生成AIで新規事業のスピード感はどう変わったか
松本:まず初めに、茂野さんの現在の役割やミッションについてお聞かせください。
茂野:ビズリーチで、新規事業として展開するオンボーディング支援サービス「Onboard AI」の事業責任者を務めております。本日はよろしくお願いいたします。
茂野:昨今は人材育成の属人化やコスト高という課題に加え、AIによって開発速度が上がり、フロント部門が学ぶべきことも増えています。さらに、1人の管理職が多くのメンバーを見るようになるなどマネジメント負荷も増し、オンボーディングの重要性は高まる一方です。
そこで「Onboard AI」は、当社の知見を基に、大学による監修を通じてフレームワークを策定し、オンボーディングを支援するプロダクトとして開発・提供しています。
松本:「Onboard AI」はAIを活用したサービスですが、開発や事業作りの過程でもAIを積極的に使っているのでしょうか。茂野さんはBizDevにも携わっておられますが、従来の新規事業開発と比べて、進め方はどのように変わりましたか?
茂野:根本的に違うのは、圧倒的なスピード感です。従来、エンジニアにモックアップの作成を依頼すると早くても2週間はかかっていましたが、今は翌日には完成して上がってきます。
試行錯誤のハードルが下がり、捨てるコストも少なくて済むため、「どんどん作って試そう」というサイクルがこれまで以上に速く回るようになりました。さらに現在では、非エンジニアであるビジネスサイドが自らプロトタイプを作成できるようになっています。お客様にそれをお見せして一定の合意形成をした上で、エンジニアに本格的な開発を依頼するという世界観にまで到達しており、事業立ち上げのサイクルはかつてなく高速化しています。
一方で、これまで事業立ち上げの初期費用はほぼ人件費でしたが、今は少人数でもAIを強力に活用できるため、従来とはコスト感の概念が少し変わってきていると感じます。
AIに任せる領域と、人間が担うべき領域の境界線
松本:AIに関連してお伺いします。顧客のコンテキストを捉えるインサイドセールスは、AIへの代替が難しい業務も多いと感じています。茂野さんから見て、今後AIに任せられる業務と、人間が担い続ける業務の棲み分けはどうなるとお考えですか?
茂野:「インバウンド/アウトバウンド」「SMB/エンタープライズ」という四象限で考えた場合、インバウンドの多くの部分はAIに代替されると思います。
顧客側に強いニーズがあるなら、必ずしも人間が説得する必要はなく、必要な情報を正確に届けられれば十分だからです。AIであれば、24時間最新情報を回答できる上に、カレンダー情報から商談可能な日程まで提示できます。一方で、アウトバウンドやエンタープライズの領域は、まだまだ人間の役割が大きく、AIには代替されにくいと考えています。
能動的に仕掛けていく場面では、人間の介在が非常に重要です。欧米のように購買環境がアグレッシブであれば話は別ですが、日本では、深く背中を押したり、細やかに情報を提供したりする人間の役割が依然として求められています。
