トレンドは、オムニチャネルコミュニケーションへ
続いてのセッションでは、「オムニチャネルカスタマーコミュニケーションと最新事例」と題して、CEM/CCM ソリューションコンサルタントの柿本伸明氏が、Webだけに留まらないエクスペリエンスを構成するカスタマーコミュニケーションについて語った。
カスタマーコミュニケーションは、企業から顧客へのアウトバウンドのコミュニケーションであり、カスタマージャーニーのほぼすべての領域で顧客との接点として機能している。保険業を例に説明すれば、設計書や申込書、証券、総合通知、更改の案内など、多様な情報が複数の形式・メディアで提供されている。カスタマーコミュニケーションは、顧客に情報を伝え、注意を喚起し、行動を促すなどの重要な機能を果たしている。
「企業が成長するには、新しいバリューチェーンに沿って顧客へのコミュニケーションを革新する必要があります。しかも顧客が期待するエクスペリエンスのハードルが上がっています。つまり競争に勝つための差別化要因として、サイト構築だけでなくコミュニケーションによるエクスペリエンスも統合・強化する必要があります」(柿本氏)
カスタマーコミュニケーションは、過去は、印刷物だけのシングルチャネルだったが、現在は、マルチチャネルまたはクロスチャネルで提供される状況だ。
その一方で現在は、マルチチャネルとクロスチャネルが併用されている状況だ。
「マルチチャネルは、複数の別々に管理されたチャネルによるコミュニケーションです。印刷に加えてEメールやWebなどの複数チャネルに対応しますが、コンテンツや見た目がそれぞれで異なり、顧客のエクスペリエンスは一貫しません。企業も複数のツールとデザインの負担が大変です。
クロスチャネルは、ワンソースに基づくコミュニケーションを一度に生成し、複数チャネルで提供します。デザインやコンテンツはデバイスやメディアに最適化され統一性があり、顧客は自らが望むチャネルでコミュニケーションを受け取ることができます」
日本は、いまだに印刷だけのシングルチャネルか部分的なマルチチャネルに留まっているレベルだ。「OpenText Exstream(以下、Exstream)」は、これを一気にクロスチャネルに引き上げ、カスタマーエクスペリエンスを変革するカスタマーコミュニケーション管理の製品である。
さらに今後の主流となっていくのが、オムニチャネルである。オムニチャネルリテーリングの成功には、オムニチャネルマーケティングとオムニチャネルコミュニケーションが必要、と柿本氏は主張する。
オムニチャネルでは、あるチャネルで始まったカスタマーとのインタラクションが、別のチャネルで継続できることを意味する。Web、Eメール、モバイル、印刷やリアルな店舗でのコミュニケーションやインタラクションが融合し、常にリアルタイムのコンテキストを反映した一貫したエクスペリエンスが提供される。つまりカスタマージャーニーの最適化に欠かせないのがオムニチャネルコミュニケーションである。
クロスチャネルのエクスペリエンスを拡張する最新機能
柿本氏はエクスペリエンスを拡張する最新3製品を紹介した。まずPDFに加えてEメールやWeb、モバイル向けに最適化されたコミュニケーションを一度に生成するコア製品が「Exstream Design and Production」。 そして「Empower Editor」製品で対話的にパーソナライズすることができる。さらに「Command Center/Delivery Manager」で顧客に配信する他、Eメール送信時のエラーを印刷と郵送でリカバリーすることもできる。
柿本氏によると、以下の新たなマーケティングアーキテクチャーがExstreamで可能になる。
既存のシステムや枠組み、コンテンツをそのまま活用しながら、マーケティングコミュニケーションをレスポンス率が高いトランザクショナルな領域にクロスチャネルで拡張する。
こうした包括的なマーケティングは、既に海外では広く実施されており、最近ではパーソナライズされたビデオにも展開されている。
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