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新規獲得偏重から既存・休眠の活性化重視へ 先進企業に聞く新たなバランスと投資の考え方

成熟市場ではリピーター、立ち上がり期は新規を狙う

安成:一方、一休には実店舗がなく、100%オンラインの事業体になりますよね。以前から、宿泊事業ではロイヤル顧客のさらなるロイヤル化にフォーカスして事業を拡大されていると聞いていますが、現在の顧客とのコミュニケーション、また新規と既存のバランスについてどうお考えですか?

榊:まず、おっしゃる通り当社はECの会社であり、宿泊やレストラン予約事業では同じ商品を競合企業も扱っている中で事業をしています。パルさんと違って、オリジナル商品を扱っているわけではありません。なので、どう顧客と接点を持つか、どれだけ優れたUI/UXを提供できるかなどが競争力の源泉になっていて、その点ではマーケティングの良し悪しが競争力に大きく影響すると考えています。

一休 代表取締役社長 榊 淳氏

 銀行でのトレーディング業務を経てボストンコンサルティンググループへ。次のアリックスパートナーズ勤務時に一休を担当したことから、2013年に正式に一休へ参画。2016年に代表取締役社長に就任、ロイヤル顧客をさらにロイヤル化する戦略で大きく事業を成長させている。

榊:新規と既存についてはシンプルに、宿泊事業は成熟市場なのでリピーター拡大、レストラン事業はまだそこまで市場が成熟していないので、新規顧客を狙っているという状況です。市場の立ち上がり期に顧客を獲得できないと、他社が顧客を囲い込んだ後に顧客を獲得するのが困難になって勝ち目がないんです。

安成:その段階で直接つながっている顧客が少ないと、確かに厳しそうですね。

榊:宿泊事業でロイヤル顧客に注力しているのは、「上質な宿だけを探している」という尖った顧客層をターゲットしたほうが効果が高いことが理由のひとつですが、基本的に市場の立ち上がり期は新規顧客獲得で拡大し、成熟してきたらリピーターから売上を獲得していくのはどの業界でも共通の構造じゃないかと思います。

 レストラン事業のほうは、これから一休に入っていただきたいお店がまだ多いので、店舗数拡大を新規獲得戦略として重視している状況ですね。

3年前の元カノにいきなり電話してはいけない

安成:両社とも、元々サードパーティーデータを使った新規獲得に頼っていない点は共通していますね。何らかの形で初回接触した方に対して、最適なアプローチでエンゲージメントを深めていく、と。

 では、休眠顧客に対してはいかがでしょうか。何をもって休眠とするかはビジネスによって違うと思いますが、休眠の掘り起こしの活動を何かされていますか?

MarkeZine編集長 安成蓉子
MarkeZine編集長 安成蓉子

堀田:当社では、あまり重視していないですね。アパレルだと、たとえば学生から社会人になると買うブランドが変わる、みたいに一定数は転換していきますし、半年や1年買っていない人にアプローチしてもあまり活性化しないイメージがあります。

榊:一休では、休眠を一括りにせず、ユーザー単位でスコアリングをし、再訪/リピート可能性を評価しています。お客様の中には毎年同じ時期に旅行されるような方も一定数いますが、ブランクが3ヵ月程度を過ぎると一気にリピート確率が落ちるので、その前にアプローチしているんです。それ以上離れてしまっている人は、おそらく他のサイトで購入しているでしょうし、一休に戻らない理由があるから休眠しているんですよね。その休眠理由が、僕らが解決できる問題なのかをまず考えます

北村:そのあたりを分析されたりしますか?

榊:します。利用額や利用頻度でデータ分析をすれば、どういったセグメントの成長率が高いかは明確ですよね。当社の場合は上質な宿を高頻度で利用する方がいちばん伸びているので、その方々に対してサービスをつくり込んでいて、逆にうちに来て予約しなかった方は、他のサイトのほうが使いやすかったからなのだと捉えています。

 その方々は、基本的にうちに向いていない。なので、あまりチャンスはないかなと思っているんです。ただ、休眠層がアクションを起こした際は、そのタイミングでぜひ捉えたいとは思います。3年前に付き合っていた彼女に突然「元気?」と電話したらドン引きだけど、もし街でばったり会って「久しぶり!」ってなった後ならメールも開いてもらえるかも、という(笑)。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/01 10:35 https://markezine.jp/article/detail/33210

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