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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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「ROIで50%の差をつける」 統合マーケティング・マネジメントを実践する先進企業5社の事例

事例:キャンペーン“全体”で最適化してROI を1.55倍に

 キャンペーンのROIを最適化した事例として高橋氏が挙げたのは、ドイツの銀行COMMERZBANKの事例。最大で、同時に10個進めているキャンペーン間の相互作用を把握できるようにして、効果が最も高まる予算配分を導き出した。

 「クレジットカードの審査に必要な収入基準を下げると、カードの発行数は増えます。しかし、その結果、投資商品や消費者金融の利用額が減ってしまい、ほかの商品に悪影響を及ぼすわけです」

 COMMERZBANKはSASの最適化機能を使って、キャンペーン全体で見た時のROIが最大になるように試みた。予算、広告・PRなどに使うチャネルのキャパシティ、キャンペーンの規模といった制約条件を踏まえながら最適化を図ったところ、キャンペーン全体のROIが1.55倍にまで改善した。

事例:プラットフォームを活用し自社とディーラーの取り組みを連携

 続いて紹介されたのは、オペレーションの最適化を図った米国の大手建設機械メーカーの取り組み。世界各地に多数のディーラーを抱え、各ディーラーが販売促進の目的で無秩序にいろいろなキャンペーンを実施していた。

 「どこのディーラーが何をやっているのか、分からない状況でした。メーカー自体もマーケティングをやっていますので、発信するメッセージに不整合や無駄が生じていました」

 そこで世界各地で行われているキャンペーンを、同じプラットフォーム上で管理できる仕組みを導入。自社とディーラーの取り組みを連携させて、効率的にメッセージを発信できる体制にした。カタログやPR用映像などについても、上手く共有できるようになり、制作費用を大幅に削減することになった。

事例:口コミサイトの分析に基づき、施策を立案・評価

 最後の事例は、ソーシャルメディアを分析してブランド管理・改善に役立てている米国ホテルチェーンの話。

 「ホテルに関する口コミサイトの情報を収集・分析することで、自社ホテルの予約対応・食事・設備などについて、どのような評価がされているのか、時系列で追い掛けられるようにしました。

 実際に評価の低かったロビーの改装をしてみました。普通はアンケートで改装後の評価を聞くところですが、ソーシャルメディアでの評判がどう変わったのかを調べました。すると、ロビーを改装したら設備に対する評価が上がり、ホテルの評価も上がったのです。ソーシャルメディアの活用は始まったばかり。こういった取り組みが参考になるのではないでしょうか」

IMMを実現するSAS Customer Intelligence

 分析に基づく顧客の包括的な理解とチャネル横断でのプロセス、テクロノジーの統合により、優れた顧客体験を提供し、ロイヤリティの向上を実現するIMM。これを実現するのが、SASが提供するSAS Customer Intelligenceだ。

 顧客セグメンテーションや顧客行動分析・予測、センチメント(顧客の感情)分析など、顧客理解を深めるための機能に加え、キャンペーン管理、リソースの最適化、効果検証、オペレーション管理など、マーケティング業務を包括的に支援する。

 高橋氏は、顧客が本当に必要とする情報を提供することによって顧客との信頼関係を築き、ブランドに対するロイヤリティの長期的向上を実現した先進事例を通じて、IMMへの理解が深まればと語り、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)

ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2012/10/24 16:28 https://markezine.jp/article/detail/15826

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