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想定保護金額は年間約5,000万円!SBI証券がアドフラウド対策で“攻め”の予算を生み出す

 AIの進化にともない、ますます高度化しつつある不正トラフィック。対策の必要性を感じてはいるものの、費用対効果の観点から一歩を踏み出せていない企業も少なくありません。MarkeZineでは、SBI証券でデジタルマーケティングをリードする貝原弘樹氏を取材。金融業界ならではの広告運用の難しさをうかがいつつ、アドフラウド対策がもたらした効果や変化について、チェク・ジャパンの佐々木俊道氏と語っていただきました。

CPA高騰、コンプライアンス……金融商材を訴求する難しさ

──貝原さんは、広告代理店から事業会社へと渡ってこられました。立場が変わったことで、広告運用に対する考え方も変化しましたか?

貝原:広告代理店時代は、どうしても広告効果測定ツールや媒体の管理画面の中に閉じた思考になりがちでした。画面上の数字を追うことに終始してしまい、その数字の向こう側にいるお客様の行動や顔を思い浮かべる機会が少なかったように思います。

SBI証券 リテールマーケティング部 課長 貝原 弘樹氏
SBI証券 リテールマーケティング部 課長 貝原 弘樹氏

貝原:また広告主の立場になり、自社の予算を使ってプロモーションを実行するようになると、費用対効果に対してより一層シビアになった気がします。代理店時代は「予算をどう効率良く消化して成果を最大化するか」に目が向きがちでしたが、広告主となった今は「そもそもこのコストは本当に正しく使われているのか」「無効な施策にお金を払っていないか」というように、コストの妥当性を厳しく検証する意識が高まりました。

──金融業界におけるWeb広告運用ならではの難しさについて教えてください。

貝原:大きく分けると3つの難しさがあります。1つ目は、Web広告全体の競争激化にともなうCPAの高騰です。CPCも右肩上がりで上昇しており、従来の手法だけでは新規顧客を効率的に獲得し続けることが難しくなっています。

 2つ目は、金融商品という無形商材であり、かつ投資というリスクをともなう商材ならではのコンプライアンスの厳しさです。広告表現には法律や業界ルールによる非常に厳格な制約が課されています。たとえば、お金の魅力を直感的に伝えるために紙幣のイメージを派手に見せるような表現は、コンプライアンス上制限されます。ルールを厳守しながら、いかに安全かつ魅力的に訴求するかが大きなテーマです。

 3つ目は、投資に対して「怖い」「難しそう」という先入観を抱いているユーザーが多い点です。そのため、ただ広告を配信して認知を広げるだけでは、口座開設のアクションまでつながりません。

 そこで私たちは、ユーザーの投資に対する認識そのものの転換を重視しています。投資にともなうリスクを正しく、誠実にお伝えしつつも「実は気軽に、少額からでも始められるものなんだ」という気づきを提供するアプローチです。若年層の方々にも間口を広げながら、一時的な口座開設に終わらせず、長くお取引を続けていただけるLTVの高いお客様との長期的な関係構築を目指しています。

マウスの動きや打鍵の規則性まで鑑みたボット判定

──SBI証券では、2025年にチェク・ジャパンが提供するアドベリフィケーション支援サービス「CHEQ Acquisition(チェク アクイジション)」を導入されたとうかがいました。アドフラウド対策には元々注力されていたのでしょうか。

貝原:はい。他社のツールを導入し、一定の対策は講じていました。一方で、日々の広告運用を進める中で、どのような不正がどの程度発生し、自社にどのような影響を及ぼしているのかを数字として具体的に捉えることまではできていませんでした。私自身も「アドフラウド」という言葉こそ認識していたものの、当時はどこか遠い世界の出来事という認識で、自分たちの運用している広告で実際に多発しているという実感はありませんでした。

 そうした中でチェク・ジャパンさんからご提案をいただき、まずは費用のかからない無料診断を試してみようということになりました。提出された診断レポートを見たときは「これほど深刻な不正クリックが日常的に発生していたのか」と衝撃を受けましたね。

