顧客体験を「育てる」時代。AI × LINEミニアプリ開発の可能性
最後のセッション「AI × バイブコーディングでLINEミニアプリ開発はここまで進化する――『作れる』だけでは終わらない、これからの顧客接点づくり――」に登壇したエボラニ 取締役CSOの永井将史氏は、LINEを活用した顧客接点作りについて、「LINEミニアプリ」という観点から解説した。
エボラニは、LINEヤフーとKakaoという日韓の2大コミュニケーションプラットフォームから出資を受けている開発企業。特にLINEヤフーは同社について、マーケティングソリューションの導入ならびに支援など各領域に特化したパートナーを認定する「LINEヤフーPartner Program」において、LINEミニアプリとコミュニケーションの2部門におけるTechnology Partnerとして認定している。開発ノウハウや知識がなくてもノーコードで自動接客を実現するLINEミニアプリ開発プラットフォーム「anybot(エニーボット)」を提供しており、1万社以上の顧客を抱え、大手企業を中心にタイや台湾の企業・ブランドにも利用されている。
同社の永井氏が会場を訪れた参加者に示したのは、「AIでアプリを容易に開発できるようになった今、顧客接点・顧客体験を作るだけでなく、“育てる側”になりませんか」という提案だ。
永井氏によると、中国やアメリカ、韓国では、既にスーパーアプリ上で顧客体験を設計し、購買体験まで完結する世界観になっているという。中国のWeChatをはじめ、XmoneyやXchatでスーパーアプリ化を目指す米国のX、そして韓国で決済を軸に目覚ましい勢いで発展中のTossなどがそれにあたる。特にTossでは、非エンジニアでも生成AIで容易にアプリを開発できる「バイブコーディング」でミニアプリを立ち上げることができるため、一般のクリエイターもこぞってアプリ開発に参加している。「開発にかかる期間はわずか1日程度」という事例もあるという。
リピート購買3割増の事例も。ミニアプリ導入の勝ち筋とは
LINEもこうしたスーパーアプリへと進化する可能性があるが、永井氏はLINEミニアプリの現状課題として、3つの問題点を指摘した。
1つ目は開発などの立ち上げ負荷が非常に重く、スピーディーにアプリを実現できないこと。2つ目に単発で終わるLINEミニアプリが多く、育っていかないこと。3つ目にデータの分断が起きやすいことだ。
一方、サービスの継続的な改善を行っているグローバルトップ企業は、ビジネス上でも大きな成果を挙げている。たとえばNetflixは、サムネイル改善を行うことでクリック率を20%向上し、年間10億ドルの価値を生み出している。WeChatでも、ラグジュアリーブランドがゲーミフィケーションを取り入れてリピート購買を3割増加させているという。
「LINEミニアプリも、一度作って終わりではなく、改善を重ねて育てていくことで、大きなビジネス成果が生まれます」と永井氏は言う。
そんな同社が提案するのが、バイブコーディングを実現する「AnyApps(エニーアップス)」だ。永井氏によると、「カップラーメンが3分待てば美味しい体験を提供するように、3分あればアプリのシナリオからUI、機能実装までを仕上げ、LINE上でリリースできるようになります」という。
永井氏は実際、セッション参加者の協力を得て、AnyApps上で「人材紹介会社のキャリアアドバイザーと面談予約できるアプリ」の開発デモを行い、AIとノーコードを活用して短時間で実装できることを示してみせた。
最後に永井氏は、「何を作るかというよりも、どれだけ早く改善できるかが顧客体験の価値になる」と述べ、ミニアプリのさらなる活用に取り組む必要性を訴えた。

