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世界中の欲しいに応える「越境ECビジネス」最前線

【ECサイト海外対応の落とし穴!?】海外ユーザーを阻む3つの壁

 2018年、訪日客は3,000万人を突破。爆買いブームが一段落したとはいえ、インバウンド消費に期待を寄せる企業は多い。そして日本のEC事業者も“ネットインバウンド”とも呼ぶべき「越境EC」への参入が本格化してきている。マーケティングのトピックスとしても注目が集まる「越境ECビジネス」について、現場の手法をお届けしている本連載。今回は、企業規模の大小問わず始めやすい「国内ECサイトの海外対応化」について詳しく紹介する。解説は、10年以上にわたって越境ECサービスの構築・運営に携わる越境EC専門家の仲里一義氏(ジグザグ 代表)です。

海外ユーザーがつまずく3つの壁

 越境ECには複数の手法があり、海外モールに出店することだけが越境ECではない(ビジネスモデルについては前編を参照)。約3,000億円規模と推定されるネットインバウンド(国内ECサイトに流入する海外アクセス)をマネタイズするためには、まず「国内ECサイトの海外対応化」に着手することが重要だ。では、「国内ECサイトの海外対応化」とは一体何か。順を追って説明していく。

 書籍、アパレル、家電、日用品に至るまで、様々な商品がワンクリックで、早ければ一日足らずで届いてしまう便利な時代だ。今や多くの人が、日々の生活のなかでネットショッピングを利用しているだろう。そして、その利便性を支えているのは、「商品ページ」や「ショッピングカート」、「決済」に関わる機能や、「配送」サービスだ。

 これらの機能は便利を通り越して「当たり前」のものと映るだろう。しかし、海外ユーザーが日本国内のECサイトで買い物をしようと考えたとき、これらは障壁へと変わるのだ。下図は、海外ユーザーが国内のECサイトを利用する際に生じる「言語」「決済」「物流」という3つの障壁を表している。

 では、これら「言語」「決済」「物流」という3つの壁が、海外ユーザーにとってどのような不利益をもたらしているのか具体的に説明しよう。

「日本特有の入力必須項目」が理解できない

 一つ目の「言語の壁」は、商品ページやショッピングカートが翻訳されていないことや、海外ユーザーに最適化されていないことを意味する。商品ページは掲載写真やブラウザの自動翻訳機能を頼りに買い物を進めることもできるが、ショッピングカートはそうはいかない。特に日本特有の「カナ入力」や「7桁の郵便番号」「生年月日の和暦」「都道府県」「秘密の質問(ペットや母親の旧姓を設定するなど)」の入力必須項目の設定は、外国人に理解不能な領域である。

日本特有の入力フォーム項目例
日本特有の入力フォーム項目例

海外のクレジットカードや決済システムに対応していない

 二つ目の「決済の壁」は、海外のクレジットカードや決済システムに対応していないことを意味する。決済代行を担う企業・個人に請け負ってもらうこともできるが、そのような手段を知らない場合は、購入に至らない。また、昨今海外クレジットカードを悪用した不正決済が社会問題化しており、ある日本のEC事業者は「すべての海外クレジットカード決済を不可」とする処置をとっているケースも珍しくないのが現状だ。

海外配送に未対応である

 最後は「物流の壁」である。端的に言えば、海外配送に未対応であるということだ。前述の「言語」や「決済」が海外対応をしていない企業は、おおよそ海外配送にも対応していないことがほとんどだ。その場合は買い物を諦めざるを得ない。配送代行業者に任せてしまうという手もあるが、国内配送とは異なり、禁制品や通関手続きなど国際輸送に関わる知識がないために法律に抵触するモノを配送しようとしてトラブルになるケースがあるので注意が必要だ。

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この記事の著者

仲里 一義(ナカザト カズヨシ)

株式会社ジグザグ 代表取締役/越境EC専門家
1974年生まれ。ネット広告「オプト」でWebマーケティングに従事し、営業部長や新規事業本部の統括を歴任。その後、越境EC支援と海外転送サービスの「groowbits」代表取締役就任。国際物流を軸に日米韓独とサービス拠点を拡大。爆買いブーム以前から越境EC支援に取り組み、各ビジネスメディアに取り上げられる。2015年「株式会社ジグザグ」を創業。海外通販サイトから、国をまたいで自由にモノが買えないという実体験から、購入者と販売者双方を支援する越境EC支援サービスを開発。国内ECサイトが最短1日で125ヶ国対応可能になる『WorldShopping BIZ』を2017年にリリース。その利便性の高さから国内200サイト超に導入されている。10年以上にわたるウェブサービスや越境ECビジネスの事業経験を元に、メディア取材やセミナー登壇にも応じている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/15 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30457

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