※本記事は、2024年5月刊行の『MarkeZine』(雑誌)101号に掲載したものです
【特集】進化するテレビマーケティング、現在の選択肢
─ テレビでもスマホでも生活者は意識しない、スクリーンニュートラル時代のプランニング
─ 「テレビCMは若年層には効かない」は本当か?テレビの効果検証に不可欠な2つのポイントを解説
─ TVerの進化は広告主の選択肢をどう広げるか(本記事)
─ シングルIDでターゲットリーチを可視化する CCCMKホールディングスのソリューション
─ 第三者パートナーとして、ビジネス効果・スピードを重視するノバセル
─ 多様なデータ資産を用いメディア環境の変化に対応する「TV AaaS」
─ 全国のテレビCM放映データを持つ「Madison」
─ 視るという行動ベースのデータを活かす「Telescope」
─ 日本テレビ「Ad Reach MAX」、2025年3月ローンチに向け構想を発表
─ 増えていくテレビの選択肢をどう検証する?ホーユーが「MMM」+αで行ってきたテレビマーケの最適化
─ テレビのリーチ力を活かし「利用のバリア」を解消していく。Uber Eats流・テレビCM活用術
─ なぜ「電車の中のテレビ局」なのか?電車内サイネージのリポジショニングを図る「TRAIN TV」の狙い
オリジナル番組制作の背景
──TVerの利用はここ数年で急速に拡大したと思います。実際はいかがでしょうか?
TVerという会社を設立した時期がコロナ禍の只中だったこともあり「ステイホームで一時的にユーザー数が伸びただけでは」と思われるかもしれませんが、コロナ禍が明けた今もなおTVerのMUB(Monthly Unique Browsers)は伸長し続けています。2024年1月のMUBは3,500万で、歴代最高記録を更新しました。
サービスの成長と連動するように、広告ビジネスも好調です。売上は前年比約140〜150%のペースで伸びています。2021年4月より本格的にTVer広告のセールスを開始した当時は、TVer自体の認知度が今ほど高くなかったため、サービスの説明からする必要がありました。営業先で「TVerを利用したことはない」「若い人が利用しているサービス」と言われることもありましたが、最近はサービスが認知されたことで広告を提案しやすくなったと感じます。
──最近はオリジナル番組の制作や特集機能など、新たな取り組みにも注力されている印象です。
2022年12月に、TVerが初めて制作した完全オリジナル番組「最強の時間割」のシーズン1を配信しました。様々な業界のトップランナーを先生として招き、複雑な世の中に向き合う学生や社会人の視聴者に考え方のヒントを届ける内容です。好評につき、2023年11月にはシーズン2も配信しました。
──そもそも、なぜオリジナルコンテンツを制作することになったのでしょうか?
クライアントから「オリジナル番組を制作してほしい」というご要望を頂戴したからです。第一弾として、自動車のサブスクリプションサービスを提供するKINTOの1社提供で、完全オリジナルバラエティ番組『褒めゴロ試合』を制作・配信しました。番組と連動したインフォマーシャルや提供クレジットは、1社提供ならではの演出と言えます。
1社提供のオリジナル番組は、TVer広告に興味を持っていただくきっかけにはなりますが、社としてあえて番組制作事業に舵を切ることは考えていません。TVerは各放送局のコンテンツが集まるプラットフォームでもあります。最強の時間割はMBS(毎日放送)に制作協力いただきましたし、褒めゴロ試合は元テレビ東京の佐久間宣行さんにプロデュースいただきました。あくまで「放送局の存在ありきのコンテンツ」という考えです。