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注目マーケティングトピックス2026

【Threads 3周年】利用時間が前年比2.3倍、会話の場に。企業が知るべき国内利用動向&新機能

「通りすがり」が強い!人気アカウントが語るThreadsのコツ

 機能面の進化だけでなく、実際のプラットフォーム上ではどのようなコミュニケーション設計が効果を発揮するのだろうか。ラウンドテーブルの後半に行われたパネルディスカッションでは、クリエイターとして活躍する手抜き警察氏と、有限会社安井ファームの広報担当である土田龍之介氏が登壇し、現場での実践的な知見が共有された。

画像を説明するテキストなくても可
【写真左】手抜き警察氏(@tenuki_police
【写真右】有限会社安井ファーム 広報担当 土田龍之介氏(@yasuifarm_official

 両者に共通する運用スタイルは、自社のアカウントで情報発信を完結させるのではなく、一般ユーザーの投稿へ積極的に出向いてコメントを残す「通りすがり」のアプローチだ。手抜き警察氏は、あるユーザーの料理投稿に対して「それは手抜きとは言えないほど手が込んでいる」と称賛のコメントを送ったことをきっかけに支持を集め、現在では育児や家事に奮闘するユーザーへの温かい励ましが独自の世界観を形成している。

 当初は他プラットフォームのバックアップ目的でアカウントを開設したという安井ファームも、ブロッコリーに関する一般ユーザーの何気ない投稿に対し、専門家としてのアドバイスやエールを送ることで、従来のSNSを凌駕する反響を獲得した。土田氏は「自社からコメントを送ることで、他のユーザーからも反応が広がりやすい」「コミュニティが自然発生し、口コミが広がる。これこそThreadsならではの価値」と、一方通行ではない双方向のラリーが生み出す熱量の高さを指摘する。

 事実、この対話重視のアプローチは明確なビジネス上の成果に直結している。安井ファームの振る舞いに影響を受けた他業種の生産者までもが一般ユーザーに話しかけにいく「通りすがりの〇〇」というトレンドが発生。その直後には、安井ファームが監修した著書が大手ECサイトのカテゴリー別ランキングで1位を獲得した。さらには、コラボレーションで開発した高価格帯のブロッコリーソースが、Threadsでの告知を機にわずか2週間でほぼ完売するという実績を残している。会話による共感の伝播が、実際の購買行動を強く促すプロモーション手法として見事に機能した証左だ。

運用成功の鍵は「3つのリ」とアイデンティティ

 具体的なエンゲージメント向上の指針として、手抜き警察氏は「3つのリ」という独自のフレームワークを提唱した。1つ目は、着飾った完璧な姿ではなく、日常の失敗や妥協を包み隠さず見せる「リアル」。2つ目は、企業やユーザーにコメントを送る際、常に相手への敬意を忘れない「リスペクト」。そして三つ目は、盛り上がっている話題に対して安易に便乗せず、その文脈を的確に把握して参加すべきかを見極める「リテラシー」だ。

 手抜き警察氏は、テキストだけの非対面コミュニケーションがもたらす危険性について、「SNSをやっていると、画面の向こうには一人ひとりの人がいるという感覚を忘れてしまうことがある。対面で話している意識を持つことが重要だ」と語り、プラットフォームの仕様に依存しない普遍的な対話の原則を説いた。

 また、企業アカウントを運用する際の要諦として、土田氏はブランドにおける明確なアイデンティティ(核)の確立と、ユーザーの記憶に残る定型句の設計を挙げた。安井ファームが用いる「ナイスブロッコリー」「オッケーブロッコリー」のような印象的なフレーズは、ユーザーが思わず真似をして自身の投稿に取り入れたくなる余白を生み出し、ブランド想起を強力に後押ししている。

 企業のSNS運用やメディアプランニングにおいては、効率化を求めるあまり、ターゲット層を単なるトラフィックやインプレッションの数字として捉えるドライな設計に陥りがちだ。しかし、会話が成長エンジンとなるThreadsのようなプラットフォームにおいては、ユーザーを一人の人間として尊重し、ユーモアと温かみのある対話を地道に積み重ねる、泥臭いコミュニケーション設計こそが求められる。これが、情報が氾濫する現代において強固なブランドロイヤルティを構築し、ビジネス課題を解決するための経路ではないだろうか。

 3周年を迎えたThreadsは今後もアップデートを続ける。進化し続けるSNSの仕組みが一般のユーザーにもたらす新たな体験、クリエイターおよび企業にとって拓かれている可能性が垣間見えたラウンドテーブルだった。

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/07/09 09:00 https://markezine.jp/article/detail/77127

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