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MarkeZine Day 2021 Autumn

データ活用の肝はミッションドリブンな姿勢にあり チュチュアンナ、ロイヤルカナンの事例をヤフーが紐解く


 データ活用は手段であって、目的ではない。事業課題(目的)と結びついていなければ、せっかくの投資も台無しだ。MarkeZine Day 2021 Autumnでは、ヤフーのデータソリューション事業を担当する野口真史氏がモデレーターとなり、チュチュアンナとロイヤルカナン ジャポンのデータ活用を深掘り。各社の事例から「事業課題と活用データの紐付け方」を提示した。

事業課題とデータをつなぐ“着眼点”

 本セッションのモデレーターを務めるヤフーの野口氏は、Yahoo! JAPANの各種サービスから取得し統計化したデータを企業や自治体が活用できる「DATA SOLUTION」のチームにおいて、戦略立案や新規事業開発を担当する人物だ。

ヤフー データソリューション事業本部 事業戦略部 部長 野口真史氏
ヤフー データソリューション事業本部 事業戦略部 部長 野口真史氏

 冒頭で野口氏は「データ活用やデータ分析は手段であって、目的のないデータ活用は何の意味もない」と言い切る。企業のデータ活用は、売上の増加やコストの削減など「事業課題の解決」が目的となるケースがほとんどだが、野口氏によれば手段(データ活用)と目的(事業課題)の間は「何が原因か」「どう解決するのか」といった2つの考え方でつなげる必要があるという。

 マーケターがデータを活用して課題解決を目指すにあたり、まずは自身が担当している事業の構造や外部環境を見直し、売上を伸ばすために必要な要素や伸びない要因を探っていくのが一般的な方法だ。要因がわかれば次のステップとして、各種パラメーターやKPIの設定方法を振り返り「どこが弱いのか」「どこを最適化すると事業が伸びるのか」と考えをさらに進めることになる。この中間プロセスこそがデータ活用の要であると野口氏は強調する。

 「データの活用や分析の事例はたくさんありますが、この中間プロセスについては書籍などでもあまり語られていません。しかしながら、データ活用を成功させるためには事業課題とデータの間をつなぐ“考え方”や“着眼点”を知っておくことが大切です」(野口氏)

リピート購入促進のためF2転換率が高い「ストッキング」に着目

 チュチュアンナは下着・靴下・ルームウェアを取り扱うメーカーだ。「世界中の女性が明るくおしゃれを楽しむ社会の実現」をミッションに掲げ、現在は中国にも250店舗を展開している。

チュチュアンナ 情報システム部 DX担当 池田雅春氏
チュチュアンナ 情報システム部 DX担当 池田雅春氏

 同社の情報システム部でDXを担当する池田氏は、事業課題として以下の3つを挙げた。

(1)その場限りの購入が多く、リピート購入されていない
(2)商品カテゴリを横断したクロスセルが少ない
(3)ECの利用率が低く、一時的な店舗閉店の影響が大きい

 (1)に対する施策としてはクーポン配布がよく使われる手段だが、同社では効果をさらに高めるため、様々な商品の中から「F2転換率が高い商品」を考えることに。BIを導入し、ECと店舗の売上を見たところ、ストッキングのF2転換率が高いことがわかった。そこで、ストッキング限定のクーポンを配信したところ、通常より高い転換率が実現できたという。

 「売上の構成比で見るとストッキングはそこまで大きくありませんが、F2転換率はダントツで良かったです。他社商品と比べて機能が高く価格が安いため、満足度が非常に高い商品であることがユーザーインタビューからわかりました」(池田氏)

 池田氏によると、靴下・下着・ルームウェアの3カテゴリを一緒に販売している同規模の国内ブランドはチュチュアンナのほかにないという。「そもそもお客様側に靴下と下着を一緒に買う習慣がないため、クロスセルの促進には苦心していた」と池田氏は語る。

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/27 15:03 https://markezine.jp/article/detail/37450

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