──無料診断について詳しく教えてください。

佐々木:無料診断では、お客様のWebサイトに当社独自の計測タグを設置していただきます。そのサイトに流入したアクセスに対して、マウスの細かな動きや打鍵の規則性など、2,000項目を超えるサイバーセキュリティ上のチェックをリアルタイムで実行します。それらの痕跡を分析し「アクセスが本物の人間によるものなのか、それともボットによるものなのか」を高精度に判定するのです。

チェク・ジャパン デジタルセキュリティ戦略室 アカウントエグゼクティブ 佐々木 俊道氏
チェク・ジャパン デジタルセキュリティ戦略室 アカウントエグゼクティブ 佐々木 俊道氏

配信アルゴリズムが歪んだ方向に最適化される!?

佐々木:SBI証券様の広告流入を分析した結果、特定の広告キャンペーンにおいて約8%という極めて高い不正クリック率が検出されました。これが予算の浪費であることは言うまでもありませんが、最も深刻なのは「広告媒体のアルゴリズムへの悪影響」です。

佐々木:現代のWeb広告では、クリックしたユーザーのデータを基に、媒体システムが「どういうユーザーに配信を強化すべきか」を自動で機械学習していきます。しかし、ここに多くのボットなど不正クリックが混入してしまうと、媒体側は「不正クリックの発生源こそが優良なターゲットである」と誤って学習してしまいます。その結果、配信アルゴリズムがどんどん歪んだ方向へ最適化されてしまい、無駄な広告費を支払い続けるスパイラルに陥るのです。

──不正を行う側も、検知を逃れるために進化していると聞きました。

佐々木:おっしゃるとおりです。非常に巧妙な手口として、同一の不正ユーザーがIPアドレスやユーザーエージェント(ブラウザやOSの情報)を瞬時に切り替えながら、何度も異なる人物を装ってクリックを繰り返す手法が確認されました。媒体の管理画面だけを見ていると、これらはすべて「別の地域、別のデバイスから来た異なるユーザーのクリック」としてカウントされます。そのため、運用者は「同一IPからの大量クリックはないから大丈夫」と油断してしまいがちですが、その裏では同一の攻撃者によるアドフラウドがステルス的に多発しているのが現実です。

──CHEQ Acquisitionがどのようなソリューションなのか、教えていただけますか?

佐々木:広告主様が望まない、コンバージョンに至らない無効なトラフィックをリアルタイムで検知し、広告配信を抑制するソリューションです。悪質なボットによるクリックを防ぐだけでなく、人間ではあっても自社のターゲット条件に該当しないユーザーへの広告配信を最適化する機能も備えています。

「不正」の定義は一律ではない。個社ごとの最適化と伴走支援が決め手

──アドフラウド対策を進める中、CHEQ Acquisitionを導入した決め手が知りたいです。

貝原:最も重視したのは「数字の根拠を私自身が理解し、納得できるか」という点でした。保護金額の具体的な根拠が見えなければ、納得感のある広告運用はできません。その点、チェク・ジャパンさんは検知ロジックから算出根拠、さらには保護金額の算出ロジックの内訳まで丁寧に教えてくれるため、透明性は極めて高いと感じました。

佐々木:私たちが最も懸念しているのは、アドフラウドに対するベンダーの判定プロセスがブラックボックスになり、導入企業様がベンダーの判定を信じるしかない状態になってしまうことです。そもそも、何をもって「広告を配信すべきではない」と定義するかは、企業やビジネスモデルによって異なります。一律のブロッキング条件を押し付けるのではなく、データを一緒に見つめながら、個社環境に応じて「ブロックすべき対象」と「受け入れるべき対象」の微細な設定を行っています。

貝原:まさにその点が印象的でした。一律のルールで判定するのではなく、当社の広告運用やターゲットに合わせて最適化してもらえるという安心感がありました。加えて、新媒体の追加時や施策変更時にスピーディーな最適化支援をしてもらえるなど「ツールを導入して終わり」にならない伴走型のサポート体制も大きな決め手でした。

──実際にCHEQのサポートを受けてみて、いかがですか?

