おもしろくなければそもそも見られない
中矢(ごっこ倶楽部):クリエイティブのポイントをご紹介する前に、私からショートドラマを活用したプロモーションが従来の広告手法と異なる点についてお話ししたいと思います。
中矢(ごっこ倶楽部):コンテンツとそれを提供するサービスが飽和し、料金を支払って広告を見ない選択肢が浸透している昨今、企業はどうすれば生活者にメッセージを届けることができるのでしょうか。私は、コンテンツのおもしろさに鍵があると考えます。おもしろいと感じるコンテンツなら、生活者は目を向けるからです。
企業側が伝えたいメッセージをベースにしたクリエイティブでは、広告色が強く出て視聴者が離脱してしまいます。インフルエンサーマーケティングはバズりやすい反面、場合によっては企業の伝えたいことがうまく伝わらないクリエイティブになってしまう可能性もあるでしょう。コンテンツのおもしろさとアルカディアのメッセージをどう融合させるかが、今回の制作上のポイントでした。アルカディアの皆様は、私たちの考えを理解した上でショートドラマの制作を一任してくださいました。
ショートドラマ×テレビCMの驚くべきリフト効果
──今回のプロモーションを通じてどのような成果が得られたのでしょうか?
江村(セプテーニ):第一話と第二話は、合計で320万回再生されました(2023年10月時点)。今回はTikTokショートドラマの公開と同時期にテレビCMも実施したのですが、特筆すべきは二つの相乗効果です。福岡県と佐賀県に在住する未婚者約4,000名を対象にアンケートを実施したところ、TikTokショートドラマとテレビCMを重複視聴した方のブランド認知率は58.7%でした。この数値はテレビCMのみ視聴した方よりも16ポイント高く、テレビCM×TikTokショートドラマがもたらすリフト効果の大きさを物語っています。
江村(セプテーニ):さらに、重複視聴者のブランド好感度も81.3%と高く、テレビCM単体の視聴者より40ポイント以上高かったのです。ブランド利用意向でも同様の傾向が見られました。
──今回の成功要因はどこにあったとお考えですか?
江村(セプテーニ):テレビCMの素材をWebの動画広告にそのまま流用するケースは少なくありませんが、今回はそれをせず、テレビCMはテレビCM、TikTokはTikTokでオリジナルのクリエイティブを制作したことにより、相乗効果が高まったと考えています。
中矢(ごっこ倶楽部):テレビCMでは九州エリアを広くカバーし、TikTokではアルカディアのターゲットである若年層を狙ったことも功を奏したのではないでしょうか。TikTokユーザーのボリュームゾーンは30歳以下ですから、結婚式の検討層ともマッチします。
第一話と第二話をオーガニックで投稿し、それらを見た方に広告で第三話を届ける。今はプラットフォームがアルゴリズムでユーザーを選ぶ時代になっているため、テレビCM×TikTokで網目は広く張る。その結果、両方で接触した方への効果が最も高く表れました。