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COLUMN

【江端浩人のメディアトレンド予測】現代日本におけるメディア消費の変容とコミュニティの重要性


背景にある3つのトレンド

 多様化するメディアの背景にある、3つのトレンドを紹介したい。

(1)メディア消費の変化:「リキッド消費」

 特に注目すべき現象が、「リキッド消費」と呼ばれるスタイルだ。これは、消費者が必要な時に必要なコンテンツだけを選択し、消費するというもの。特に若年層を中心に、この消費スタイルが普及している。インターネットの普及とスマートフォンの浸透により、人々は自分の興味や好みに合わせてメディアを選択するようになった。

(2)インタレストメディアの台頭

 リキッド消費がもたらした結果は、マスメディアではなく、「インタレストメディア」の台頭だった。インタレストメディアとは、”趣味、興味、関心など、人の嗜好をもとにした人や物のつながり”であるインタレストグラフを元に構成されているメディアを指す。たとえば、デジタルネイティブの視聴比率が高く視聴時間が増えているYouTubeやTwitchといったプラットフォームは、インタレストメディアの典型例だろう。

 これらのプラットフォームでは、各人の好みに細分化されたコンテンツをユーザーが自分の好みに合わせて選び、消費、コメント欄などを通じ参加することができる。従来のテレビとは異なり、ユーザーが能動的にコンテンツを選択することで、よりパーソナライズされた体験が提供される。

 下記は「令和元年版 情報通信白書:変化したメディア環境と社会への影響」からの一部抜粋だが、まさに”自分の望む情報”を提供してくれるメディアが”インタレストメディア”であり、”自分と考えの近い人の意見”が集約されているのがコミュニティである。

「他方、人々がインターネットからの情報収集を積極的に行うようになるにつれ、社会の二極化が進んだのではないかという見方も出てきている。すなわち、インターネットを通じ、人々は自分の望む情報や、自分と考えの近い人の意見に偏って接するようになり、元々持っていた考えがより強化される結果、両極化するというものである。」
出典:総務省「令和元年版 情報通信白書:変化したメディア環境と社会への影響」

 皆さんが今ご覧いただいているMarkeZineも、広義の意味でマーケティングという専門領域に特化したインタレストメディアと言えるのではないだろうか。専門性の高く、顧客の熱狂度の高いメディアがあちこちで出てきており、万人向けのものではなくAIなどを活用しパーソナライズされたメディア・コンテンツを消費者も求め始めている。

(3)コミュニティの変遷と重要性

 コミュニティは、同じ興味を持つ人々を結びつけ、新たな結びつきを生み出す場である。

 インターネットが普及する前から、全国規模のコミュニティは存在していたが、インターネットの発展と共にその形も多様化してきた。

 たとえば、BtoB企業がユーザー会の運営に注力したり、ヤッホーブルーイングに代表される「熱狂的なファンづくり」をマーケティングの中心に据えるBtoC企業が増えたり、発展を遂げている。

 筆者も2007-2012位まで日本コカ・コーラでコカ・コーラパーク(CCP)というメディア/コミュニティを運営して、インフルエンサーやユーザーにリーチしていた。当時CCP会員は1,300万に上り、CCP会員のメルマガ400万通の開封率は平均18%に達し、タイアップ告知をした協賛番組の視聴率を動かすほどの効果をもっていた。このようにコミュニティは顧客との強い結びつきを醸成でき、デジタル時代ならではの企業と顧客の関係を強化する有効な手段となっている。

次のページ
コミュニティの流行、その背景にある5つの要因

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この記事の著者

江端 浩人(エバタ ヒロト)

iU大学教授、江端浩人事務所 代表、MAIDX LLC代表、AlMONDO事業顧問

米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラでマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/01/17 09:17 https://markezine.jp/article/detail/44523

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