貝原:非常に満足しています。定例ミーティングで媒体別・キャンペーン別の状況を細かく共有いただけるため、状況を継続的に把握できます。疑問点が生じた際、スムーズに相談できる点も非常に助かっています。

約5,000万円分の不正クリックを排除しCPA改善&ROI最適化を実現

──導入後、SBI証券ではどのようなインパクトが出ましたか?

貝原:CHEQ Acquisitionによって保護できた広告費、いわゆる「想定保護金額」は、年間で約5,000万円に達することが判明しました。さらに、CHEQ Acquisitionが判定した不正クリックのログを広告媒体側に提示することで、不正に消化された広告費の返金を受けられたことも大きかったです。

佐々木:アドフラウド対策ベンダーが提示するレポートを媒体側が認めることで、過去に発生した無効クリック分の費用が広告主に返金される仕組みがあります。当社だけが一方的に不正を主張しているのではなく、第三者である媒体側にも不正と認められたことは大きなポイントです。

貝原:結果として、CHEQ Acquisitionのライセンス費用をカバーできるほどの返金を得ており、実質的なシステム投資コストはプラスマイナスゼロに近い状態です。社内でツールの利用を継続する際、コストパフォーマンスの証明は常にハードルとなります。しかし「実質的な費用負担がほぼない状態で、年間5,000万円規模の無駄を排除できている」という事実は、強力な説得材料となりました。これまでブラックボックス化していた無駄が透明化された価値は計り知れません。

──Web広告全体の配信効率にも良い影響は出ているのでしょうか。

貝原:コンバージョンに全くつながらない無駄なクリックを排除できているため、全体の獲得件数を維持したままでCPAを大幅に下げることができています。浮いた予算を、本来アプローチすべきだった“攻め”の新規顧客獲得施策へ再配分できるようになり、ROIの最適化が実現できています。

AIで高度化する不正にどう対応するか?

──今後CHEQ Acquisitionを活用して、どのようにマーケティングやアドフラウド対策を展開していきたいですか?

貝原:AIの進化とともに不正トラフィックも高度化しており、最近では人間に極めて近い挙動をするボットも増えています。そうした中で、単なる不正クリックの防御だけでなく、複数の広告の貢献度を正しく測る「アトリビューション分析」や、同一ユーザーへの広告の出すぎを防ぐ「フリークエンシーコントロール」といった、マーケティング全体の高度な最適化施策にも踏み込んでいきたいと考えています。

 アドフラウド対策は地味に見えるかもしれません。しかし、守りを固めることこそが、最も確実かつ安全に攻めの予算を生み出します。この面白さと重要性がより多くのマーケターに広まり、対策がマーケティングのスタンダードとして普及していくよう、業界を盛り上げていきたいです。

──貝原さんの展望を受け、佐々木さんは今後どのようにサポートされたいとお考えですか?

佐々木:大きく2つのアプローチでご支援を強化します。1つ目は、広告運用のさらなる最適化です。悪質なボットだけでなく「人間だが対象から外れる非ターゲットユーザー」を判定して除外する機能を強化します。

 たとえば、海外からVPNを介して一時的に日本のIPアドレスを装い、アクセスしているユーザーがいます。彼らは日本居住者を対象とするSBI証券様の口座開設条件を満たしません。このようなターゲットとなり得ない属性を様々な軸で特定し、広告の配信を抑制することで、広告投資の効率を高めながら「SBI証券様のサービスを必要とするユーザー」との接点を最大化し、SBI証券様が掲げる「3,000万口座開設」の目標達成に貢献します。

 2つ目は、アクセス主体の精緻な識別です。近年、人間の代わりにWeb上を自動で回って情報収集するAIエージェントが一般化し、オンライン上のアクセス環境は複雑化の一途をたどっています。今後は人間だけではなく、悪質なボット、AIエージェントのような“良いボット”など、様々な属性が混在してくるでしょう。

 そのため、単にすべてのボットを一括りで排除するのではなく「何を分析対象データとするか」を企業が明確に定義し、アクセス主体を正しく分類することが極めて重要です。オンライン上の多様なアクセス主体を精緻に識別し、目的やポリシーに応じたデータ分析のご支援をしていきます。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:チェク・ジャパン株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/08/26 11:30 https://markezine.jp/article/detail/50851