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アドフラウド、フェイクニュース、フィルターバブル……ネットメディアの問題に日本はどう立ち向かうか


 2017年は、振り返ればきっとメディア史における大きな転換期となるだろう。ネットメディアにおいて、アドフラウド、フェイクニュース、フィルターバブルという3つの大きな問題が顕在化し、日本の広告主企業そして広告業界全体に悪影響が及ぶのを回避できるかの瀬戸際だからだ。今回は、スマートニュースのヴァイス・プレジデント コンテンツ担当で“チーフ・ジャーナリスト”であるリッチ・ジャロスロフスキー氏の来日を機に、氏と同社の日本と米国のマーケティングを統括する西口一希氏にインタビュー。これらの問題に一大プラットフォーマーとしてどう向き合っているか、そして日本がこれらを回避する糸口はどこにあるのかを聞いた。

米国でも着々とユーザーを増やす

(左)SmartNews, Inc. Vice President for Content Chief Journalist 
Rich Jaroslovsky氏 (リッチ・ジャロスロフスキー氏)
(右)スマートニュース株式会社 執行役員 マーケティング担当 西口一希氏

——先日、御社は世界での「SmartNews」アプリのダウンロード数が2500万を突破したと発表されました。日本以外には米国はじめ世界150カ国以上でサービスを提供されているとのことですが、まず日米それぞれの提携パブリッシャーと広告主の状況をうかがえますか?

西口:2012年12月にサービスインした日本では、現在約2,000以上のメディアと提携しており、全国規模から地域に根ざした媒体社、デジタルメディアまで様々です。広告主もナショナルクライアントからローカルクライアントまで幅広く出稿いただいています。米単独でのダウンロード数は公表していませんが、各国に合わせてマーケティング施策を変えていることもあり、2014年10月にローンチして以降、好調に伸びている状況です。

ジャロスロフスキー:パブリッシャーの状況は米国でも日本と同じで、今は300ほどのメディアパートナーと提携しています。大手トラディショナルメディアだとCNN、USA TODAYなどがあり、同時に規模的には小さいかもしれませんが、デジタルネイティブなパブリッシャーもHuffPostやCNETなどと提携しています。また、英語圏というと英国も含まれるので、BBCやPress Associationといった一定の権威を集めるメディアとも提携しています。

 広告主については、少し日本と違うかもしれません。ローンチ時からナショナルクライアントにフォーカスしてきた経緯がありますが、今はローカルクライアントとも付き合いがありますし、良好です。

このままではデジタルメディアは使えない

——米国におけるスマートニュースは、今どのような位置づけなのですか?

西口:ローンチが遅い分、日本に比べればDL数も認知度もまだまだです。ただ、日本でのローンチ時の状況と比べて、米国では現在でもニュースのアグリゲーションアプリ自体がそれほどメジャーな存在ではないことと、昨年の米大統領選を通して“正しい”情報が強く求められているという潮流を受けて、伸びしろは大きいですし、広報施策は予想を上回る効果が上がっています。

——そうなんですね。西口さんは、キャリアをスタートされてからずっと広告主側にいらっしゃって、今年スマートニュースに参画されたことは業界の大きなニュースにもなりました。なぜ、コンテンツ配信を手がけるプラットフォーマー側に移籍されたのですか?

西口:動機はシンプルに、「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」という会社の理念に共感したからです。既に“チーフ・ジャーナリスト”としてリッチが参画していたことも大きいですね。

 共感の根底にあったのは、クライアントサイドにずっと身を置いてデジタルメディアの活用もそれなりに模索してきましたが、この数年で「現状のままでは使えない」という問題意識が頭をもたげていたことです。問題のひとつが、今年やっと日本でも言葉が聞かれるようになった、アドフラウド(Ad Fraud/広告詐欺)。アドネットワークはそもそもどこに出ているか確認できないのがブランドセーフティーの観点で問題でしたが、アドフラウドは不正なプログラムでPVなどを水増しする、明らかな詐欺です。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/14 09:19 https://markezine.jp/article/detail/27364

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