
ランキング作成方法:市場規模を表す当社の独自指標「100人あたり購入金額」において、集計期間内におけるカテゴリ全体の購入者数が200人以上の項目に絞り込み、ランキングを作成。※60代の一部緩和として70代を含む
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