新視点3:ファネルは「動的」に変化する
「認知→検討→購入」の3ステップモデル
多くのマーケティングの現場では、生活者の行動は次の3段階で捉えられています。
- 認知(商品/サービスを知る)→ 検討(興味を持ち、調べる)→ 購入(買う)
この考え方の原点は、19世紀後半に生まれた「AIDAモデル」という購買行動の理論です。その後に「AIDMA」や「AISAS」など、時代に合わせたモデルへと発展してきました。そして現在のデジタル広告プラットフォームでは、上記の3層構造は標準的な考え方として使われており、マーケティングの共通言語として広く浸透しています。
でも実際は、もっと複雑だった
ところが、Googleが2020年に行動経済学をもとに分析した結果、実際の購買行動は、従来のような直線的なモデルだけでは説明しきれないことが明らかになりました。そこで提唱されたのが、「Messy Middle(メッシーミドル=混沌とした中間層)」という考え方です。
私たちは日々、多すぎるほどの情報に囲まれています。何かが欲しいと思う「きっかけ」があっても、すぐに購入へ進むわけではありません。まず選択肢を広げる「探索」を行い、その後、候補を比較して絞り込む「評価」を行います。そして、多くの場合、この探索と評価を何度も行き来します。
たとえば、スマートフォンを買い替えようと思ったとき。レビューサイトで候補を探し、比較記事を読み、SNSの口コミを見て、また別の機種が気になって調べ直す。こうした「探索⇄評価」のループを何度も繰り返した経験は、多くの方にあるのではないでしょうか。
動的ファネル(ループ型)
こうした環境で注目されているのが、「動的ファネル」というアプローチです。これは、購買行動を直線ではなく、生活者は「探索」と「評価」を何度も行き来する=ループとして捉える考え方です。
このモデルで見ると、ブランド側の戦略も変わります。購入直前のタイミングだけを狙うのではなく、生活者が迷っているプロセスの中で何度も思い出してもらい、選ばれる理由を少しずつ積み重ねていくことが必要になります。
ここでカギになるのが、前章で触れたアテンションによる記憶の蓄積や、ブランド広告とパフォーマンス広告の両方に投資するミックスモデルです。
ブランドを知ってもらい、記憶に残し、検討の場面で思い出してもらう。その上で、購入に近いタイミングではパフォーマンス広告で背中を押す。こうした一連の働きかけが、これまで以上に欠かせません。
このように、生活者が複雑に迷い続ける現在のマーケティング環境では、フェーズごとに分けて考える従来の静的なファネルだけでは不十分です。これからは、生活者の動きに合わせて接点を作り続ける、動的なファネル設計が求められています。
