重要なのは、リアルタイムデータに合わせて行動を変えられるか
水嶋:次に、リアルタイムデータの重要性を考えます。リサーチによると、「リアルタイムデータにアクセスすることが重要」と考えている方は8割に上りましたが、アクセスできている方は3人に1人程度です。実際のところ、リアルタイムデータは重要なのでしょうか。
須藤:どこまでリアルタイムにするか、はともかく、部下のレポーティング業務を削ることが大事です。私は経営管理にDomoのシステムを使わせて頂いていますが、データを「見える化」することで、部下のレポーティングなしに、即時的に必要なデータにアクセスできます。
網野:私は、リアルタイムデータの重要性は業種によって異なると思います。トレンドの激しい業界や、ショートタームでキャンペーンを実施する業態は、リアルタイムデータに意味を見いだすことができます。しかし何より重要なのは、リアルタイムデータに合わせて行動を変えられるかどうか、ではないでしょうか。鮮度の高いデータを取得しても、3か月後にしか施策を変えられないのであれば、意味ないですよね。
「リアルタイム」と「タイムリー」は似て非なるもの
水嶋:ポイントは、データの更新頻度より活用頻度、ですか。
網野:はい。少なくともマーケティング領域では、リアルタイムとタイムリーは似て非なるものです。例えばあるクレジットカード会社が、取得したデータをもとに、水嶋さんを「お昼にイタリアンを食べたあとに、近所でコーヒーを飲む確率が高い人」と分析したとします。お昼にイタリア料理屋でカードを切った水嶋さんのスマホにクーポンを届けたら、これは「タイムリー」と言えます。が、一方で水嶋さんの属性分析は、リアルタイムではなく事前にバッチ処理で行われています。ですから、「リアルタイムに分析し、タイムリーにオファーする」形は、よほどのことがない限り必要ないのでは、とも思っています。
水嶋:なるほど。リアルタイム分析にメリットがあるかどうか、を考える必要がありますね。
網野:まさにそうです。例えばインドの携帯市場では、SIMカードを買って、使い終わる頃に入れ替える習慣があります。このような市場では、SIMがなくなるタイミングでオファーを出すため、リアルタイム分析が活きます。が、1台の携帯を2年契約する日本では、毎日分析する必要などありません。
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