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第97号(2024年1月号)
特集「2024年の消費者インサイト」

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【特集】消費者インサイトから探る「創造・成長のカギ」

サントリーがMZ世代をターゲットに仕掛ける「ビアボール」、商品開発の裏側を聞く

 サントリーは、2022年10月、ビールを炭酸水で割って自由に楽しむ新しいビール「ビアボール」を全国発売した。ミレニアル世代、Z世代をメインターゲットとして開発された同商品は、縮小が続くビール市場、そして酒類市場に「お酒の新しい価値」を提案するものとなっている。商品を検討する中でミレニアル世代、Z世代のインサイトを知るきっかけになったのは、早稲田大学商学部の嶋村ゼミとの協業だ。ビアボールは、若年層のどのような価値観や考え方、インサイトをもとに開発されたのか? サントリーでビアボールのブランドマネジメントに従事する、佐藤勇介氏に話を聞いた。

※本記事は、2023年2月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)86号に掲載したものです。

“若者のビール離れ”をどう見ているか

──「若者のビール離れ」が言われるようになって久しいですが、昨今のビール市場はどのような状況ですか?

 ビール市場は2004年を境に17年連続で右肩下がりとなっていて、大変厳しい状況です。飲食店で取り扱われる業務用と家庭用と、どちらも縮小を続けています。酒類市場全体を見ても、その4割以上を占めるビール市場の状況に引っ張られて縮小傾向にあります。

 「若者のビール離れ」については、そもそも絶対的に若者の人口が減っており、若年層による消費量が減少していることは明らかです。また、近年、酒類市場ではいろいろな新商品や新たなカテゴリーが生まれ、飲酒傾向の多様化が進んでいます。ビールも飲むし、酎ハイも飲むし、ハイボールも飲むという形で、相対的にビールの消費量が減っているという見方もあるでしょう。もちろん「ビールが苦手だ」という若者の声はありますが、必ずしも彼ら全員がビールを嫌いになったわけではないと我々は思っています。

サントリー株式会社 ビールカンパニー マーケティング本部 イノベーション部 佐藤 勇介(さとう・ゆうすけ)氏 2009年にサントリー入社。量販店での家庭用営業と飲食店での業務用営業を経験した後、2017年に新商品開発グループに異動し新商品開発に従事する。その後、2021年に新設されたイノベーション部に異動。新商品に限らず、新しいサービスや事業など顧客価値の創出に取り組んでいる。
サントリー株式会社 ビールカンパニー マーケティング本部 イノベーション部 佐藤 勇介(さとう・ゆうすけ)氏
2009年にサントリー入社。量販店での家庭用営業と飲食店での業務用営業を経験した後、2017年に新商品開発グループに異動し新商品開発に従事する。その後、2021年に新設されたイノベーション部に異動。新商品に限らず、新しいサービスや事業など顧客価値の創出に取り組んでいる。

──そうした状況下でミレニアル・Z世代(以下、MZ世代)をターゲットに出された新商品が「ビアボール」ですが、簡単に商品概要を教えていただけますか。

 ビアボールは、日本初*の炭酸水でつくるビールとして2022年10月に業務用中瓶を発売しました。ご自身で好きな濃さや量を調整しながら、好きな割り方で楽しんでいただけます。

 自分で割ると言うと「ホッピー」を連想される方もいるかもしれませんが、ビアボールはビールの原液なので、たとえばロックで飲んだり、レモンを搾ったり、割り方によっていろいろな味わいを自由に楽しめます。飲食店での先行発売を経て、2022年11月から家庭用小瓶も販売しています。

*炭酸水で割ることを製品上で訴求する日本初のビール(Mintel GNPDを用いたサントリー調べ/2022年5月)

“チル”にも通底する? MZ世代が「お酒」に求めているもの

──ビアボールは、MZ世代のどのようなインサイトや飲酒習慣をもとに企画開発されたのでしょうか?

 アンケートなどの定量・定性調査では掴めない部分があると考え、今回、早稲田大学商学部の嶋村ゼミと協業しました。ターゲットとなる世代と一緒に過ごし、彼らがどういう考え方や価値観を持っていて、どういうお酒の飲み方をしているのか、特にビールについてどう思っているのかを探ると、おもしろい発見がいくつもありました。

 たとえば、我々は居酒屋に行くとき、よく「飲みに行く」という言い方をしますよね。ですが、ゼミの学生たちは「ご飯屋さんに行く」という表現をするんです。彼らの言う「ご飯屋さん」は、我々が「居酒屋」と認識しているお店と同じで、当然彼らもそこでお酒を飲むことはあるわけです。ここで気づいたのは、上の世代は「お酒が主で、食事が従」であるのに対して、若い方々は「まずは食事」で、「その空間や時間、会話を楽しむためのツールとしてお酒がある」という位置づけになっていること。つまり、お酒と食事の主従が逆転しているんです。

 また、学生と会話していると、本当に十人十色でそれぞれいろいろな価値観を持っていることを実感します。今回の嶋村ゼミとの協業では、「そうした中でも何か共通点があるのではないか?」という仮説を持ち、開発を進めていきました。その結果たどり着いたのが、先ほどお話しした「若年層にとってお酒は空間と時間を楽しむ位置づけになっている」ということです。これは、MZ世代に共通している価値観であり、ここを突き詰められたのは大きな収穫だったと思っています。ですので、ビアボールの商品開発では、ターゲット層を策定するにあたってのクラスター分析などを行っておらず、これも今回の商品開発で一つ特徴的なところでした。

──お酒そのものではなく、そこに付随する価値を求めているのですね。

 そうですね。たとえば、我々の親世代は、仕事をした後にお酒を飲むことでストレスを解消したり、明日への起爆剤にするような形でお酒を飲む方が多かったと思います。ですが、現代の若年層はお酒を飲みながら会話を楽しんで、落ち着いたり、一息ついたり、いわゆる「チル」に近いものを求めているのです。「ストレス発散のための消費財=価格が安いほうがいい」という価値観から、「時間を豊かにする嗜好品=価格がすべてではない」という風に、お酒に対する価値観が変わってきている。つまり、「どれだけその時間を豊かにするか」が基準になってきているので、お酒の本来の楽しみ方や価値が見直されていくことにもつながるのではないかと思っています。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/07 14:54 https://markezine.jp/article/detail/41353

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