ソーシャルメディアにおける動画活用
マルチデバイスに加え、もう1つの大きな課題といえば、ソーシャルメディアだろう。Facebookのユーザー数は7億5千万人。日本では375万人程度と言われているが、今年1月から驚異的なスピードでユーザー数が伸びており、その存在感を増してきている。
また、Fortune100(米Fortune誌選出の世界トップ100位の企業)のうち、77%の企業がTwitterをマーケティングツールとして有効活用していると答えており、1社あたり平均6アカウントを運用しているという。全世界の総Twitterユーザーに占める日本人の割合は25%にも上り、世界第2位。人々の生活に定着し始め、タイムリー性を活かしてイベントや告知など企業のマーケティング活動でも幅広く活用されている。
この状況を活かし「テキストだけでなく、さらに動画で視覚的に訴えることができれば、その効果は格段に上がる」と川延氏は主張する。下のグラフは、動画トラフィックの月次成長率を比較したもの。検索エンジンも伸びてはいるが、ソーシャルメディアの成長率には及ばないことが分かるだろう。
また、eMarketerが米ECサイトのオーナーに対して行ったアンケートでは、次に導入したい機能の1位がソーシャルメディア、2位が動画という結果が出た。ECサイトで動画配信を行っているサイトを指す「EC + ビデオ(動画) = ビデオコマース」という新たな言葉まで生まれている。
ECサイトにおける動画活用事例
では、どうやって動画を活用していけばよいのだろう。その例として川延氏が紹介したのが、1885年創業のイギリスの大手老舗小売店「Marks&Spencer」の事例だ。同サイトでは、洋服、家具、花、食料品、ワインなどのカテゴリごとに動画コンテンツが用意されている。特徴的なのは動画が進むペースに沿って、紹介されている商品が横に表示されるプレイヤーが用意されている点だ。もちろん、その場からすぐに購入することが可能となっている。
Facebookとも連携しており、動画がシェアされた場合、Facebook内でも同等の機能を提供する。それを見た友達が動画を見て視聴者が増えるだけでなく、Facebook上で動画を視聴しながら、ECサイトの商品ページへ誘導できる仕組みだ。
同社では、動画マーケティングの開始によって、1回あたりの購入量123%、売上30%上昇、ワイン売上90%上昇、滞在時間200%、閲覧回数3倍、ユニークビジター倍増という、目覚ましい成果を挙げているという。
セッション内では、その他にも国内外の動画を活用したECサイトの事例をいくつか紹介。「マルチデバイスとソーシャルメディアの親和性は多く語られているが、そこに動画が加わることで、マーケティング効果が最大化できる。トライアルでもいいのでブライトコーブのVideo Cloudを使ってみて、ぜひその効果を自信で確かめていただきたい」と語り、川延氏は講演を締めくくった。