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生活者データバンク

富裕層とは違う“動くお金” 市場を動かす「パワーファミリー」の消費構造とは

単なる“高所得”で括れない、市場を動かす「4つのアクティブタイプ」

 ここまで見てきたように、パワー層は高い購買力を持つ一方で、生活スタイルや価値観は一様ではない。マーケティングの実務では、世帯年収による購買力の違いだけでなく、「何に価値を見出すか」「どの生活課題を解決したいのか」を捉えることが重要となる。

 そこで今回の調査結果をもとに、価値観や消費行動に関する質問を使ってクラスター分析を行い、パワー層を7つのタイプに分類した。

【図表10】パワー層のタイプ
(クリックすると拡大します)

 中でも、ライフスタイルへのこだわりが強く、消費行動が特にアクティブな4つのタイプに注目したい。

1. 合理的シンプル志向層:時短家電や代行サービスなどを活用して徹底的に無駄な時間を削減し、創出した時間をスキルアップのための自己投資や趣味の時間に充てる合理主義層。

2. 上質な私生活重視層:単なる贅沢ではなく、素材の良さやストーリー性を重視する「本物志向」を好み、家族との時間やプレミアムな体験、上質なインテリアなどを重視する層。

3. コダワリの強い自己投資層:流行には左右されず、「自分が最高と思うもの」へのこだわりを追求する。パワー層の中でも自由になるお金が多く、趣味や自己研鑽に資金を投じる探求層。

4. アクティブ・パワー層:パワー層の中で女性の割合が最も高く、平均年齢も若い。仕事も育児も全力でこなし、家族との思い出作りにも積極的な層。

 上記4タイプは合計でパワー層全体の43.8%を占めている。これらの層にアプローチする際は「本物志向」「徹底した効率化による時間創出」「最新トレンドを取り入れた家族体験」など、価値観と生活スタイルに沿った文脈で商品やサービスを設計することが重要となる。

【まとめ】求められるのは何を売るかではなく「課題解決の思想」

 パワーファミリーは、高い年収を背景に多くの商品・サービスを導入する高購買力層である。ただし、その消費を「高所得だから買う」とだけ捉えると、生活者理解としては不十分である。

 仕事・家事・子育てを担う彼らにとって、時短家電、外食・中食、デリバリー、ミールキット、代行サービス、リカバリー関連商品は、カテゴリーこそ違えど、すべて「時間を生み出す」「疲れを回復する」「家族との時間を充実させる」という共通の価値を持っている。

 また、年収帯によって解決手段が異なる点もポイントだ。1,500万〜2,000万円台では主に高性能家電などの「モノ」による効率化がベースとなる一方、3,000万円以上の最上位層になると、代行サービスや外食・デリバリーなどの「サービス(外部委託)」への支出が顕著になる傾向が見られた。

 したがって、パワーファミリー向けのアプローチにおいては、単なる年収帯別のセグメントにとどまらず、「時間創出」「疲労回復」「自己投資」「家族体験」といった価値のどこに訴求するかという視点が求められる。

 今回分類した「7つの価値タイプ」を活用することで、購買力の高いパワー層をより精緻にターゲティングし、商品・サービス開発や販促活動に活かすことができるだろう。パワーファミリー攻略の鍵は「何を売るか」ではなく、「どの生活課題を、自社の商品やサービスでどのように解決するか」という設計思想にほかならない。

<調査概要>

  • 調査地域:日本全国
  • 対象者条件:20~59歳男女個人
  • 標本抽出方法:マイティモニターより適格者を抽出
  • 標本サイズ:合計n=1,213 パワー層 1,500~2,000万円未満:n=344、2,000~3,000万円未満:n=302、3,000万円以上:n=135、一般層:n=432
  • ウエイトバック集計:あり
    ※性年代構成比を、2020年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2024年度の構成比にあわせてウエイトバック
  • 調査実施時期:2026年4月17日(金)~2026年4月23日(木)

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この記事の著者

濱 賢太郎(ハマ ケンタロウ)

株式会社インテージ マーケティングパートナー第2本部 営業推進部 未来共創センター長

大学卒業後家電メーカーへ就職、ワープロ、FAX、携帯電話、通信映像端末、太陽光発電の商品企画を担当。2013年株式会社インテージに入社し、国内外の生活者リサーチ、コンサルティングに従事。2017年「未来共創センター」を設立。企...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/06/18 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50820

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