デジタル広告を中心に視野を広げて提案
野崎:まず、京谷さんが現在電通デジタルでどういった業務に携わっているか教えてください。
京谷:現在はダイレクトアカウントプランニング部門で、クライアント様から今後の展望や目標をヒアリングし、その内容をもとに戦略の立案からデジタル広告の運用に関する提案、支援を行っています。
野崎:京谷さん自身でデジタル広告の運用を行うこともあるのですか?
京谷:広告運用を担当するチームは別にいて、私は業務推進を担当しています。獲得件数や売上などのKGI・KPIに対する目先の運用方針や年間計画、配信すべきプラットフォーム、クリエイティブを設計し、社内のメンバーをリードしています。また、クライアント様の一番の相談相手となれるよう、定期的に課題をうかがっています。
野崎:社員100名未満であるスモール、ミドル規模のデジタルエージェンシーは、主にデジタル広告を用いたダイレクト案件向き合いが多くなりがちですが、大手規模はデジタル時代においてマス×デジタルやOMO(Online Merges with Offline)などデジタルに閉ざさない包括的な支援を行っているはずです。
事実、デジタルエージェンシーでデジタル広告ばかり向き合ってきた若手マーケターはオフラインチャネルにも領域を広げるため、総合広告会社への転身を志すことが多かったのですが、実際に京谷さん自身も、オフラインの提案を行うことはありますか?
京谷:基本的にはデジタル広告がメインとなりますが、オフライン由来のデジタル広告を取り扱うケースが増えています。たとえば、DOOH(Digital Out of Home)やコネクテッドTV広告などが挙げられます。生活者からすれば、コミュニケーションのオンライン・オフラインは関係ないので、視野を広げて提案しています。
フルファネルでサポートできる会社の強みを活かす
野崎:デジタル時代においてマーケティングにおけるデジタルの影響力が増し、オンライン・オフラインの統合が進んでいます。私がデジタルマーケティングの世界に触れはじめた2010年前後はまだマスの補完的な位置付けとしての“ネット広告”といった風潮はあり、経済条件に関しても大きな乖離がありましたが、近年は事情が異なってきています。
今後もデジタル化が進んでいく近未来には、デジタル人材がマーケティング領域において、ますます市場価値を高めるでしょう。
事実、デジタルエージェンシーの若手とキャリア面談をしていると、「デジタルに閉じずマス広告や統合コミュニケーションに関わりたい」と考える方が多いです。しかし、デジタル軸でキャリアを作り続ければ、そのような経験ができるチャンスは広がっているので、現在デジタルエージェンシーに在籍している方はしっかりと情報を集めてから転職というカードを切る意思決定をして欲しいですね。
ちなみに、スモール・ミドル規模のデジタルエージェンシーから転職を希望する方の声として多いのが、「現職ではCPAを追求するダイレクト案件が多くて、認知やブランディングに関われない」というものです。これに関して、業界大手でキャリア形成されている京谷さんはどうでしょうか?
京谷:デジタル広告中心であっても、提案次第で認知・ブランディングに携わることができます。CPAを追求して獲得型の広告ばかりに投資していると、顧客のすそ野は広がらず、効果が頭打ちになります。クライアント様の目標とする獲得件数・売上を見たときに、潜在層の認知が足りないのであれば、ブランディング施策の議論も必要です。
電通デジタルでは、潜在層への認知・ブランディングから顕在層の獲得まで、フルファネルでサポートできる強みがあります。私が提案する際もその強みを活かすことを意識しています。