SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

生活者データバンク

アプリで変わるテレビの使われ方

テレビの使われ方のこれから

 本稿では、スマートテレビでのアプリ視聴の普及とアプリ視聴量の増加が放送の視聴に与える影響を見てきました。アプリの視聴は既にスマートテレビの利用時間の約20%にまで達しています。またスマートテレビのさらなる普及やユーザービリティの進化、スマートテレビ向けのアプリの増加など、様々な要因によってスマートテレビでのアプリの視聴は今後さらに普及していくと考えられます。テレビ番組を制作、放送する放送局はもちろん、テレビ番組に広告を出稿する広告主、そこに関わる広告代理店など、テレビに関わる様々なプレーヤーは急速に進むメディア視聴環境の変化に先回りして対応していく必要があるでしょう。これまでは主にPCやスマホ向けに事業を行ってきた動画配信領域のプレーヤーから見れば、メディア視聴環境の変化は自社の事業をテレビというデバイスに拡張するチャンスでもあります。

 では、今後テレビでのアプリの視聴がさらに普及することで生活者のテレビの使い方はどのように変わっていくのでしょうか。本稿の分析から、アプリの視聴量の増加が放送の視聴に与える影響は、アプリの種類や番組ジャンルごとに異なっていることがわかりました。様々なジャンルの動画が投稿される動画共有サービスは幅広い番組ジャンルの視聴を代替していることが示唆された一方で、SVODサービスの視聴が与える影響はドラマ・映画に限定されていました。アプリ視聴の普及によるテレビの使われ方の変化は、これから生活者がスマートテレビでどのようなサービスを利用するようになるか次第であることが見えてきたと言えるでしょう。

 “お気に入りの番組を見る”、“他者と話題を共有する”、“時計の代わり”など、生活者がテレビを利用する目的には様々なものがあると考えられます。今後さらにスマートテレビでのアプリ視聴が普及していく過程では、これまで主に放送が満たしてきたこれらの目的の一部が様々なアプリによって代替されていくでしょう。スマートテレビでのアプリは必ずしも動画配信サービスだけではありませんから、新しいアプリはこれまではなかった全く新しいテレビの使い方を普及させるかもしれません。

 テレビに関わる様々なプレーヤーがこのような環境変化に先回りして対応していくためには、今後スマートテレビでどのようなアプリや機能が普及するのかを注視しながら、それがテレビの使い方にどのような影響を与えるかを考えていくことが重要になるでしょう。本稿の分析がその一助になれば幸いです。

※1 出典:IXT2021年 スマートテレビ利用実態調査結果
※2 出典:MediaGauge®TV 複数のテレビメーカーから収集した、ネットに結線されたスマートテレビ約299万台(2021年8月時点)の視聴ログをクレンジングし、統一フォーマットで標準化・構造化した視聴データ。マーケティング利用許諾を得て、匿名化されているもので、どのテレビで、いつ、どんな操作がされていたかがわかります。
※3 接触率「その時間にテレビ番組/アプリを視聴していた機器の台数」/「集計対象となる機器の台数」で算出

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
生活者データバンク連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

山津 貴之(ヤマツ タカユキ)

株式会社インテージ 事業開発本部 デジタル・ビジネス・ディペロップメント部 アナリスト

2014年に大学卒業後インテージへ入社。
小売店パネルの運用部署にてパネルデータの品質管理を担当。機械学習を用いたデータクリーニングロジックを開発。
2017年からはスマートテレビ視聴ログを用いた商品”Media Gau...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/09/29 07:30 https://markezine.jp/article/detail/37338

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング