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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Autumn

クロスチャネルで伸ばす音声広告プランニング(AD)

広告接触者の17%が実購買に。アサヒビールがSpotifyと実現した音楽体験連動型ファンダムマーケ

 酒類市場が厳しさを増すなか、アサヒビールは気持ちを高めてくれる音楽の魅力に着目し、「音楽といえばスーパードライ」というイメージの定着を目標に掲げ、音楽ファンとの接点を強化してきた。2025年12月にSpotifyが開催したライブイベント「Spotify On Stage Tokyo 2025 Year-End Special」との連動キャンペーンでは、広告接触者の17%が実際に店頭でスーパードライを購入するという高い成果を挙げている。ライブ前から当日まで、Spotifyユーザーの音楽体験にどのように寄り添い、ファンダムの熱量をキャンペーンの成果へと繋げたのか━━。今回は、Spotifyグローバル20周年、日本上陸10周年の節目にお送りする「10周年特別連載:The Sound-On Era ー 音が変える、マーケティングの未来」シリーズ第1弾としてインタビューを実施。アサヒビールマーケティング本部ビールマーケティング部の磯谷悠二氏、宇都宮敬氏と、Spotify担当者にその実践プロセスを聞いた。目だけでなく耳からの接触がますます重要になる“サウンドオンの時代”の音楽体験連動型マーケティングとは?

音楽への熱量をトリガーに、自分ごと化を促進

━━御社では、スーパードライと音楽を組み合わせた取り組みを続けてこられました。その背景と、今回「Spotify On Stage Tokyo 2025 Year-End Special」との連動キャンペーン施策に至った経緯を教えてください。

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アサヒビール株式会社 マーケティング本部 ビールマーケティング部 副課長 磯谷 悠二氏
量販営業を経て焼酎・洋酒のブランドマーケティングを担当後、現職に。スーパードライの缶・量販商材を軸に、ファンイベントの企画なども手がける。「いかにスーパードライが選ばれ続けるか」をミッションに、ブランド接点の強化を推進している

磯谷:スーパードライには「気持ち高まる瞬間」というブランドパーパスがあります。ライブをはじめ、気持ちが高まる瞬間に寄り添うブランドでありたいと思っている中で、音楽はそのトリガーとなる重要なコンテンツです。

 また私たちはブランド戦略の軸として「冷え」を掲げています。ビールの根源的な魅力である「冷えた美味しさ」と音楽による「気持ちの高まり」を掛け合わせた接点を強化するという考えが、今回のSpotifyとの取り組みの出発点になっています。

━━課題感という観点ではいかがでしたか?

磯谷:スーパードライは認知率が非常に高いブランドです。ただ、「知っている」だけでは購買につながりません。近年、ビール類市場が厳しい環境のなかで、特に低関与層に対してブランドの接点をどう強化するかが課題でした。

 音楽ファンのコミュニティに入り込み、「このアーティストとスーパードライが一緒に取り組んでいるんだ」と感じていただくことで、「自分ごとのブランドとして手に取ってみよう」というつながりが生まれると考えていました。

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アサヒビール株式会社マーケティング本部 ビールマーケティング部 宇都宮 敬氏
長年の営業経験を経て、ビールマーケティング部へ。缶から飲食店向けの瓶・生ビールまで、国内ビールのブランディング全般を担う。「スーパードライを日本の人々にもっと好きになってもらう」ことをミッションとする

宇都宮:ビールに興味のない人に関心を持ってもらうのは難易度が高いことです。ただ、その人が既に熱中しているものの文脈に入っていけば、自然に自分ごとにしてもらいやすくなります。Spotifyのユーザーは音楽への熱量が高いので、その入り口から「スーパードライも飲んでみようかな」と思っていただける可能性があるというのが狙いでした。

「アーティストを応援するブランド」として受け入れてもらう

━━SNSや他のプラットフォームとは異なる形で、Spotifyがファンとアーティストをつなぐプラットフォームとなっている理由はどこにあると考えていますか?

