新視点4:「広告効果=長期資産」キャンペーンROASからの脱却
キャンペーンROASモデル
現在のマーケティングでは、キャンペーンごとに広告効果をROASで分析し、評価することが一般的です。広告費に対してどれだけ売上が生まれたのかを数字で確認することは、合理的な判断に欠かせません。また月次や四半期ごとの業績と結びつけて見ることも、企業の管理上、健全なアプローチといえます。
そもそも広告効果はいつ現れるのか?
一方で、短期的なROASだけを追いすぎると、ブランドの成長力を少しずつ弱めてしまう可能性が指摘されています。なぜなら、広告の効果には、すぐに表れるものと、時間をかけて積み上がるものがあるからです。
調査から詳細を見ていくと、次の性質が見られます。
- 販売量の即効性:キャンペーンを実施すると、すぐに販売量(売上件数)への効果が現れる
- 価格力の遅効性:一方で、利益に大きく関わる「適切な価格を維持する力」は、時間をかけて育っていく
ここでいう価格力とは、値引きに頼らなくても選ばれる力のことです。ブランドへの信頼や好意が高まることで、生活者は「多少高くてもこのブランドを選びたい」と感じるようになります。この状態を作るには、継続的なコミュニケーションが必要であり、半年から数年という時間がかかるのです。
メディア投資=「営業費用」ではなく「長期的な資産」
この考え方に立つと、広告は単なる営業費用ではなく、将来の利益を生むための投資として捉えることができます。もちろん、キャンペーンごとの成果を確認することは大切です。ただ、それだけでは広告がブランドに残す長期的な価値までは見えません。
広告によって認知や好意、信頼が積み上がることで、将来的に選ばれやすくなり、値引きに頼らず利益を生み出せる状態につながっていきます。これらを踏まえると、財務部門にも説明しやすい形で広告投資の効果を示すことの重要性が提唱されています。
これからの広告効果は、キャンペーンごとのROASだけで判断するのではなく、長期的な利益への貢献として捉える視点が求められているのかもしれません。
まとめ:メディアプランニングの常識をアップデートする
ここまで、最新の調査から見えてきたメディアプランニングの新しい視点を4つ紹介しました。
これらの示唆は、個別の経験則や一部の事例から語られているものではありません。グローバルな量的調査や実証研究によって、一定の裏付けをもって示されているものです。
それを考えると、デジタル広告が本格的に普及して約20年。マス広告の時代から受け継がれた前提も、デジタルの進化とともに生まれた前提も含めて、マーケットに定着してきた「常識」そのものが、今問い直されているのかもしれません。
そのメディア投資は正解か。これからは、その答えを短期の数値だけに求めるのではなく、生活者の記憶に残り、ブランドの未来の利益につながっているかという視点から考えることが求められているのではないでしょうか。
