元リクルートVPの金井統氏が「強み」を起点に語る、現場で使える「マーケティングの“考え型”」を解説する本連載。今回は、マーケターが戦略を実行するためにも不可欠だという「組織マネジメント」について、実現するための流れを「モデル化」して提示。基本的なマネージャーの役割を押さえながら、事業課題と成長機会を結びつけ、マーケティング組織とメンバーの成長を最大化する方法を解説する。
組織マネジメントモデルで読み解く成長の流れ
マーケティング・マネジメントとは、「人の強みと成長を引き出して、組織成果を最大化すること」。これを組織マネジメントの言葉に置き換えると、「持続的な事業成長を支える組織の成長を促すために、人の強みと成長を引き出し、その組織のKPIを持続的に最大化し続けること」であると、前回お伝えしました。
この考え方をモデル化したものが、下図の「個の強みを活かした自律自走型の組織マネジメントモデル」です。
このモデルは、個の強みを起点に、成長機会を設計し、チャレンジとフィードバックを繰り返しながら、個と組織の成果を最大化していく一連の流れを示しています。図中の番号は、必ずしも一方向に進む手順ではありません。強みの把握、ミッション設計、チャレンジ、フィードバック、評価を循環させながら、個と組織の成果を高めていくモデルです。
今回から、このモデルに沿ってマーケティング・マネジメントの考え方を具体的に解説していきます。本稿では、前提となるマネジメントの役割定義をした上で、上記モデルの(1)〜(3)にフォーカスしてお伝えいたします。
マネジメントとは何の役割なのか
まず押さえたいのが、「そもそもマネジメントを担う人は、何をする人なのか」という問いです。たとえば、部長や課長など、いわゆるミドルマネジメントを担う方々は、何をするために存在しているのでしょうか。
まだマネジメントを経験されていない方から見ると、「自分ではあまり手を動かしていないよな」「管理業務ばかりしているように見えるな」と感じることもあるのではないでしょうか。
もちろん、役割や人によって異なりますが、その気持ちはよくわかります。私自身もメンバー時代、マネージャーを見ながら、主に2つのことを思っていました。
1つは、「管理業務に追われて、忙しすぎないか?」ということ。もう1つは、「いや、そのくらいは自分でも手を動かしてくださいよ」という不満です。
しかし、自分がマネージャーになって初めてわかりました。確かに管理業務にも追われますし、自分で実務を抱えている場合ではないのです。
難しいのは、メンバーの多くはマネジメントを経験したことがないため、役割の違いをリアリティを持って理解することが難しいという点です。それは当然のことだと思います。
そこで今回は、メンバーとマネジメント双方の立場を経験してきた視点から、マネジメントの役割についてお伝えしたいと思います。
先に結論をシンプルにお伝えすると、私はマネジメントの役割を「機会創出と成長促進」だと定義しています。この定義を1つずつ確認しながら、マネジメントの役割の解像度を上げていきます。
まずは、機会創出です。そもそも、この機会創出なくして人の成長はありません。人の成長には、成長するための機会が前提として必要なのです。
皆様もご自身の経験を振り返ってみてください。大きな成長実感を得られた場面には、必ずそのきっかけとなる仕事や役割、プロジェクトなどの機会がセットされていなかったでしょうか。そして、その機会に挑戦する自分を応援し、支えてくれた人がいたのではないでしょうか。
私が考える「機会」とは、単に仕事を渡すことではありません。その人が今よりも一段成長できる仕事を設計し、その挑戦を任せることです。
難しすぎる仕事であれば、本人が潰れてしまうかもしれません。一方で、簡単すぎる仕事では、成果は出ても成長にはつながりません。その人の強みを活かしながらも、少し背伸びをしなければ届かない仕事を設計すること。私は、この「ちょうど良い挑戦」を創ることが、マネジメントの最も重要な役割の1つだと考えています。
この機会を創り、メンバーにお渡しする役割を担うのが、マネジメントをする人なのです。もちろん、役員、部長、課長といった役割の階層によって、創る機会の大きさ、難易度、影響範囲は異なります。ただし、担う役割の本質は変わりません。
機会を創り、その機会をメンバーの強みに応じてお渡しし、成長を促しながら組織成果につなげること。それがマネジメントの役割です。
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
新規会員登録無料のご案内
- ・全ての過去記事が閲覧できます
※プレミアム記事(有料)は除く - ・会員限定メルマガを受信できます
- ・翔泳社の本が買える!500円分のポイントをプレゼント
この記事は参考になりましたか?
- 事業と人を成長させる「強み」起点のマーケティング思考連載記事一覧
-
- 事業課題は成長機会。自律自走型マーケティング組織を作るマネジメントモデルとは
- 戦略を実行できる組織へ。強み軸で成長・成果を最大化させる「マーケティング・マネジメント」と...
- 「激レアバイト」はいかにして年間100万応募を生んだのか?コモディティ市場を制す戦略の作り...
- この記事の著者
-
金井 統(カナイ オサム)
NexGen Inc. CEO
新卒でNTTドコモに入社。端末のマーケティングを経験した後、iモードでビジネス展開をする会社へのコンサルティングに従事。その後、リクルートへ転職。マーケティング室のVP(ヴァイスプレジデント)として、横断の人材育成・知見流通とHR領域のマーケティング責任者を担当。HR領域におけるToC及びToB双方のプロダクト横断での事業・マーケティング戦略、ブランディングからdirectADやSEO等のネットマーケティング、...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
