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結婚式をしない若年層にTikTokショートドラマが響いた!九州の結婚式場アルカディアのチャレンジ

 プロモーションを実行する上で“バズり”が有効に作用するケースはある。しかしながらビジネス成果へとつなげるためには、適度な機能訴求を織り込んだ緻密なコンテンツ設計が不可欠だ。九州エリアを中心に結婚式場を運営するアルカディアでは、Z世代向けにTikTokショートドラマ(三部作)を制作・配信し、認知度や利用意向、好意度の向上に成功したという。本記事では、同プロモーションの仕掛け人たちに制作ポイントや効果をインタビュー。TikTokマーケティングの最旬手法を共有するとともに、若年層向けのアプローチで悩む読者にヒントを提示する。

結婚式の喜びを伝えることが自社PRよりも先

──ウェディング業界の市況を踏まえつつ、御社がマーケティングの力で解消したいと感じていた課題を教えてください。

大串(アルカディア):近年は入籍した方々のうち、結婚式を挙げる方の割合は約半分と言われています。挙式しない理由は「お金がかかる」「形式ばったイベントが苦手」「タイミングが合わなかった」などです。

株式会社アルカディア 代表取締役社長 大串淳氏
株式会社アルカディア 代表取締役社長 大串淳氏
冠婚葬祭の会社に勤めたのち、2002年に九州エリアで結婚式場を運営するアルカディアへ入社。結婚式の営業や式場の支配人を経験し、結婚式場の立ち上げにも携わる。2013年より現職

大串(アルカディア):結婚式を挙げない方の割合は、コロナ禍によって一層増加しました。しかし同時に、人が集うことの大切さを実感した方も多かったようです。実際、挙式の目的を「自分たちのため」というより「周囲の人に感謝を伝えるため」と捉える方は増えました。私たちはそんな新郎新婦のお手伝いがしたいと考え、テレビCMや雑誌、自社のサイトやラジオなどを通して「今の時代に結婚式を挙げる喜び」を伝え始めたのですが、より“押し付け感”がない伝え方も模索していました。

──電通九州は、アルカディアのPRに伴走しているとうかがいました。企業メッセージの新しい伝え方として、どのようなプランを提案されたのでしょうか?

松下(電通九州):テレビCMに加え、TikTokショートドラマを活用したプロモーションを提案しました。これまでは、アルカディアのターゲット(20代・30代)が視聴するテレビ番組の放映に合わせて15秒のCMを提案・実施していたのですが、それだけでは「今の時代に結婚式を挙げる喜び」が十分に伝わりきらないもどかしさを感じていたんです。そんな折、ごっこ倶楽部の制作したTikTokショートドラマが社内で共有されました。拝見したところ、アルカディアのメッセージを対象者に届ける最適な手法だと感じたのです。

株式会社電通九州 ビジネスプロデュース局 ビジネスプロデューサー 松下愛佳氏
株式会社電通九州 ビジネスプロデュース局 松下愛佳氏
新卒で電通九州に入社。デジタル関連の部署を経てビジネスプロデュース局(営業局)へ。2023年よりアルカディアを担当

三部作のドラマに込めた緻密な狙い

──松下さんの提案を受けて、アルカディアのTikTokショートドラマ施策がスタートしたわけですね。ドラマの企画・ディレクションをセプテーニが、制作をごっこ倶楽部が担当したとうかがいました。ドラマの概要と狙い、クリエイティブのポイントを教えてください。

江村(セプテーニ):結婚式の機能的・情緒的便益を訴求するだけでは、既に活用されていたテレビCMと変わりません。結婚はしても結婚式はしない方の意識を変えるためには、明確なコンセプトが必要だと考えました。

Septeni Japan クリエイティブ本部 ブランドコンテンツ開発室 シニアチーフディレクター 江村雄一氏
Septeni Japan株式会社 クリエイティブ本部 ブランドコンテンツ開発室 シニアチーフディレクター 江村雄一氏
デジタルマーケティング事業を展開するSepteni Japanで、クリエイティブに関する新規サービスおよび新規事業の開発を担当。現在はTikTokショートドラマの企画に注力している。

江村(セプテーニ):新郎新婦の二人だけでなく、参列者の人生にも影響を与える価値のあるものとして結婚式を描く──そんなコンセプトの下、三部作のドラマを設計しました。第一話にあたる「誓い」は、ミスリードを誘うストーリーが特徴です。繰り返し見たくなる気持ちを刺激し、ドラマ自体をバズらせる狙いがありました。

第一話「誓い」

江村(セプテーニ):第二話の「ことのは」では家族愛を描きつつ、式場の内観が伝わる映像に仕立てています。

第二話「ことのは」

江村(セプテーニ):プランナーと新郎新婦の打ち合わせの様子を映した第三話「wedding for」は、王道のプロモーション動画に近い作品です。第一話と第二話のストーリーと連動させつつ「種類の豊富なドレス」「信頼できるプランナー」「おいしそうな料理」など、機能的な訴求ポイントを盛り込んでいます。

第三話「wedding for」

江村(セプテーニ):「誓い=結婚式を挙げたい」「ことのは=結婚式場で挙式したい」「wedding for=アルカディアで結婚式を挙げたい」という具合に、3本のドラマが挙式検討の進度に対応しています。つまり、第一話<第二話<第三話の順で訴求力が徐々に強くなっているのです。訴求力を上げると拡散力が下がりやすくなるため、第三話のwedding forのみ広告配信も実施しました。ストーリー性の高い第一話と第二話があったからこそ、第三話でアルカディアの魅力を自然に伝えられたと考えています。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社セプテーニ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/01/09 11:00 https://markezine.jp/article/detail/44236

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