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『MarkeZine』(雑誌)

第108号(2024年12月号)
特集「2025年・広告の出し先」

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【100号特集】24社に聞く、経営構想におけるマーケティング

リクルートに聞く、経営とマーケティングの近接性。カギはボトムアップ型の組織

 多様なサービスを展開するリクルートでマーケティング組織をリードしてきた塩見直輔氏は、経営戦略とマーケティングの関係性をどのように捉えているのだろうか。リクルートのマーケティングにおける実践を踏まえて、マーケターが企業全体、そして経営に対して果たすべき役割をうかがった。

※本記事は、2024年4月刊行の『MarkeZine』(雑誌)100号に掲載したものです

【100号特集】24社に聞く、経営構想におけるマーケティング

「競争」から「共創」へ 日本マーケティング協会の新定義が示す、これからのマーケティングのあり方
5つの柱でお客様の期待を超える マーケティングとイノベーションを実現する
1年で大きく進化し「生活者に近づいた」味の素のマーケティング 新組織設置の狙いとその成果を聞く
「マーケティング部も 営業部も存在しません」全社を巻き込むCX推進部がイーデザイン損保の経営を動かす
目指すは「シェアNo.1」ではなく「唯一無二」、花王がマーケティング戦略を変えた背景
「良いコンテンツを作れば自然と広がる仕組み」を目指して──「ABEMA」の経営とマーケティング
苦境から回復、さらには飛躍を目指して。「お客様の実感価値」の解像度を上げるJTBのマーケティング
生活者インサイトを捉えて新たな文化・市場を創造する 資生堂においてマーケティングが果たす役割
セブン-イレブン・ジャパンがマーケティング本部を新設 加盟店も含めた全社の“ハブ”を目指して
「ファッションの『こと』ならZOZO」というイメージ醸成を目指す、ZOZOの戦略と取り組み
常識破りの戦略で圧倒的な成長を。「KANDO(感動)ドリブン」で駆け上がっていくトリドールの構想
価値の源泉を見出して社内にバトンをつなぐ 購入者と喫食者に向き合うニチレイのマーケティング
「マーケティングの担う領域にボーダーラインは引かない」日産の経営を支えるパーパスドリブンな戦略と組織
逆境から変革を成し遂げた富士フイルムグループ、パーパスを原動力にしたさらなる進化に向けて
6,200万ユーザーが利用するPayPay、既存ユーザーの推奨とLTV向上で更なる成長を
唯一無二の商品で他社との差別化を図る三井住友カード 「老舗なのに新しい」企業イメージを育む
目指すはMAU4,500万。メルカリの成長に欠かせない「海外需要の獲得」「特定カテゴリーの成長」
楽器や音楽への知見を体験に転換し、新たな強みとする。ヤマハの「Make Waves」
「OMOの推進」と「若年層の獲得」を着々と進めるユナイテッドアローズの構想
─ リクルートに聞く、経営とマーケティングの近接性。カギはボトムアップ型の組織(本記事)
ROI重視で経営のプレゼンスを高める! 売上拡大を続けるSansanのマーケティング
全社横断のマーケティング組織でDX支援を強めるNECの進化
マーケターがやるべきは「マーケティング」だけではない。パナソニックコネクト、企業変革のドライバー
唯一無二のユニークネスを顧客起点で事業に繋げる富士通、パーパス起点の事業変革×マーケティング
「お金を前へ。人生をもっと前へ。」どこまでもミッションドリブンなマネーフォワードのマーケティング

マーケターが事業に持ち込むべき視点

──はじめに、リクルートの中長期的な成長戦略をお教えください。

 1つは、HR(人材)市場における人と企業のマッチングの質の向上です。HR事業を国内外で広く展開しており、貢献度が高い領域として現在注力しています。もう1つは、SaaSによる日本国内企業の生産性向上です。当社は「じゃらん」「ホットペッパービューティー」など各種サービスを通じて多様な業界の企業とつながっており、ビジネス機会と捉えています。

 その中で私は、マーケティングとプロダクトデザインの担当役員を務めています。当社の展開するサービスすべてが担当範囲であり、組織作りおよび仕組みの整備、ボトムアップで上がってくる起案の判断が私の役割です。

株式会社リクルート 執行役員(プロダクト本部 マーケティング) 塩見 直輔(しおみ・ただすけ)氏
株式会社リクルート 執行役員(プロダクト本部 マーケティング) 塩見 直輔(しおみ・ただすけ)氏
IT系出版社の編集者からキャリアをスタートし、2007年リクルートに入社。同社の様々なサービスに関わり、2019年より執行役員としてプロダクトデザインとマーケティングを統括している。組織作りおよび仕組みの整備、ボトムアップで上がってくる起案の判断などを担う。

──多様な領域で強いポジションにいるリクルートのマーケティング戦略の考え方が気になります。

 適切に現状を理解し最適な手を打つという、至って基本に忠実な考え方です。過大・過小評価せず冷静に自社のポジションを見たとき、当社は各業界において高いシェアを占めるサービスが多い。シェアが生み出す利益を適切に再投資すれば勝ち続けられるわけですから、突飛な戦略よりもシンプルな「やるべきことを驕らずサボらず行う」という基本こそが、戦略の真ん中になります。

 また勝ち負けだけでなく、新しい価値を作って業界に貢献していくことも、シェアの高いプレイヤーの責任でもあります。

──経営活動において、マーケターやマーケティング組織が果たすべき役割をどのように考えますか?

 まず、マーケターは事業の前線にいながら引いた見方もする「1.5線」的な視点を持つべきだと考えています。冷静に「今」を語り、俯瞰的な視点で提言するのがマーケターの大事な仕事ですね。これは、自社の事業をよく理解している社内マーケティング組織だからこその価値だと思います。投資が過剰ではないか、あるいは利益追求に寄りすぎていないかなど、俯瞰的に評価する役割を果たすべきです。

 加えて、世の中の潮流・トレンドという視点も、マーケターが各事業に持ち込むべきです。デジタルを使った最適化によって「深化」は進みやすい。一方で新しいことを探し進める「探索」は、難しい。コンプライアンスやSDGs、ブランドセーフティの問題などへの配慮は、経営者が意識していても現場が追いつかないケースは多いですよね。現場にいながらこれをキャッチし、真っ当な手段で市場シェアの獲得やビジネス成長に貢献していく――よく言われる鳥の目、虫の目、魚の目の視点から見えることを事業活動に反映させることも、マーケティングが果たすべき役割だと思います。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/20 10:59 https://markezine.jp/article/detail/45334

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