Spotify:Spotifyは「音楽を聴くツール」であると同時に、「ファンがアーティストへの応援の気持ちを表現する場」でもあります。その文脈のなかにブランドが「ファンと一緒にアーティストを後押しする仲間」として存在できれば、ファンはそのブランドをより身近に感じ、自然に手を伸ばすことにつながります過去の関連記事)。

 Spotifyはミュージックビデオ機能のローンチや数々のオフラインイベントなど、聴くだけでなく、見る、そして体験するプラットフォームとしての側面も強化してきました。ファンとアーティストをつなぐ多様な接点を持つ場として、着実に進化しています。

━━アサヒビールとSpotifyの協業は、今回が初めてではないそうですね。

宇都宮:2023年末にアーティストの年間メッセージを届ける企画を皮切りに、2024年には銀座のスーパードライコンセプトショップでアーティストとファンを招いたポッドキャスト公開収録を一緒に行いました。

 アーティストとファンが目の前で対談し、気持ちが高まった瞬間にスーパードライで乾杯するという体験ができ、喜んで帰っていただいたファンの皆さんの姿が印象的でした。そこで得た手応えがあったからこそ、今回のキャンペーンへの投資にも踏み切れたと思っています。

サウンドオンの時代。ミュートされないマーケティング戦略を、Spotifyと考えませんか。

 AI・ストリーミング・コネクテッドデバイスの普及により、音声は補助的なチャネルから中核メディアへと進化しています。広告主の80%が「デジタル音声は他メディアより信頼を得やすい」と回答。Spotifyが発行する最新インサイトレポートで、音声マーケティングの今と未来を読み解きましょう。

音声広告からコラボ缶、ライブ当日まで。3ヵ月間の一気通貫設計

━━今回の施策の全体像について教えてください。

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Spotify:これまでのライブ協賛は当日の場でブランドを露出する「点」のアプローチが中心でした。今回は12月のイベントに向けて9月からキャンペーンをスタートさせ、体験型広告製品「The Stage」を用いた特設サイトも開設しました。Spotify On Stageに出演するアーティストのオリジナル動画を掲載し、「スーパードライが一緒に盛り上げてくれている」というメッセージをライブまでの時間をかけてファンに届ける「面」のアプローチです。また、誘導用のSpotify音声・静止画広告も実施。音声ではアーティスト自身の声でスーパードライを訴求し、特設サイトへとつなぐ流れも設計しました。

 また、9月中旬にはSpotifyロゴ入りのコラボ缶を発売し、缶に印刷したQRコードから特設サイトへアクセスできる導線も用意しています。ライブ当日は、アーティストのサイン入りタンブラーのプレゼント抽選会を実施し、東京ガーデンシアターに集まった6,000名超の来場者と一体となって盛り上がりました。

━━クリエイティブや体験設計でこだわったのはどのような点でしょうか。

磯谷:機能訴求だけでなく、「感情も体験の一部」として捉えていただくことを大切にしました。ライブに向けて気持ちが高まっていくプロセスを、そのままスーパードライの「気持ち高まる瞬間」と重ね合わせる設計です。

 特設サイトのアーティスト動画では、アーティストの皆さんに実際にキンキンに冷えたタンブラーでスーパードライを飲みながら「美味しい」と言っていただいて、そこが深く刺さる接点になりました。

宇都宮:発信する内容をあえて決め込まずに、アーティスト自身の言葉でお話しいただきました。アーティストがそれぞれの自分らしい言葉でスーパードライを表現してくださったのは印象的です。これらはSpotifyとアーティストの皆さんとの強固なエンゲージメントがあったからこそ実現できたことだと思っています。

大幅なブランドリフトを実現し、購買率も際立つ成果に

━━キャンペーンを通じて得られた定量的な成果を教えてください。

磯谷:「音楽といえばスーパードライ」という純粋想起が、広告接触者全体で+10.5ポイント上昇しました。特に40代では非接触者13.3%に対し接触者は38.0%と、+24.7ポイントもの変化が見られています。

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磯谷:購入意向は非接触者37.6%に対し接触者は77.4%と約2倍に上昇。さらに広告接触者の17.0%が実際に店頭でスーパードライを購入したというデータも出ています。態度変容にとどまらず、実購買まで数字でつながったことが今回の大きな成果だと受け止めています。

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━━17%という購買率を、Spotifyとしてどう評価していますか?

