※本記事は、2023年7月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)91号に掲載したものです。
【特集】転換期に商機を見出す
─ ライフ起点でトレンドを読み解く アクセンチュアが考える2023年の商機とは
─ 資生堂に聞く、化粧品に対する生活者意識の変化とその対応(本記事)
─ コロナ禍で追い風を受けて業績急回復中 老若男女の需要をつかむ、ミスタードーナツ
─ 店舗とECを自然とクロスで考えられる環境になった アイスタイルに聞く、@cosme成長の秘訣
─ 訪日増が期待できる東南アジア インバウンドで商機を見出すには?
─ 調査データから重要なインサイトを見つけ、商機をつかむことはできるのか?
コロナ禍で高まった5つの意識
──コロナ禍に入って以降、化粧品業界は大きな変革を迎えたと考えています。特に生活者の意識・行動が変化したと思うのですが、資生堂ではその変化をどのように捉えてきたのでしょうか。
コロナ禍の影響で生活者の行動やニーズが大きく変化したため、過去のファクトデータからのトレンドを見るだけではなく、未来の変化を読んでいく必要があると考えました。そのため資生堂では2020年、生活者調査とデイリーなSNSの声などから先のビューティートレンドを予測するレポートや示唆をタイムリーに社内外に発信する、ビューティーインテリジェンスチームを発足しました。
──どのような生活者の行動やニーズの変化が見られたのでしょうか。
2020年前半は、コロナ前からの中長期的トレンドであった「環境への配慮」「クリーン(衛生)意識」「ストレスケア」「ミニマリズム」「デジタル化」という5つの要素自体は変わらないのですが、コロナの影響によって急加速すると予測しました。実際、これら5つに関する急激な変化が起きました。
また、その生活全般の変化にともなって、化粧に対する意識・行動にも変化が見られました。コロナ禍前半は、マスク環境によって起きやすい肌荒れやマスク焼け対策、マスクにメイクが付着することなど、マスクによる不具合を解消したいニーズが急速に高まりました。
また、在宅時間の増加や健康意識の高まり、ミニマル化を背景に、リモート会議で映えるライトメイクやおうち美容、体の内側から健康的に肌を育む意識、時短ニーズが高まりました。そのため、マスクにつきにくくUVカット効果のあるライトなベースメイクや敏感肌用のスキンケア、サプリメント、まつ毛美容液、オールインワンタイプの化粧品などの需要が高まりました。