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MarkeZine Day 2026 Autumn

イベントレポート

「Maxxing」から「アウトカム」の時代へ HubSpot「UNBOUND」が問うAI活用の真価

あなたが更新するのではなく、CRMがあなたを更新する

 成果を出すための基盤として発表されたのが、データの更新プロセスを根底から変革する「HubSpot Smart CRM」の刷新だ。レノックス氏は、従来のあらゆるCRMが共通して抱えてきた根本的な課題を指摘する。

「CRMは、誰かが伝えることを覚えていた分しか知りません。メモは誰かの頭の中にしかなく、取引の更新内容は間違いだらけで、活動履歴はそもそも入力すらされない。これはすべてのCRMが抱える大きな問題でした」(レノックス氏)

 この問題に対し、同社は「あなたがCRMを更新するのではなく、CRMがあなたを更新してくれるとしたらどうでしょうか」という逆転の発想を提示。自らデータを最新状態へと更新する「self-updating CRM」へと進化させた。

 すべての通話、メール、会議は自動的に記録され、コンタクトの追加や取引ステージの変更、次のステップの整理までが手動の手間なく実行される。特に営業担当者の負担を激減させるのが、モバイル議事録ツールと「取引進行」機能の連携だ。移動中に商談の概要や重要事項を音声で残すだけで、AIが予算や競合情報、キーパーソンの存在といった複雑な文脈を解析し、CRMの更新案と最善のネクストアクションをワンクリック承認の形式で提案してくれる。

 顧客情報だけでなく、自社製品やチームのプロセスなどの情報を統合した「Growth Context」が蓄積されることで、CRMはビジネスの“第二の脳”として機能する。営業担当者を不毛な手入力作業から解放し、顧客との対話に集中できる環境を整える革新的な基盤と言える。

コンテキストが不十分なツールが生成した無機質なメール

 AIに質の高いコンテキストを与え、成果を最大化するための司令塔となるのが、新機能の「コンテキストホーム」だ。レノックス氏は、同社が製品開発において最も重要視している考え方として「顧客からの信頼」と「人間の主導権」を強調する。

「HubSpotで私たちがものを作るときは、1つ残らず『顧客はこれを信頼してくれるだろうか』という問いに立ち返ります。ちゃんと動くという信頼、データが安全だという信頼。中でもポイントは『主導権が自分にある』という信頼です。だからこそ、皆さんが運転席に座ってすべてを見渡し、管理できる中心的な場所を作りました」(レノックス氏)

 コンテキストホームは、自社のGrowth Contextがどれだけ充実しているかをスコア形式で可視化する統合ダッシュボードだ。「ビジネス(ポジショニングや製品リスト)」「顧客(ペルソナや関係履歴)」「チーム(役割やプロセス)」という3つの層を俯瞰でき、不足している情報にはフラグを立てて改善を促す。

 さらに、日々の会議の文字起こしやメモからAIが更新案を自動提示する推奨機能も備えるが、何をコンテキストに含めるかの決定権は常にユーザー側にある。透明性が確保され、許諾したデータのみが活用される安心の仕組みだ。

 デモでは、コンテキストが不十分な従来のツールが生成した無機質なメールと、充実したコンテキストに基づくHubSpotのメールが比較された。後者では競合比較データや顧客の懸念事項、自社のフォローアップ手順までが緻密に反映され、自然で人間味のある提案が形になっている。

 レノックス氏は最後に、自身の父親が営むガソリンスタンドで顧客との信頼を築いてきたエピソードに触れ、こう締めくくった。

「私の父は毎日必ず店に立ち、やるべきことをやり続けました。私たちが皆さんにお届けするのは、それと同じように毎日働き、皆さんが成果に集中できるプラットフォームです」(レノックス氏)

 AI全盛の時代にあっても、ビジネスの核となるのは人間らしさと信頼関係であることを印象付ける言葉だった。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/09/17 09:45 https://markezine.jp/article/detail/77652

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