煩雑になったMAツールの機能を一つにまとめる「SAP Emarsys」
MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、お二人のご担当領域とミッションについて教えてください。
ローゼンタール:SAP Emarsysを、SAPの既存顧客、特に日本などのアジア太平洋地域における新規のエンタープライズ企業に対して、価値の促進をしていくことが主なミッションになっています。私自身もこれまでマーケティングオートメーション(MA)、パーソナライゼーション領域において8年ほどの実務経験があります。そのため、業界の課題感や流れには精通しています。
ローゼンタール:最近では、主要なマーケティング・テクノロジーリーダーの方々や企業と連携をしながら、各社独自のニーズを特定しています。これにより、それぞれと親和性のあるよりカスタマイズされたソリューションを提供し、各社のビジネスの成果を上げるための支援に注力しています。
阿部:私が事業部長を務めるカスタマーエクスペリエンス事業部は、SAPのフロントオフィスを担当しています。2023年7月に国内での展開を開始するSAP Emarsysをはじめ、CRMや顧客データ管理などのソリューションを提供しています。
MZ:SAP Emarsysの概要を簡単に教えていただけますか。
ローゼンタール:SAP EmarsysはBtoC企業のマーケターのために開発されたシステムです。初めはオーストリアのウィーンでメールマーケティングから事業を開始した当社でしたが、オムニチャネルで支援対象を拡大する中で、今のソリューションになりました。
我々は、従来のMAツールには限界が来ていると強く感じています。理由としては、顧客とのタッチポイントの多さから複数のMAツールを入れなければいけないといった部分や、それぞれのMAも機能が多様になるにつれて複雑化しており、マーケターが自身のスキルやリソースのみで活用できないといった部分が挙げられると思います。
そうした背景を基に、SAP Emarsysはマーケター自身で複数の機能が使えるプラットフォームとしてUIの使いやすさを意識して開発してきました。マーケターが分析を行う上でIT部門に頼る必要がないため、コストや工数の削減も期待できます。
顧客のロイヤル化・高度なセグメント・行動管理を一挙に担う
MZ:SAP Emarsysでは、マーケターのどのような課題を解決できるのでしょうか。
ローゼンタール:大きく三点あると考えています。
まず一点目は、顧客のロイヤリティ向上に寄与できるという点です。SAP Emarsysではマーケティングの各チャネルをシームレスな形で統合できます。そのため、ユーザーによってパーソナライズされた体験を、複数の接点を介して顧客に提供ができます。これにより、カスタマージャーニーの各領域においてCVRを上げたり、長期的にブランドに対してのロイヤルティを育成したりしていくことが可能になります。
二点目は、顧客を様々な属性や習慣に基づいた形でセグメントができるということです。
企業は自分たちが作るコンテンツやサービスを、特定の顧客グループに向けて提供ができるようになるため、CX向上につなげることができます。
三点目は、顧客のライフサイクルにおける購買行動を管理できる点です。たとえば、ウェルカムメールや、カートに商品が放棄されている際のリマインド、購入後のフォローアップなどのワークフローを自動で行うことが可能です。忙しい担当者にとって時間の節約になり、業務の効率化に寄与できます。
ローゼンタール:他にも行動分析により、顧客による自分たちのブランドへの関わり方や、好みやトレンド、ブランドコミュニケーション改善の余地などのデータを得られるため、マーケティング戦略の立案にも役立ちます。