Spotify:実購買まで計測しての17%は、他キャンペーンと比較しても際立って高い成果です。

磯谷:ライブ当日だけに終わらず、前段から仕掛けを積み重ねてきたことが大きかったと思います。コラボ缶・特設サイト・音声広告を通じてデジタルと商品の両面で接点を作り、お客様の感情を少しずつ育てていった。その積み上げがあったからこそ、購買という最後のアクションにつながったと考えています。デジタルだけではなかなか難しい部分が、リアルな接点との組み合わせでつながった実感があります。

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「感情」を育てることで、マス広告で届かない層にもリーチ

━━他のデジタル媒体やテレビCMとの違いも踏まえて、今回の施策がファンダムマーケティングとして成果を上げた理由をどう分析していますか?

Spotify:マス広告でアーティストを起用しても、ファンはそれを「広告のための起用だ」と認識してしまう傾向があります。一方で今回のような形では、スーパードライがライブを一緒に応援してくれているという文脈が生まれます。「好きな音楽を一緒に盛り上げてくれるブランド」として受け取られたことで、それが行動変容率に表れていると感じています。

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磯谷:テレビCMは広く知っていただくための媒体として非常に有効です。一方でSpotifyは、リアルな体験として機能させることを意識しました。3ヵ月間かけて感情を育てていく設計は、一時の広告では得られない深さがあります。マス施策では届かない層に、自分ごととして刺さる接点を作れたと感じています。

宇都宮:とはいっても、勝ち筋が最初からわかっていたわけではありません。Spotifyの知見に頼りながら一緒に模索してきました。音楽ファンはとにかく体験を重視しているため、その体験の文脈のなかにスーパードライが存在できれば購買につながるということを、今回初めて実感できました。それが大きな収穫だったと思っています。

「音楽といえばスーパードライ」を高め続ける

━━今回の経験は、今後のマーケティングにどのような影響を与えるでしょうか?

磯谷:デジタルとリアルを組み合わせた一貫した体験設計が、態度変容・実購買につながることを定量データで確認できました。「音楽といえばスーパードライ」という想起をさらに高めるため、Spotifyとの取り組みを継続・強化していきます。音楽に限らず、スポーツなど「気持ち高まる瞬間」と親和性の高い文脈でも「冷え」という軸を掛け合わせながら、接点をさらに広げていきたいと考えています。

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宇都宮:スーパードライは認知としては十分なブランドで、課題はファネル下部、ラストワンマイル、すなわち実際に手に取っていただくための行動変容のところでした。その意味で、今回の施策ではターゲットにとって自分ごとになれる体験をどう設計するか、という問いへの一つの答えを今回得られました。こういったチャレンジを積み重ねながら、行動変容につながる施策を探り続けていきたいと思っています。

━━最後に、Spotifyとして今後の展望をお聞かせください。

Spotify:若い世代にとって音楽は毎日の生活に深く溶け込んでいます。スーパードライの「気持ち高まる瞬間」というテーマと、「気分を上げるために音楽を聴く」というリスナーの行動は重なります。Spotifyとして達成したいのは、アーティストとのコラボレーションにとどまらず、リスナー一人ひとりの音楽体験に寄り添い、スーパードライが自然に存在できるような接点を広げていくことです。スーパードライがより多くの人に愛されるブランドになるよう、今後もSpotifyならではのご提案ができたらと考えています。

サウンドオンの時代。ミュートされないマーケティング戦略を、Spotifyと考えませんか。

 AI・ストリーミング・コネクテッドデバイスの普及により、音声は補助的なチャネルから中核メディアへと進化しています。広告主の80%が「デジタル音声は他メディアより信頼を得やすい」と回答。Spotifyが発行する最新インサイトレポートで、音声マーケティングの今と未来を読み解きましょう。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:スポティファイジャパン株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/06/15 11:00 https://markezine.jp/article/detail/50695